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月光
どこまでも続く太い車道を軸として、多くの人々が行き交う大都市。
その大道路からほっそりと横に伸びている小道の先に、一軒、こじんまりした書店がある。
辺りはすっかり暗く、光るものは店の明かりと、そして月だけ。
一人の男がいる。店の裏に立ち止まり、店の方をじっと見ている。
肩が揺れている。笑っているのだろうか。
「見つけたぞ!!」
男の後ろから声が響く。男はすぐさま振り向く。
裏から店の光によって、浮かび上がった男のシルエットには、角と・・・牙・・・?
「ちっ」
「おい!待ちやがれ!!」
男は走り出す。もう一人も追いかける。
・・・が、見失った。
「くそっ・・・」
「でも、まあ、いい」
そして、その書店をみる。
「ここが狙い・・・ってわけだな」