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ガクト  作者: 死兎
5/12

再来

 











 ここは、小さな書店。大通りに沿って並ぶ、華やかな建物の隙間を抜けていくと辿り着く。




「ありがとうございましたー」


 本を2冊買い、店を出る客に頭を下げる店員。


 ハルマである。


 彼は、客が駐輪スペースまで行ったのを確認し、カウンターの下に置いておいた本に手を伸ばす。


 昼過ぎの書店。聞こえるのは、ページをめくる音だけ。


「亜人か・・・・」


 禍々しい形姿をした漫画の主人公。


 それを見て、ぽつりと呟いた。


「こいつらはどう思ってんだろうな。自分たちの世界のこと」


「またか・・・・」


「あ、店長」


「何が、あ、店長、だ。白々しいな。今は俺とお前しかいねえだろうが」


 ここはかなり人が少なく、2人なんてのもよくある。


 ちなみに、クレナは6時からのシフトだ。


「あ、そういえば」


「なんだ」


「店長、オールバックのお客さんって、いましたっけ?」


「はあ?いきなり何の話だ」


「いや、浦箕に聞かれて。知り合いかなんからしいんですけど」


「オールバックね・・・・」


「年は30くらいって言ってました」


「オールバックっていっても、髪型なんか変わるもんだろ」


「俺もそう思ったんですけど。浦箕が、オールバックだ、としか言わないんですよ」


 店長が考え込むようなポーズをとる。


「オールバックのお客さん・・・・なんかいたような気がするんですけど」


「ああ、思い出した。いたいた。確か西野研条のファンじゃなかったか」


「そうでしたっけ・・・。よくそんな細かいことまで」


 自分は思い出したので納得したのだろうか、唐突に、


「そうか、浦箕とはうまくいってるんだな」


「!?どうしたんですか、急に」


「見てるぞ、俺は。段々と距離が近づいていく様子を・・・」


 店長は、やけににやけた顔で言う。


「店長・・・意外とそういうの好きなんですね」


「俺のことはどうでもいいんだ。どうなんだ、おい。あいつのことどう思ってんだ?」


「やめて下さいよ。別に何も・・・・」


「おいおい、嘘なんてつまんねえぞ。お前、最近やたら楽しそうじゃねえか?」


「別にそんな、んな・・・ない、ないですってば・・・・・」


 店長の尋問に近い質問に、ハルマが言葉を詰まらせている。と、


  ガタン


 店の扉が開く。


「いらっしゃいませー」


 店長は、後で聞かせろよ、といって店の奥の仕事に戻った。


 新しい客が入ってきた。


 その客を見て、ハルマははっとした。


(・・・そうだ、この人だ・・・・・)


 まさしく、年は30代ほど。背も高い。そして、何よりも印象づいたのは、ビシッと整ったオールバック。



 店の中まで入ってくる。そして、じっくりと店内を見回した後、また、店の奥に向かっていった。


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