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宰相閣下と行儀見習の娘  作者: 春隣 豆吉
第5章:華やかな花
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6.エマの手も借りたい

国王様からの頼み事。の巻

「皆、とりあえず座ろうか」

 国王様の言葉でそれぞれ手近にあった椅子に座る。私とセオ様は二人でソファに座った。

「エマ、この部屋は全体に嘘を見抜く魔法がかけられているから“真実の間”と言う名前がある。申し訳ないが、ノリス嬢の話をすぐに信じるのもどうかと思ってね。この部屋にあえて通した。」

「そうなんですか」ちょっと引っかかりはあるけど、トビーさんからすればアイリーンは今日会ったばかりの人間だ。そりゃ、疑ってかかるよね・・・・。

「子供の頃、3人でいたずらすると前魔道士長がここに連れてくるんだ。言いたくなくても白状するしかなかったな」セオ様が懐かしそうだ。

「そうそう。そしておやつ抜きの罰が下されるんだよな」トビーさんも笑っている。

 この3人が、王宮でどんな子供時代を過ごしたのかちょっと知りたくなる。今度セオ様に聞いたら教えてくれるかな。


「二人とも、思い出話はそこまでだ。ブランジーニの話をしよう。さて、ブランジーニ侯爵は自分が手をつけた女を姪として私に近づけて、あわよくば正妃にって思っていたようだね。

それとノリス嬢が言っていた“出入りしている変な人”・・・トビーから話を聞いて、私はバルフォアのような気がするのだが。」

 国王様の言葉に、セオ様とトビーさんもうなずく。やっぱり3人とも私と同じこと思ったんだ。

「ねえ、エマはノリス嬢の言っていた“出入りしている変な人”の話を聞いてどう思った?」

 国王様に聞かれて、私は口を開いた。

「私も、あのへんた・・・・ゲイリーのことじゃないかと思いました。アイリーンの話す容姿と、もう一人の小柄な男性は、たぶんゲイリーに忠実なバトラーかと・・」

 たぶん、もう会うこともないけど、もし会えるなら私は変態ゲイリーに一言いいたい。ついでにあの顔に一発ばちんとくらわしたい。人の髪の毛を勝手に切ったあげくに3階から突き飛ばされたことは忘れてないんだから!!

「エマ?どうした?」

「は、はいっ?」どうやら私の顔が強張っていたらしく、セオ様に呼ばれて返事をすると3人が私を見ていた。

「なんか、顔が怖かったぞ」

「そ、そうですかあ?」ごまかそうとすると、部屋の空気が私のまわりで重くなる・・・・そして勝手に口が動き出した。


「私、ゲイリーに一言いいたいんですよ。“この変態。人の髪の毛勝手に切ったあげくに3階から突き落とすなんてどういうことだ”って。ついでに一発くらわしてやりたいんです!!」

 つい言ってしまった・・・・恐るべし真実の間!!恐る恐るセオ様を見ると・・・・下を向いて肩を震わせている・・・・国王様とトビーさんもセオ様と同じ・・・・。

 一人でおろおろしていると、国王様が「ぷっ」と言ったのを合図に3人が笑い出した。

「え?えーっ。なんでそんなに大笑いするんです??もう、セオ様!!」

「わ、悪い・・・エマと初めて会ったときのことを思い出してしまって・・・そうだよな、一発くらわせてやりたいよな」

「エ、エマ・・・・きみは最高だよ」

「いやいや全く・・・・」

「なんですか?3人とも!!なんだか腹がたつんですけどっ」


 ひとしきり笑い終え、落ち着いた国王様は私を見て「エマ。バルフォアに一発くらわせたいなら、私に手を貸してくれないか?」とまだちょっと笑いながら言った。

「へっ?手を貸すって??」

「セオ・・・エマが一発くらわせるのを俺たちも手伝ってやろうよ」トビーさんがセオ様に言うと、セオ様も「・・・アリンガム殿になんて説明すればいいんだ・・・・」と訳の分からない会話をしている。

 いったい、何なのよ。もう。

「国王様。どういうことですか?」

「エマ。侯爵の屋敷でメイドとして働いてくれないか?そこで、今回のダニエラの件や奴が何を企んでるか探ってほしい」

「探るなんて無理です!!私は諜報活動なんてしたことありません。ただの商家の娘です!!」

「探るといっても侯爵の家に来るお客のチェックと、伝達石を目立たないところに置いて、掃除のついでに回収してほしいだけさ」

「いやいやいや!!充分危ないです!!ゲイリーは私の顔を知ってるじゃないですか!魔法が使えるんですから、変装しても無駄ですし!!」

「じゃあ、バルフォアにばれなきゃいいんだね?」

 トビーさんに言われて、私はちょっと考えた。そりゃ、ばれなきゃ・・・ねえ?

「・・・・う。それはその・・・・」

「エマ、俺をなめてもらっちゃ困るなあ。バルフォアは、俺より魔力はかなり下だよ。奴の目くらましくらい簡単さ。エマの好きな色に髪も瞳も変えてあげるよ」

 トビーさんは王国最高の魔道士・・・・その人にここまで言われると、正直揺らぐ。でも・・・

 私が返答につまっていると、「エマ。今すぐに答えは出さなくていいよ。セオやアリンガム殿とよく相談して結論をだしてくれていい。

 実は、侯爵が10日後に王都に来る。エマに潜入してほしいのは、その時期だけだから。いい返事を待っているからね?」

 国王様は期待のこもった目で私を見た。セオ様は「エマ。帰ってから話そう」と私に言った。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


まずい・・・王様や宰相の立ち回りが5章で出てこない可能性高し。

先に謝っておきます。

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