表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宰相閣下と行儀見習の娘  作者: 春隣 豆吉
第2章:周囲にはいろいろな人がいる
8/75

1.王様は庭にいる

胸が高鳴る(?)食事の時間。の巻

 ある日、いつものように王宮にお昼をお持ちすると、当主様がすまなそうに告げた。

「エマ。今日は違う場所で食事にしたいのだが、どうだろうか」

「かしこまりました。どこで食事をされるのですか?」

「庭の奥にある東屋だ。そういえばエマは宰相室以外の部屋を見たことはあるのか?」

「毎年建国記念日に王宮が公開されるじゃないですか。小さい頃に家族と来ました。」

「あー、そういえばそういうのがあったな。」

「普段王宮で仕事をしてる当主様には、ぴんと来ませんよね~」

「何か、その言い方にトゲを感じるのは私の気のせいか?エマ」

「えー?気のせいですって。当主様」

 私たちのやり取りを、ラルフが驚きのまなざしで見ていた。

 その後、ラルフが荷物を持ってくれて3人で宰相室の外に出る。


 当主様は歩くのが速いので、私とラルフは2人で当主様のあとに続く感じだ。

「エマってすごいよね」ラルフがなぜか感心している。

「どうして?」

「だってさー、セオ様とああいうやり取りするのって、王宮では陛下とトビーだけなんだぜ。」

「トビー?」

「トビアスっていう王宮の魔道士。でもさ、あいつ変人だからエマは近づくなよ」

「変人って・・・・当主様も相当な変人だと思うけど」仕事モードのときと寝起きのとき・・・同一人物じゃねえよ、あれ。

「確かに変人だけどさ、趣が違うんだよ」

 すると、なぜか前を歩いていた当主様が急に足を止めて、こちらを振り向いた。

「セオ様。どうかされたんですか?」ラルフが聞くと、当主様はなぜか私の手をとって自分の横に並ばせた。

「は?なんですか?」私は驚いて当主様を見た。

「エマは私の横を歩くように」

「えー、当主様は歩くのが速くて、合わせるのが大変なんですよ~」

「エマに合わせて歩くから。ラルフは荷物を持って後ろから来るように」

 そういうと、当主様は今度は先ほどよりゆっくりと歩く。ほんとだ、私に合わせてくれてる。

 もしかして、話に混ざりたかったのかな。

 後ろのラルフを見ると、なぜか後ろで肩をすくめて首をふっていた。


 王宮から外に出て、ずっと奥に進んでいく。確か以前にみた王宮案内図によると奥のほうは王族の方たちが生活する場所なので立ち入り禁止だったような。

 おー、当主様と一緒だとこういう場所も入れるのか~。さすが宰相閣下。

 確かに庭園の奥に東屋が見える。

「エマ。今日はあの東屋で食事をするから」

「はい。・・・あの、誰かいらっしゃるようですが」

「・・・・エマ。最初に言い訳をさせてくれ。俺は断ったんだ。」

「はい?」当主様と歩いて近寄っていくと・・・・待ってる人の顔に見覚えが・・・・逃げていいだろうか。ていうか、逃げたい!!

「やあ、待ってたよ」

 国王様がにっこり笑って待っていた。



「あなたがエマ・アリンガムだね。私はラインハルト・ティッテル。いちおうこの国の王様をやっているんだ。私のことはハルと呼んでくれると嬉しいな」

 知ってます・・・・知ってますとも!!王国の女子人気ナンバー1で「黄金の貴公子」とか「エメラルドの君」って呼ばれてるじゃないですか!!

 政治的手腕にも優れていて王太子時代から国民の人気も高く、この方が国王になったときの盛り上がりは相当なものだった。

 ハルとよべ?無理だろう!!金髪と緑の瞳がまぶしすぎて正視できません。

「エ、エマ・アリンガムと申します。」さすがの私も最上級の礼したまま、顔を上げることなんてできない。

「エマ、と呼んでもいいよね?エマ、顔をあげなさい。命令だ」

 私がおずおずと顔をあげると、そこには王国の女の子なら(私を除く)一度は見たいであろう至近距離の顔。

「ひ・・・」と私が叫ぶ前に当主様が私を自分のほうに引き寄せてくれた。

「ハル!!エマをからかうな。おびえてるだろうが!!」

「ひどいなあ・・・私はセオが隠している料理上手な行儀見習の顔が見たかっただけなのに。ねえ?」そういうと、国王様は私のほうを見てにっこり笑った。

 な、なんか、友達が国王様をみてキャーってうっとりするの分かる気がする・・・あんまり美形に興味のない私ですら、顔が赤くなって心臓が高鳴る。これが国王パワーってやつ?

「エマもしっかりしろ!いいか、ハルの顔には3日で慣れる!!」

「そ、そうなんですか?・・・分かりました。」とはいえ、3日も見る機会なんてないと思う・・・。


 その後、私が持ってきた雑穀ロールパンと野菜をたっぷり入れたキッシュ、ゆでた鶏肉と野菜のサラダなどを食べた国王様は、デザートの紅茶のクッキーまでしっかり食べて、迎えにきた護衛の方と一緒に東屋を出て行ったのだった。

「エマ。今日はすまなかったな。」

「当主様。国王様が一緒に食事するって言ってくださいよ。いつものお昼を持ってきてしまったじゃないですか」

「ハル・・・陛下が内緒でと言ったのだ。普段食べているものが食べたいと。エマ、食事が豪華だからって食べている人にはご馳走に思えないときもあるのだ。陛下にとってはさっきの食事は最高のご馳走だったろうな」

 当主様の発言はすごく気になるけど、今は黙って聞いていることにした。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


国王様登場です。すごい美形って設定なんです・・・これでも。


美形ってどう表現すれば、読者様にも「おお~イケメン」って

伝わるんでしょう。

難しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ