13.陛下の微笑み
選択肢は二つ。の巻
国王陛下視点です。
侯爵とゲイリーを捕らえて一週間後のこと、俺は牢屋への通路を歩いていた。
警護騎士にすこしだけ二人だけにしてくれと頼み、その場から離れてもらった。
「ブランジーニ侯爵」俺は牢屋にいる侯爵に声をかけた。
「なんだ。ラインハルトか・・・いつもくっついてる二人はどうした」
侯爵は俺が一人で現れたことに驚いていた。
「いつもあの二人と一緒にいるわけではありませんよ。」
「何言ってる。小さい頃からいつも3人・・・いや、ブランデルの小さいのがいたから4人・・・で一緒じゃないか。」
「侯爵。どうしてあんな荒唐無稽な計画をたてた?」
「・・・ふん。お前がダニエラになびかなかったのが誤算だよ」
「あなたの血縁と言う時点で既にその気はありませんよ。誰が自分の命を狙った人間の身内を妃に選ぶと?」
「・・・・やっぱり、6歳までに消しておくべきだったな。」
「そうすれば我が世の春を謳歌してたでしょうね。ところで侯爵、反逆罪は未遂でも適用されるのはご存知ですか?」
反逆罪は未遂も含めて、死罪と決まっている。
「ああ。」
「侯爵。服の内側にまだナイフが残っているはずだ」
侯爵は俺の発言を聞くと服の内側を探った。
「どうして・・・・」確かにナイフを探り当てたらしく、侯爵が驚く。
「最後の情けをかけてやる。あなたの性格上、自分より身分が下の人間から処分を下されるなんて屈辱だろう?
だから、私が自ら命を絶つかおとなしく死罪を適用されるのを待つのか選ばせてやる。侯爵、どちらでも好きなほうを選べばいい」
俺はそういうと、牢屋から背中を向けた。
次はゲイリーの処分か・・・これは誘拐罪とはいえ被害者が生還してるし、侯爵に利用されていたという点は同情できるからなあ・・・・まあ、今度の会議で決めることになる。
数日後。
「陛下。ブランジーニ侯爵が自ら命を絶ちました」
書類を持ってきたセオがついでのことのように俺に告げる。
「・・・そうか。」
「・・・ハル。侯爵は服の内側にナイフを隠し持っていたそうだ。」
「おや。ナイフなんか隠し持っていたのか。それは気づかなかった。」
「ハル。おまえ、知ってて死罪か自殺か選ばせたな」
「それに気がついているのは、セオとトビーだけかな?」
「ああ。トビーはハルと一緒に侯爵を捕らえてるからな。・・・俺たちはお前の判断を支持するよ。」
セオとトビーにはかなわないな・・・俺はちょっと笑ってうなずいた。
俺の顔を見て、セオはやれやれといった顔をして「陛下。書類を片付けてくださいね。今日はエマがケーキを持ってきてくれますから」と言い、部屋から出て行った。
そういえば、エマが戻ってきた日のセオの行動は素早かった。
母上とのお茶会が終わるやいなやトビーをつかまえてエマの魔法を解除させて、さっさと屋敷に連れ帰ってそのまま戻ってこなかった。
次の日は、セオが上機嫌なのに対しエマが疲れていたよなあ・・・ま、余計な詮索して仕事を増やされるのも困るからほっておくことにしよう。
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今日は短いです。
ここのところ、長文が続いていたので・・・。




