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第四十八話 追憶① バレン

まだ続くとっつぁん視点

 あ~、どっから話せばいいんだ?

 あ? マレアの嬢ちゃんのことだろ? 

 何? 一から順に話せって?

 めんどく……刃物は勘弁してください。


 あー分かった分かった。


 あれは俺がとある街の……興味ないってひどくねぇか!?


 はいはい。


 俺がエルトと合流した時には、アイツにくっついていた人数は結構いたな。

 正確に数えてもないしな。

 んで、エルトはそいつらと一緒に当てもなく旅してたんだ。

 いや、エルトの旅にそいつらがくっついていたっていうのが正解か。

 まぁとにかく、俺もおこぼれに与ろうと一緒になってな。


 分かってるって。

 んで、本題のマレアの嬢ちゃんなんだがな。

 そん時にはエルトと一緒にいた。

 そうだな。どんな奴かって言われたら、そこらにいる普通の娘っ子だな。

 短い髪に、あんまり食ってなかったみたいで細かったな。最初見た時は男かと思ったぜ。

 んでまぁ、俺もその集団に加わってから、色んな奴にエルトのことだとか集団の事情だとか、聴いて回った訳だ。


 ん? なんでそんなことをしたか?


 エルトと会ったことで俺は痛感したね。

 情報を持ってればその分生き残ることができるってな!

 いやいや、俺がやらかした事からすれば殺されててもおかしくはないんだぜ? なのに生きていることが出来るのは有益な情報を持っていたからだ。

 あとは弱みの一つや二つでも握れれば……なんてな。

 それで分かったのが、その集団は今の【獅子の咆哮】と同じく今までいた場所から追い出されたりなんだりした連中の集まりで、マレアの嬢ちゃんも口減らしで追い出されたところをエルトに拾われたらしい。

 で、だ。

 マレアの嬢ちゃんはエルトとは同じ年齢で、俺が見た限りじゃあエルトとは仲が良かったな。

 よくエルトの周りを動き回って、楽しそうに笑ってたなぁ。

 あとはエルトをよくひっつかんで、俺も含めて集まってた連中の輪に入ってきて、飯を食ったりしてた。

 そのお陰で、まぁまぁいい関係になってた訳だ。


 俺の見立てだが正直言って、マレアの嬢ちゃんがいたからこそ今の【獅子の咆哮】があるんだと思っている。


 だってな、あの時のエルトは今以上に自由気ままにあっちこっちに出向いては、好き勝手に暴れてた。

 それこそ何の目的もなく、その時の気分でな。

 今もそうだが、あの時のエルトは異常な力を持ってるし、それを自由に揮える。

 誰かに助けてもらったりしなくても、好きに生きていくことができる強者だ。

 対して俺も含めたくっついていた集団だが、いっちまえばエルトの強さをアテにした、おこぼれに与ろうとして勝手にくっついてきただけの寄生虫みてぇなもんよ。

 別にエルトがついてこいなんて誘った訳じゃない。

 誰がその始めの一人だかはついぞ分からなかったが、一人、また一人と勝手についてきただけ。


 それなのに、エルトがそいつらを気に掛ける必要はあるか?

 ないね。


 今のエルトからすれば薄情すぎるって?

 まぁ今のアイツは随分丸くなったぜ?

 理由は、まぁ、続きだ。


 自由気ままに生きられるエルトと、強者の庇護を求める有象無象。

 それを取り持ったのが、マレアの嬢ちゃんだ。

 嬢ちゃんは、なんていうか、不思議な奴でな。

 物怖じしないし、何が楽しいんだかいつも笑ってたな。

 たまに聞きなれない言葉を喋ったり、訳の分からん行動をしたりと大分おかしかったが。

 嬢ちゃんに対しては、エルトは不思議と優しくてな。旅の途中だったり街によったりした時なんかは一緒に行動したり、楽しそうにはしゃいでた。

 そこだけ見ると、年相応だったな。

 んで、さっきもいったように、嬢ちゃんがエルトを引っ張ってきて、俺らと関わらせることで仲が良くなった……というか、エルトに俺らのことを気にかけさせたってところだ。

 あれがなかったら、多分エルトは俺らをあんまり気にせず、今も一人で好き勝手してたんじゃねぇかな?

 嬢ちゃんが仲を取り持ってくれたおかげでエルトと俺らは、ようやくエルトをリーダーとした一個の集団になれたんだ。


 で、エルトがある時、言った訳だ。

 随分人数が増えたなぁって。

 それで、俺たちはこういった訳だ。


 拠点、作ろうぜ。

 てな。


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