石ころ強くてニューゲーム
「ようやく来たか、カズヨシ」
「ふっ、死ぬ覚悟は出来たか?」
「いや、まだ死ぬ気は無いな」
「お前の力はあの石ころだけだろ?さっさと死ね」
カズヨシに剣で足を刺される。
けれど俺は涼しい顔を見せる
「何故・・・痛がらない」
「なんでだろうな、ティアの治癒魔法のおかげかな」
本当はメチャクチャ痛い。
けれど、俺はスキルを拷問中に覚えたらしい。
今は確認出来ないけど、おそらく【痛覚耐性】とかそんな辺りだろう。
それのおかげで涼しい顔を何とか出来る。
「ふざけるな!!」
「じゃあ、俺の切り札を出すとするか」
「なに?」
「愚者の書、今その力使ってやるよ!!」
愚者の書に残りの魔力を全て注ぐ。
14561084もあるんだからまだ半分位は残っている。
「何をしたいのか知らないが死ね!!」
「ガハッ」
心臓を刺される。
あぁ、愚者の書はやっぱりなんの能力もなかったのかな?
ダメだ、意識が・・・遠のいて行く。
いや、これは死の感覚って奴かな。
でも、アイツらは逃せたし・・・
大丈夫だよな・・・
【タイムリープ】の条件を満たしました。
◆◇◆王の間◆◇◆
「おぉ!!勇者の召喚に成功したか!!」
「うっ、こ、ここは・・・」
確か俺はカズヨシに殺されたはずだ・・・
「あれ?王様、王都から逃げたのでは・・・?」
「お主、何を言っておる?」
目の前にいる王都から逃げ出したはずの王様がいる。
それにここは壊されたはずの王の間・・・
どういう事だ?
俺はいつの間にか召喚された日の制服を着ている。
ポケットにはちゃんと石ころがある。
腕に愚者の書を持っている。
そしておかしい事が一つある・・・
「身体が・・・動く」
明らかに治っている。
爪もある。
そ、そうだ!!
スマホを!!
全てアプリがある・・・
【パートナー】
【オッサンの加護】
【アシュレイ】
【ミーシャ】
何度確認しても全てある。
こんな時はオッサンの加護を・・・
【よぉ!!俺がお前を担当する事になった、よろしくな!!女神の加護じゃないのは勘弁な】
どういうことだ?
まるで初対面の人と話すみたいに・・・
その様子が不思議に思ったのか、周囲のクラスメイトが声を掛けてくる。
「大丈夫か?えっと・・・名前忘れた」
話し掛けてきたのは西島蒼介という奴だ。
俺は気軽にソウスケと呼んでいる。
コイツとは仲がいいのだが・・・
俺の名前は異世界に行く反動で忘れたのだが、もしかしてクラスメイト全員から名前を忘れられてるのか?
ここは、とりあえず話を合わせるか・・・
「実は俺自身名前が思い出せない・・・」
「え!?記憶喪失?」
「いや、名前だけを忘れてて他の事は覚えてるから大丈夫だ」
「それ困るな・・・」
「じゃあ、俺はアシュレイって名乗るわ」
「うわっ、中二病かよ(笑)」
「うるせーよ(笑)」
・・・やっぱりそうか、どういう訳か知らないが俺は過去に戻っている。
しかも森じゃなく王城で勇者という形で・・・
確か愚者の書を使ったら死んだんだよな。
【アシュレイ】を使って確認するしかないな。
【アシュレイ】
【人族(笑)】
【Lv.72】
【ジョブ・石ころ投げる人】
【jobLv.56】
【スキルポイント1680】
【生命力・B】
【攻撃力・B】
【防御力・B】
【魔法力・B】
【精神力・B】
【俊敏力・B】
【魔力14561084/14561084】
【スキル一覧】
【ロックショット(笑)】
【植物喰らい】
【スキル共有(石ころ固定使用)】
【痛覚耐性V】
【愚者の書】
【タイムリープ】
【ギフト】
【パートナー】
【オッサンの加護】
【アシュレイ】
【ミーシャ】
レベル結構上がってるな・・・
それと原因が分かった気がする。
「【タイムリープ】したのか・・・レベル引き継ぎで・・・これじゃ最弱の勇者じゃなくてチートな勇者じゃないか・・・」
「みんな!!落ち着いてまずは人数を確認しよう!!」
そう叫んだのは先生だ。
人数確認を済ませると全員いることが分かる。
それを見た王様が先生に聞いた。
「ほう、ソナタがこの者達の上官か?」
「上官って言うか教師なんですが・・・」
「ならば話は早い、ソナタに説得を頼もう」
「なんのでしょう?」
「これから魔王を討伐してもらいたいのだ」
「・・・魔王?」
それから説明されたが大体は聞いたことがある内容だった。
説明が終わって先生は少し考える。
そして口を開いた。
「二つ頼みがあります」
「なんだ?申してみよ」
「一つは戦いたくない生徒に戦うことを強制しないこと、もう一つはこれが終わったら元の世界に返してください」
「わかった」
話が終わるとさっそく先生は辺りを見渡す。
「おい自称アシュレイ、スマホに女神の加護ってと剣術ってのがあるんだけどお前はどうなってる?」
コイツは西島蒼介
ソウスケが話し掛けてくる。
するとクラスメイトが集まってくる。
「え?ソウスケのスマホもそうなってんの?」
「じゃあ、お前も?」
周りのヤツ全員女神の加護持ってんのかよ。
泣きたくなってくるなオイ。
「ふっふっふ、俺は女神の加護ではない」
「ま、まさか邪神の加護・・・的な?」
「いや、【オッサンの加護】ってやつ」
「「・・・」」
無言で俺の肩をポンッと優しく叩いてくれた。
何その反応泣きたい。
「なにスマホ弄ってるんだお前ら・・・」
そこへ先生がやってくる。
どうやら戦うか聞いてきたようだ。
「先生!!なんか変なアプリが入ってるんです!!」
「なに?」
先生はスマホを取り出し、アプリを見る。
「本当だ・・・なんだこのアプリは?」
「先生!!試しに押してみてくださいよ!!」
「なんで僕なんだよ・・・」
「怖いからです!!」
「えぇー、それもし危ないヤツだっやら終わるじゃん・・・」
「いや、そこをなんとか」
「うーむ」
先生が悩んでいると王様がその様子を見兼ねて声を掛けてきた。
「大丈夫じゃ、それはスキルといって危険なものでは無い」
「ほら、聞いたか?大丈夫らしいぞ」
そう先生が言った時、あの男が叫び始めた。
「ふ、ふはははははははは!!この力があれば・・・ふは、ふはははははははは!!」
「せんせー、カズヨシ君が馬鹿になりましたー(笑)」
ソウスケが馴染めるように茶化す。
しかし、俺は知っている。
カズヨシがここで勇者を一人殺すんだ。
タイムリープしたのならば、今度は間違えないようにしなければいけないな。
「おう、どうしたカズヨ、って何するんだよ自称アシュレイ」
ソウスケが不意に近付く。
俺はもう分かった。
まずカズヨシはソウスケを殺したんだ。
カズヨシの周りには人が今はいなかった。
そしてソウスケが近付いた。
つまり、近づけさせる訳にはいかない。
俺はその為に近付いてしまったソウスケの肩を掴んだ。
「ソウスケ、ここは俺に任せろ」
「ん?どういう「頼む」・・・わかった。お前がそういう顔する時はいつも周りのヤツを助ける時だもんな」
「助かる・・・」
コイツとは小学校から一緒だから大体察したのだろう。
「カズヨシ、今、何しようとしてた?」
「お前、どうやら死にたいみたいだな?」
「質問に答えろ」
「チッ、いいか?俺は【覇道】のスキルがあるんだよ、お前らみたいな雑魚勇者とは違う・・・だからよ、死ね」
「覇道じゃと!?」
王様が何か言ってるが無視だ。
ソウスケは殴りかかってくる。
スピードがあり、おそらく破壊力もあるのだろう。
しかしこの程度の殴りなら・・・
「なに!!」
レベルが高い俺には簡単に避けられる。
けれど、避けた時に斜め後ろにあった銅像にカズヨシのパンチが直撃して粉々に砕けた。
「なんだあれ・・・」
「銅像が壊れたぞ!?」
「俺は腕の動きが見えなかったんだが・・・」
クラスメイトが騒ぐ。
俺が避けたのを面倒に思ったのかカズヨシは「チッ」と舌打ちをして王城の壁をワンパンで壊し逃げ出した。
「ふぅ・・・何とかなったか・・・」
これでソウスケが殺されるという初めの未来を変えた。
「カズヨシ!?一体どうしたっていうんだ・・・」
「・・・勇者達よ、今日は疲れたはずじゃ、部屋を用意している、戦ってくれる者はいつでも申し出てくれ」
「王様、カズヨシはどうすれば・・・」
「あの者はお主たちを殺そうとしているように見えた、ワシからはそれしか言えぬ、それと・・・お主、アシュレイと言ったな」
「・・・はい」
「少し残ってくれ、お主に聞きたい事がある」
「はい」
これからは何が起こるか分からない。
慎重に進もう・・・
作者の一言
なんか、すごい展開になったなぁ・・・