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宰相閣下と行儀見習の娘  作者: 春隣 豆吉
第3章:神様と私の認識違い
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4.エマと誘拐犯たち-2

わがままな人質。の巻

 新しく通された部屋は窓があって明るい部屋だった。でもやっぱり家具やベッドは高級品なのに温かみがない部屋・・・。

「この部屋でいいか?」なぜか主が部屋を案内してくれたんだよね~。バトラーか下っ端が案内するかと思ったら。

「はい、ありがとうございます。窓を開けてもいいですか?」

「かまわないが、そこから逃げようと思わないように。魔法で結界張ってるし、ここは3階だから落ちたら死ぬよ」

 なんでこの人は見透かすんだろ。私ってそんなに考えがダダもれですか。


「主、食事をお持ちしました」バトラーがワゴンに食べ物を乗せて現れた。

 野菜スープとロールパン、それにじゃがいもをゆでたもの。調度品のわりに食事は質素。お肉がないってことは、主は菜食主義者か。

 なぜか食器が二つ。バトラーは部屋のテーブルに料理と食器を並べ終わると「失礼します」と頭を下げて部屋を出て行った。

「さて、エマ嬢。食事にしようか」

「え。主さんもここで食べるんですか」

「なんだ。私がここで食べてはいけないというのかい?」主は眉をひそめて不満気に言われてしまう。

「いえいえ。そういうわけではありませんよ。お腹すいちゃったなあー、いただきますっ」私は主をスルーしてスープを一口。

「・・・・・」うーん・・・・なんだろう。この一味足りない感。私だったら、塩とハーブをちょっと足して、できればベーコンあたりを入れる。

「エマ嬢、どうした?」

 主が不審げな目をして私をみた。

「はい?なんですか」

「食事には何も入ってないぞ。それを証明するために同席で食事をしているのだ」

 そうだったのか。飢え死にと毒殺はなさそうだ・・・今のところは。

「いえ・・・こちらの料理はどなたが作ってるのかな、と思って」

「これはバトラーが作っているのだ」

「そうなんですか。」バトラー、何でもやるのか。万能型か。

「メイドさんや料理人はいらっしゃらないんですか。こんなに立派な屋敷なのに」

「ここにはおらん。」

「そうですか。」今度はパンを一口。うーん・・・・ちょっとぱさぱさ。

 うーん、この屋敷は調度品は豪華なのに食事が微妙・・・・人質だから文句はいわないけど。


 食事を終え、主が呼び鈴を鳴らすとバトラーがお茶の用意をして部屋に入ってきた。

 バトラーが慣れた手つきでお茶をいれてくれる。うん、お茶は美味しい。

「エマ嬢。ちょっと聞いてもいいか」

「はい。なんですか」

「きみは人質ということを自分で分かってるのか」

「分かってますよ。すいませんね、わがままな人質で」

「確かに君はわがままな人質だ。しかし面白いから許す」

「ありがとうございますってお礼を言ったほうがいいでしょうか。それより私を家に帰してくださいよ」

「それはだめだ。」

「当主様と実家は取引してますけど、私個人と当主様は何もありませんよ」

 私がそういうと、主とバトラーは信じられないという顔をして私を見たあと、またこそこそと二人で話し始めた。

「おい。この娘、腹が据わっているのに鈍いのか」

「そのようですね」

 どうも、この主従は失礼な言動が多い。


 私が自分でお茶をいれようとポットに手を伸ばしたとき、主が「エマ嬢」と声をかけてきた。

「はい?」と私が振り向いた瞬間、何かが私の顔を横切った。

「え?何??」と思って顔をさわったら・・・肩甲骨まで伸びてる髪の毛の一部が切られた!?

「何すんですか!!」

「エマ嬢。きみは人質だ・・・そこを自覚してもらわないと。」

 主が私の髪の毛を掴んで笑っていた。





読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


わがままな人質のエマです。

どうも泣いて気絶するヒロインが好きではないので

こんななってます。

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