目に映る陰
―――世界は穢れている―――
これは何処かの占い師が言った言葉じゃない。
これは小説や漫画や映画などのキャッチコピーじゃない。
これは、俺自身が思っていること。
『世界は穢れている』
世の中は腐り果て、時代はそれでも流れていく。
人々は疲れ果て、それでも世界は廻っている。
『まだ、俺は生きなきゃいけないのか』
日々の生活に、苦労している人間がこの世に何人いるだろうか?
まだ、きっと、 世界から見れば、
俺の人生なんてマシな部類なんだと思う。
そうじゃないと、俺はこの日本で生きてはいけない。
もし、世界から見ても、俺がとてつもなく不幸なら、
俺はとっくの昔にこの世界にはいない。 来世にいるだろう。
だが、世界に視野を広げれば、
今日の飯にありつけない。 寒さで凍え死ぬ。
水を確保するために、通いたくても学校に通えない。
そんな人は沢山いる。 それに比べれば、俺なんてまだマシ。
通いたくはなかったが、学校で勉強することが出来た。
家庭内暴力とかもあって、決して満足できる家庭じゃなかったけど、
それでも蛇口をひねれば水が出てきたし、不味くても毎日飯を食っていた。
そう思えば、俺は幸せだったのかなぁって思う。
だけど、日本で、周りを見てみると、
いつも笑って、 いつも幸せそうな顔をして、
きっと、そいつらもそいつらなりに苦労してるんだろうけど、
俺にはそいつらが憎らしいほど羨ましく見えて。 思えてしまって。
だから、俺は一日でもいい。 そいつらの人生を歩んでみたいと思った。