1.もしかして:転生
サラサラサラサラ…。
風に草草が揺れる音だ。
風馬は草原にいた。
(俺、飛行機の墜落で死んだはずじゃ…。しかもここはどこなんだ。あの世ってこんなにのどかなのか。)
混乱し始めた風馬は自身の頭が柔らかい何かの上にのっていることに気づいた。
(この感触、なにかとても懐かしい気がする。温かい。)
すると風馬が乗っている者が上半身を起こし上から風馬を覗き込む。
「サリフ、起きたの?」と語りかけてくる。
その女は、ひざ下10センチほどの青色の長衣に身をまとい、腰の辺りに白色の帯を巻いている。
エキゾチックな顔立ちで、ハッキリとした目、高い鼻、微笑みを携えた口元と、風馬に美人と思わせる容貌の持ち主であった。
風馬の混乱は解けない。
自身が膝枕をされていたことはわかった。
しかし突然出てきたサリフという言葉、それが自分のことを指し示すようだ。
そして風馬もといサリフの体は、赤ん坊サイズであった。
サリフは前世で読んだ異世界転生モノのライトノベルを思い出す。
(誰だこの人!絶対日本人じゃない。凄く美人だし。しかも体はちっちゃくなってるし、言葉は理解できるしでわけが分からん。なんかこういうの前読んだことあるぞ、異世界転…)
そこまで考えたところで、サリフを強烈な眠気が襲い、太ももに包まれ意識を闇に落としていくのだった。