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宰相閣下と行儀見習の娘  作者: 春隣 豆吉
第6章:陛下の微笑み
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3.バトラーとエマ

石を回収。の巻

 ゲイリーは、「メイドのエマ」と自分が誘拐したエマは別人だと判断してくれたらしい。

 それにしても、ゲイリーは一度部屋に入るとなかなか出てこない。

 食事はバトラーが作ったものしか食べないし、庭を散歩とか図書室に行くとかもしない。

 部屋から出てくれないかなあ。伝達石が回収できないじゃないか。


 そんな私の願いが通じたのか、ふいにチャンスがおとずれた。

ゲイリーとバトラーが侯爵様やダニエラ様と出かける、とアイリーンが朝の打ち合わせのときに発表したのだ。

 これは石を回収できそう。

「アイリーンさん、お客様が訪れてから一度も部屋から出ていないので掃除ができておりません。できましたら、ざっと掃除をしたいのですが」

「そうね・・・そういえば、お客様は一度も部屋から出てこなかったですものね。ちょっとお客様に聞いてみます」

「はい」

 あんまりしつこく頼むと怪しまれてしまう。私はこれでダメならまた次があるさと思うようにした。

 でも、あんまり長居もしたくないけど。

 ゲイリーは食べるものはバトラーが作ったもの以外は食べないけれど食器を違う人に洗ってもらうのは大丈夫らしい。バトラーが置いていった食器を含め、台所で片づけをしているとアイリーンが顔を出した。

「エマ。お客様から掃除の許可が出たわ。バトラーさんの監視の下で掃除をしてほしいそうよ」

「はい。わかりました」

 バトラーの監視つきかあ・・・いったい部屋で何をやっているんだ、ゲイリー。それよりもどうやって石を回収しようかしら。


「失礼します。掃除の許可をいただきありがとうございます」

 私はゲイリーの部屋に入って・・・ぎょっとした。き、汚い・・・まだ、この屋敷に来て3日じゃないか。どうしてこんなに汚せるんだ。ああ、早く掃除したい!!

「バトラー、私は図書室にいるから終わったら呼んでくれ」

「かしこまりました」

 そういうとゲイリーが出て行った。どうせならバトラーも連れて行けばいいのにー。

「じゃあ、さっさと始めてくれ。」

「はい。」

 これくらい部屋が汚れてるなら、違和感なく石を回収できそうな気がする。

「バトラーさん、窓を開けてもいいですか」

「じゃあ私が開けよう」

「そうですか?それではお願いします。」バトラーが後ろを向いたときに、私は持ってきたハタキをかけるついでに戸棚の上の石を回収。

 そのあと、額物をふくついでに、裏の石も回収。

 その後もバトラーさんの視線を感じながら黙々と掃除をし、最後の窓拭きが終わるとバトラーが話しかけてきた。


「エマさん。あなたには同じ名前の親戚っていますか」

「は?同じ名前のですか。いませんけど」

「ふむ・・・じゃあ、主にはそう返答しておくか」

「主って、ゲイリー様ですか。」

「エマさんを見てると、自分が以前に関わった女性を思い出すそうです。掃除に来てもらうついでに尋ねろとおっしゃって」

「はあ・・・。以前に関わったって・・・・恋人とかですか」

 ちょっととぼけて聞いてみる。これで恋人だって言われたら頭抱えるぞ、私。

「そういうのではない。主はほっそりした美人が好きだからな。・・・でも気に入ってたのは間違いない。女性と話していてあれほど楽しそうな主は見たことがないからな」

「はあ、そうなんですか」

 悪かったな。ほっそりじゃないうえに普通の顔で。それにしても主従そろって言動が失礼だな。

「さて、掃除が終わったようですね。私は主を呼びに行きます。エマさん、さっさと部屋から出てくださいね」

「あ、はい」私はポケットに入れた石の所在を確かめた。なんか拾えてるといいんだけどなあ。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


言動が失礼な主従です。

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