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宰相閣下と行儀見習の娘  作者: 春隣 豆吉
第3章:神様と私の認識違い
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11.神様と私の認識違い

まどろむエマ。の巻

 どこまでも続く柔らかそうな緑の芝生。私はバスケットを持ってその上に立った。

「うーん。気持ちいい」私は伸びを一回。

 解放されて一週間。現在私はアリンガム家所有の別宅でのんびりしていた。ここは王都から離れた場所にあって森に囲まれた場所だ。

 私はすぐに当主様の屋敷に戻るつもりだったんだけど、当主様から「しばらくのんびりしてていいから」と言われ、家族の勧めも会って私はこの別宅に来た。


 不ぞろいに切られてしまった私の髪は、今はものすごく短くなってしまった。首に風を感じるなんてすごく新鮮。

「さて、ここでお昼にしようかな~」私は敷物を引いて、バスケットの中身を開ける。

 パンプキンシードのパンにベーコンとチーズのキッシュ、ほうれん草のスープにクランベリーのクッキー。ポットには暖かい紅茶。

私が別宅について最初にしたことは思いっきり料理をすることだった。

 朝食の残りと昨日作ったクッキーで昼食兼お茶にしよう。芝生の上も気持ちよさそうだから、裸足になっちゃえ。

 芝生の感触を確かめて嬉しくなってしまう。すごい開放感。

 食事を終えると、敷物のうえに横になってぼんやり空を眺めた。あの屋敷でもいつも空を見てたけど、やっぱりこうやって見るのが一番気持ちいい・・・・私はなんだか眠くなってきたので目を閉じた・・・・



「エマちゃん。大変だったわね~」

 目の前に神様がいた。

「あ!神様!!」私は神様に会ったら言いたいことがあった。

「あの、神様は私の人生を“ちょっとした争いはあるものの大部分は平穏な人生”って言いましたよね。ちょっとしたどころじゃないじゃないですか。誘拐なんて普通の人生では遭遇しませんよ」

「あら、ちょっとした争いじゃないの?大規模な争いって、国が滅びるとかそういうレベルのことよ」

 それは規模大きすぎるだろう、神様!!もしかして、神様のなかでは世界の存亡やや国家間の争いが「大規模」で個人の人生における事件全てが「ちょっとした争い」なんだろうか。

「そうねえ、エマちゃんの考えているとおりよ」

「私の思考を読まないでくださいよ!!」

「あら、エマちゃん口に出してたわよ。ねえ、それよりも♪そろそろ彼が運命の相手だって認めたら?落ちてくるエマちゃんを見事なキャッチ・・・素敵だったわあ」

 神様って男性だったよね・・・いや、心が女性なら当主様にうっとりするのはアリか。

「見てたんなら助けてくれてもよかったじゃないですか」

「だめだめだめ。神様は基本見守るだけの存在なのよ。」神様は目の前でちっちっちと指を振る。

 神様は私の運命の相手が当主様だという。前に聞かされたときは絶対ありえないと思っていたんだけど、軟禁されていたときに思い浮かんだのは当主様のことだった。

 最初は出会っていきなりプロポーズはしてきたので微妙な人だと思っていたけど、屋敷で働き始めると、何気ないやりとりをするのがすごく楽しくて。

 結局、朝起こしに行くのだって面倒くさいんだけど、当主様が一人で起きてくるようになったら、きっと寂しくなる。

「神様、私、ちゃんと考えてみます。もしそうだって分かったら認めます」

「あら。前向きになったみたいね~。じゃあエマちゃん、私もう行くわね。また夢の中で会いましょうね」

 そういうと、神様は消えていった・・・・。


 私はうっすらと目を開けた。なんか、隣に人の気配を感じる。寝たままちらっと見ると、見覚えのある服・・・・「え!!」思わず飛び起きる。その際、顔のあたりを確かめる・・・・よだれはついてないな、よし。

「エマ。目が覚めた?ここは気持ちのいい場所だね」当主様が私の隣に座っていた。

「と、当主様!!何をしにきたんですか。人の寝顔を黙ってみてるなんて、最低!!」

「誤解だ!!俺はさっき来たばっかりだ!!・・・そりゃ少しは見たけど」

 当主様の慌てぶりにうそはないと見て、私は自分の言い草をちょっと後悔。

「申し訳ありません。それで当主様、こんな辺鄙なところまでどうなさったのですか」

「エマを迎えに来たんだ。一緒に屋敷に戻らないか」

 やっぱり運命の人なのかなあ・・・私は神様との対話をぼんやりと考えていた。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


平穏な日常に戻ったエマなのでした。

宰相閣下が本当に来たばっかりだったのかは

内緒です。


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