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ガクト  作者: 死兎
8/12

真姿

 








 禍々しく曲がった一角。口元から見える鋭い牙。そして、肩からは白い槍のような…


「なんだ・・・あれ・・・」


 並守の肩から生えていたのは、腕ではなく、先の鋭く尖った鎧のような形状のものだった。

 どれも白い光沢を放っている。


「・・・お、お前・・・・・ガクトだったのか・・・?」


 並守は笑うだけだった。


「先輩」


 クレナは後悔していた。最悪の状況になってしまったことに。


「逃げてください。ガクトは本当に危険です。できればお客さんたちも連れて」


 ガクトの存在を知るものは少ない。ただ、客も店員も、事態の深刻さだけは把握したのか、その場に立ちすくんでいた。


「何言ってんだ!危険なんだったらなおさら・・・」


「違うんです!お願いします!」


 その時、並守は、"槍"となった右腕を振りかぶり、そばにあった本棚をぶった切った。


  ガアァァァァァァァァァンッ!!!


「・・・・・っ!!」


「さて、ここに集まった不運な諸君。お前らは全員、今から俺に1人ずつ殺されることになる。復讐の血のもとに。残念だったな」


 その拍子に、1人の客が、ガラスが割れてできたもう1つの出入り口に向かい、走り出した。


 しかし、一瞬間で並守は彼の前に立ちはだかり、

「逃すわけねぇよ」


 "槍"を振りかぶりーーーーーーーー





「おらっっっっつ!!!!」


 誰かが勢いよく並守に突撃し、そのまま2人とも後方に吹っ飛ぶ。

 店長だった。


「誰か!!警察を呼ーーーー」


「ジャマんだよ、ゔらァァァァァアアア!!!」


 店長は店の奥まで吹き飛ばされ、壁に激突する。辺りの本が吹き飛び、その中に店長の影は埋もれる。


「店長!!!!!」


 すかさず飛び出ようとするが、


「まって!!」


 クレナに腕を掴まれる。


「お願い、逃げてください・・・」


「嫌だっつってんだろ!!!」


 その時、


「狭っ苦しいんだよな、ハハハ」


 そうして、逃げようとした客の元に戻りながら、そこら中の本棚を斬って斬って斬った。

 黒色を帯びた白い紙切れが、雪のように舞っていた。


 彼は腰を抜かし、ただ、迫ってくる並守を絶望に染まった顔で見つめるだけだった。そして、目の前まで来た時、


「じゃあ、お前が第1号な。死ね」


  ダンッ


 並守は自分の腰あたりを見た。ハルマがしがみついていた。


「・・・や・・め・ろ・・・・!!!」


 ビクともしない。それでも、ハルマは"ガクト"の身体を、押して押して押した。


「てめぇに何もかも奪われてたまるか!!・・始まったばっかなんだ。まだこれからなんだよ!!!!」


「うっせぇんだ青ガァ!!」


 ハルマを蹴り飛ばす。


「さてと、第1号。早速死ーーー」


  ダン


「・・・・てんめぇ!!!!!」


 蹴る蹴る蹴るーーーーー。それでもしがみつく。蹴る蹴る蹴る蹴るーーーーーーーー。


 クレナは見ていた。(ハルマ)の果敢な姿を。そして、思い出していた。ここでの楽しかったこと。先輩が優しくしてくれたこと。先輩と約束をしたことーーーーーー。


 そして、全て、捨てる覚悟をした。



「やっぱ変更だ!!!お前を第1号にしてやる!!!自らを悔いて死ねぇえ!!!!!!」






 光る閃光。それは電光石火のごとく駆け抜けた、"鎧"の輝き。




  ドォォォォォォォォオオオンッ!!!!!


 並守の身体は、ガラスの穴から外へ吹き飛ばされる。



 そして、ハルマの前に現れる一人のーーーーーーーーーーー


「ガク・・ト・・・・・・?」







「無茶苦茶やってくれたじゃねぇか、なぁ?今からその借り全部、てめぇに返してやる」



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