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ピコピコ恋愛白書【改稿前】  作者: 不知火 螢
3/32

第3話  興奮のし過ぎに要注意。……じゃないと、でるのです。

 皆で仲良く手をつないで待機していると、始まったのは正に幻想の世界だった。


「ふおぉぉぉっっっ!!」

「ピコちゃん、魂の雄叫びがおっさん過ぎるよ」


 そんな友人の言葉すら上手く耳に入らないほど、私は目の前に広がる光景に魅入っていた。

 なんと、何の変哲もない大ホールがあっと言う間に星空に変わり、壁も床も勿論天井も、全てがプラネタリウムになったみたいだ。

 流れ星が落ちたと思ったら、その光が何人かの生徒の前で静止した。周りを見ると、どうやら光を触ると見たことのある生物になるようで、ユニコーンやらペガサス、妖精なんかが出現している。

 皆ユニコーンやらペガサスに会ったことがあるのか! ズルい!!

 ちなみに、残念ながら私の前に流れ星は来なかった。

 それでも、この幻想的な空間は私のファンタジー好き魂を熱くさせた。


「にゅぉぉぉぉぉ~~~っっ!!」

「ピコちゃんちょっとウルサい」


 これが叫ばずにいられますか!

 なんなのこれ、なんなのこれ、なんなのこれーっ!

 ここまでダイレクトに私のツボを刺激してくれたこの歓迎会のセレモニーの責任者に、是非とも盛大な感謝をしたい!

 私、クリセニア学園に入って良かったーっ!


 なんて、大興奮な私だが、この時は失念していたのだ、自分の体質を。


 私の興奮が最絶頂に達したのは、ドラゴンが出現したときである。


「んにゃぁぁぁぁぁっっ!!」


 ドラゴン、ドラゴンである!

 龍も好きだが竜も大好きだ! そりゃぁもう、興奮するなというほうが無理な相談である!


「ピコちゃん! あんまり興奮すると!」


 倒れるよ、という友人の言葉を聞く前に、私の意識は途切れたのだ。




 実に悲しいことに、私は魔力を外にだすのが大変下手らしい。そのため、普通なら魔力が外に溢れて暴走するような場面であっても外に漏れるということはない。そういう意味では、私は魔力のコントロールを失って暴走するということはない。

 変わりに、体内で魔力がしっちゃかめっちゃかに暴れ出し、自分でコントロール出来ない私は直ぐに高熱を出して倒れるのである。


「……やっちゃった」


 両親や兄達からは散々興奮し過ぎるなと言われていたのに、いやー、うっかりうっかり。

 私をこんなに興奮させるような歓迎式典を考えた責任者はちょっと私に土下座で謝罪すべきだ。


 それにしても、一体誰が私の暴走を抑えてくれたのだろう。

 私は魔道の一族と呼ばれる我が家の中でも飛び抜けて魔力が高いらしい。今のところ全く実感がないけれど、私の暴走を抑えるのに両親が揃ってないとダメらしいのだが、一体誰が?

 ついでにここは何処なのだろう。

 室内は白が基本となって調えられていて、いくつかあるベッドは全てカーテンで区切られていて……うん、考える必要ないほど、保健室的な所だな。


「良かった、目が覚めたんだな」


 かたん、と物音がして、誰だろうと声の人物を確認して私は固まった。


「……せんせー」


 なんとまぁ、新しい担任の先生、ヘイムダール先生だった。

「そう言えばやたら叫んでる子がいるなと思ってたけど、ピコだったのか」

「大興奮でした。でもこんな体質が子どもに遺伝しないで良かったです」

「驚いたよ、学園内で魔力暴走をみつけるとは思わなかった」

「……先生が居なかったら、私ヤバかったですね」

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