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第二話 戦い


街の中心にある広場。真ん中には大きな噴水があり、ビルの間に挟まれている割りに緑があり。落ち着いた雰囲気が漂う。


ただし、昼間だというのに人はいない。



この地区は厳戒体制がひかれていたのだった。




昨晩から、迎撃体勢をとっていた歩兵少尉サウロ・ユニは大きなあくびをした。


辺りか中から小さな笑い声が聞こえる。



彼らは自分の小隊の仲間達だ。




周りにもいくつかの部隊が茂みなどに身を隠している。





背後から上官の声「君は本当に英雄アークス・ユニの息子か?呆れる。」

戒められた。




すみません。



と答えるものの内心ではこのやろうと思っていた。



俺は親父と違って英雄みたいな大きな器はない。

唯一好きなことは仲間を和ませることくらいだ。



こんな体勢いつまで続けるのか。



この戦争になんの意味があるのだろうか。



数時間が達ち、辺りが暗くなってきたとき突如、背後で仲間が数人空に何か見えると言った。


不意に空を見た。


確かに何か光るものが。


ミサイルだった。


上官が声を発する前にミサイルが公園の真ん中におちた。


爆風が噴水も木もビルもそして人も吹き飛ばした。


自分は爆心よりかなり離れた位置に配置されていたので助かったが。我を取り戻すのに時間がかる。



そしてあたりを見回し自分の少隊を集める。


およそ二十名半分以下。


大隊はほぼ壊滅状態だったが。それを集めて後に予想される攻撃を迎えうたなければならなかった。

上官は死亡。



予想外だった。前線とはかなり離れているはずだし、前線が抜かれたという情報はない。背後にある本隊は遠すぎる。孤立無縁。せめて、ここで戦い抜き、敵の情報を送り、本隊が戦えるよう時間稼ぎをする必要がある。




暗闇をかける、黒い敵。

ビルの上からの狙撃や、地理を生かした戦闘。


三回敵の突撃に耐えた。




そして、静寂。



サウロが近くの仲間達に言う。

「どれだけやった?」



「ここで30人以上やりました。」誇らしげにこたえる。もう自分達しかいなかった。


そして大きな起動音。

「ELですね。」


帝国が誇る主力兵器。

「EL」。前線を突破し、ミサイルをぶちこんだのはこいつだった。


月光に映しだされた、異様で大きなヒトガタ。連邦にも配備されているがシルエットはかなり異なる。


五体。


反撃する気さえおきなかった。歩兵じゃ絶対こいつには勝てない。


親父にもっと習って、EL乗りになればよかったなぁとサウロは思った。




自分達に銃口が向けられた。



覚悟はできている。



しかし、銃口から弾が発射される前にそのELは光の線が縦に流れ、爆発した。



空飛ぶELがいた。

その隙にサウロ達は物影に隠れ撤退をはじめた。



味方のELは敵の反撃を受けていた。


サウロは気付く、あいつ操縦がめちゃめちゃだ。撃ち落とされるぞ。


しばらく味方のELはたたかい。撃ち落とされた。



サウロは仲間に撤退を命じ、助けに向かった。



機体は特殊な形態をしていた。連邦のマークはついている。ほとんどが損傷していた。



操縦席にかけよってみてサウロはおどろいた。


中に乗っていたのは白い髪の透き通る様な肌の華奢な少女だった。気を失っている。


一瞬見とれた。しかしすぐ止血を始めた。


「こんな少女まで戦争に巻き添えか。」

戦争が憎い。



不意に包帯を巻いていた手が持ち上がる。彼女は気がついた。


はりつめた真紅の瞳が自分をじっと見つめていた。


自分は少し目を反らしてしまう。



尋ねた。「大丈夫?」服から階級は判断がつかない。自分と同じくらいの年齢に見えたからタメ口で言う。



彼女はまだこちらを観察している。




彼女は言った「あ、アークス?」


凜とした芯のある高い声。


サウロは言った「違う俺はサウロ、アークスは親父だ。」



言う。「アークス。アークス!アークス!」



サウロは聞いた「アークスはもういいよ。ってかあんたはだれ?どこの部隊?前線の生き残りか?」



彼女はゆっくりと口を開く。「テラ!」


「わかった。それじゃテラ逃げよう。」


手を握り少しびっくりした様子のテラ。


シールドを開くと銃声。テラをかばう。撃たれた。


腹を撃たれた。当たりどころがわるい。死ぬのか。



心配そうに見ているテラ。


サウロは自分がなさけなかった。自分の身はどうでもいい。彼女の身が守れないことに。



つまりはサウロはテラに一目惚れしていた。



敵の足音が近づいてくる。ELも一緒だ。


最後の力をふり搾って銃を握り敵がテラに直進できないように立つ。



不意に「キス」と後ろから聞こえた。


自分の妄想だと思うサウロ。


しかし、テラはさらに「キスして」っとはっきりとした口調でいった。



沈黙を続けるサウロ。意味が理解できなかった。


敵がシールドの前まできた瞬間。


サウロの口に温かいものが触れた。


自分の中に底知れない力が沸き上がってくるような感覚。



そして気を失った。






連邦の新型EL一機は我軍の攻撃により、八割の損傷を受け、沈黙、後に、覚醒。帝国側の前線部隊EL五十一機全滅。その後、行方不明。操縦者は男性一名。



後日帝国側報告。


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