7.宰相閣下、開始する
探索開始。の巻
セオ視点です。
ハルはエマが誘拐されて、しかもそれに王太后様付きのメイドが絡んでいることを知ると言葉をなくした。
「セオ。母上とレリアには話したほうがいいな」
「トビーの部下の一人を王太后様に事情を話した上でメイドに入れれば、ロザリーを離宮内で見張ることは簡単です。王太后様と女官長のレリア殿も間違いなく協力してくれるでしょう。」
ロザリーがいる離宮では話しづらいので、ハルの執務室に二人を呼ぶことにした。
「ハル!どうしてもっと早くわたくしに知らせなかったのですか!!」
王太后様は話を聞き終わると、ハルを叱りつけた。
「王太后様の言うとおりです、ハル様」レリアもハルを恨めしげに見る。
レリア殿は、王太后様のご実家で世話係として仕えてきて、ご結婚のときに王宮にやってきた。まさに王太后様の腹心で、ともに後宮の争いを乗り越えた戦友でもあるそうだ。
「申し訳ありません、母上。すまない、レリア。でもこっちにも事情と言うのがあるんです」
「そりゃそうでしょうけど。セオドール、本当にロザリーがエマの誘拐に関わっているの?」
王太后様はまだ信じられないという感じだ。
「王太后様。こちらにはお持ちしていませんが、ロザリーが関わっているという証拠があります」
「残念ね。ロザリーはいいメイドなのに・・・」
「まったくです。」レリア殿も残念そうにため息をついた。
「母上、レリア。そこでお願いがあります。トビーの部下をメイドとしてこちらに入れることを許可していただけませんか。トビーが証拠品の分析をしていますが、ロザリーの動向もエマの居場所を探す重要な鍵になるのです。」
ハルの意見に、王太后様とレリア殿は賛成し、その日のうちに新人のメイドとしてトビーの部下が入ることが決まった。
離宮内のロザリーの動きはトビーの部下が見張り、休日の動きは俺とアリンガム家が協力して見張ることになった。
尾行の結果を聞くには、王宮は目立ちすぎる。宰相室に人の出入りが激しくなると、よけいな勘ぐりをする人間が必ず出てくる。
俺はアリンガム殿と話して、キンケイド家を中継場所にすることにした。トビーが気まぐれでつなげた魔方陣がここでも役に立つというのは、なんだか複雑な気分だ。
こんなことで使いたくはなかった。
エマが誘拐されて一週間たち、待ちに待ったロザリーの休日がやってきた。
“ロザリーが王宮を出た”という知らせを受けると、まずはラルフがロザリーの動向を探るために王宮を出て行った。
読了ありがとうございました。
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緊迫した回のはずなんですけど、その感じがなかなか
表現しきれなかったです。
大好きな「○平」みたいにきびきびとした文が
書けるようになりたいなあ。
書いてる人間がのんびりしてるので文章ものんびり
しちゃうのかもしれません。




