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男装令嬢と皇太子と秘密

マリアーノ視点です。

オレは女の子が好きなんだけど、ついつい目で追っちゃう野郎が居る。

北の帝国(ローヒメティ)の皇太子ルトガーだ。

気になるとか好きだとか、恋愛的な意味じゃあ無い。

前世の妹が、この乙女ゲームで一番押している攻略対象者がルトガーだったからだ。

『俺様』ルトガーが好きな妹だったのだ。ならばと俺様に振る舞った兄であるオレは、罵詈雑言を浴びせらられ……転生した現在も納得行かず、つい奴を見てしまう。

オレと奴の何が違うのか、と。

顔か!?顔なのかっ!?そりゃ顔は良いだろうさ、乙女ゲームだもの(キラッ)!

だからって現実(?)のルトガーもイラスト並にイケメンじゃなくても良いんじゃね?

どいつもこいつもイケメンイケメン。

いや、乙女ゲームから出て来てるんだから美人率ハンパないのは、仕方ないのか?

だとしても前世フツメンのオレは納得行かないぜっ!

女の子は可愛い子ばっかで嬉しいっす!あざーす!!



で。悪役令嬢にフラれちゃった可哀想な皇太子さま(笑)。

何故か悪役令嬢が転生者だと知っている皇太子さま(謎)。

その皇太子さまに嫌な奴だって言われた元ヒロインのオレ。

うん。男に嫌な奴と言われても、なーんの問題も無しっ!

オレも皇太子さまのこと、好きじゃねーし。

そう、なんたってライバルだし!

フラれん坊同士だがライバルだし!

だから、ちょっと聞いてみよう。

皇太子さまも……転生者なのか。


「何故、アンが転生者だと思ったのか」


ちょっと質問間違ったけど、コレも気になる所。

んん、皇太子ルトガー固まってる、固まってる。

表情も繕え無いとは……コレってトップシークレット?


「ななな何を言って、い、るのかかかわかか……」


顔真っ青。肩ぶるぶる。めっちゃどもってる……ウケる。

と、思ったら直ぐに平常を取り戻しやがった。

さっすがぁ、皇太子さま(イヤミだー)!

ちょっと遅いけど、キリッとオレを睨む。泣き黒子がセクシーだな。


「お前こそ、何を知ってる」


んー。乙女ゲームに関わる事なら大体かな?っても、うろ覚えだけど。

まー、知りたいのは、そういう事じゃ無いよな。

どうしょっかな、どうしょっかなあ……まだ誰にも言って無いんだけど。

もしかしたら、転生者仲間かも知れん訳だし?

なんか、にまにましちゃうな。驚かせたいよな。


「んー、んー?気になるう?」


やっべ、ニヤケルの止まんね。

ルトガーったらしかめっ面を深めやがる。眉間の皺が取れなくなんぞ。


「…………」


うんともすんとも言わないが、この沈黙は肯定かな。

よーし、優しいオレ様が教えてやろう!

その代わり、ルトガーも言えよ?


「何を隠そう……オレも転生者だ」

「寝言は寝て言え」

「おいっ!!」


いくら何でも否定すんの、早えーよっ!!ツッコんじまったじゃねーかっ!


「冗談だ。しかし……そう言われたら納得がいった」


急に真面目な顔して言うから調子狂う。『俺様』ルトガーには俺様してて貰わないと。


「殿下も転生者なん?」

「違う」

「ん?で?」

「……国家機密だ」

「おーい!オレも命狙われちゃう様な秘密!言った!!」


めんどくせーなあ。皇太子さまは。

オレはこれ見よがしに溜め息を吐く。死ぬ前に流行ってたお笑い外国人の「why?!」の身振りを真似て両手を大袈裟に振る。


「オレが転生者ってこと、誰にも言ってはいけない。ってこーとーはぁ……オレも、誰にも言わない」


だから、早くその国家機密とやらを教えてくれっ!!

何だ?その溜め息。オレの真似してんのか。やれやれ、と首を振るんじゃねー!


海に面したテラスの柵に寄りかかっていたルトガーが、少しだけにじり寄り体をオレの方に傾ける。

成る程、内緒話の形だな。オレもちょっとだけ体を寄せた。


「……先祖に幾人か、転生者が居る」


「……マジで?」


「ま?……真実かどうか確かめる術はないが、火の無い所に煙は立たないだろう。俺は真実だと思っている」


ルトガーの藍色の瞳はやけに真摯で辛そうで、眉間の皺がより一層深くなった。


「そうでなければ、俺は……」


続けて言った言葉は小さくて独り言の様だったから聞いちゃいけない気がして、オレは聞かなかった事にしたし、見なかった事にもした。直ぐに顔を反らして「マジか」と呟いて、自分の世界に入ってるみたいに装ってみた。


ザザザザザと打ち寄せる波の音がこの沈黙を沖まで持って行ってくれれば良いのに。

ちょっと踏み込んだ話つーか機密を聞いてしまって、気不味い。

そう思ってんのはオレだけかも知れんが……。


「……えーと、じゃ、お互いに誰にも言わないって事で」

「そうだな。待て、俺にはまだ聞きたい事がある」


おおい。広間に戻ろうとしてるのバレちゃった?

つーか、手。離してくれ、男に掴まれても嬉しくねえ。


「そか、じゃ、また後日、つーことで!」

「俺は明日にはこの国を去るのに、後日だと?」

「おお……『俺様』ルトガーさま」


態度が不貞不貞しいぜ。流石だ!ちょい、かんどー。

一層低くなった声もセクシーだな、女のオレには羨ましい。


「コレが、お前の『素』か。前世……か」

「ん、まあ。コレがオレの素だけども……あ、馴れ馴れしくて苛ついた?」

「口調ではなく、態度が苛つく」

「いっやぁー、コレがオレの素だから!諦めてっ!!」


「存在その物に苛ついてきた」

「ひっでー!」


言いながら、オレは笑ってしまう。

さっきまでの気不味い沈黙が嘘の様に。

前世の男友達と遊んでる記憶を思い出して……。

オレは……。




初めて『秘密』を打ち明けた。

相手は同じ転生者のアンジェリカではなかったけど。

オレは、誰かに聞いて欲しかったのだと。

この時、やっと、気付いた。



何話かサブタイトルだけ 変更します。内容は変わりません。


上記とは別口で。

ルドガーをルトガーに訂正しております。

「お笑い外国人~」を加筆しました。2016.2.25

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