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宰相閣下と行儀見習の娘  作者: 春隣 豆吉
第2章:周囲にはいろいろな人がいる
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6.周囲にはいろいろな人がいる

周囲の思惑。の巻


第三者視点とセオ視点です

 3人だけで内密の話をしたいときは、王宮にあるハルの個室ですると子供の頃から決まっている。珍しくトビーが召集をかけたため、久々に3人そろって顔を合わせた。

「王太后様の離宮にかけた結界が一部破損している。何者かが侵入したらしいな」

 トビーがハルと俺に報告した。

「トビーの結界を破るやつなんているのか?」ハルが驚く。

「王宮は広いからね。私の結界が弱まる場所だってあるさ・・・でも悔しいな。」

 珍しく悔しがるトビーとハルに、俺は母上が感じた気配のことを打ち明けることにした。

「今、家に両親が来ているんだが、母上がエマを連れて出かけたときにエマを見ている悪意の気配を感じたそうだ。両親にも話したんだが、お前がかけた防御魔法はどれくらい効果がある?」

「あれは死にはしないけど多少の傷は負うものだ。エマには魔力がないから、そんなに強いものはかけられない。魔力に本人の体力が負けてしまうからね」

「そうか・・・」

「どうしてエマを・・・彼女がアリンガム家の娘だからか?」ハルがもっともな可能性を口にする。

「夫人が感じた悪意の気配は、離宮の結界が破られたのと関係があるのかが気になるね・・・とりあえず、私は離宮を調べてみようかな。」そういうと、トビーは移動魔法で消えた。

「トビーは行動するときは早いよな」思わず苦笑してしまう。

「なあ、セオ。トビーは王宮の図書室にこもりきりで、めったに外出もしないというのに、どうしてエマに防御魔法をかけることができたんだ?」

 ハルが不思議そうに聞いてくる。そういえば、ハルには屋敷であった“幽霊騒ぎ”を話してなかった。

 俺は、トビーが王宮と家の図書室を魔方陣でつなげたこと、たまたま図書室に本を返しにきたエマが本棚からいきなり現れたトビーを見て幽霊だと思った話をすると、ハルは大笑いをした。

「ぶっ・・・それは、トビーが悪いな。それにしてもいつの間にそんな仕掛けをしたんだか・・・でも、その魔方陣いいな。俺も使わせてもらおうかな」

「陛下。あなたに使わせるわけないでしょう。それとも私の目を盗んで出かけるつもりですか?」

「どうしてそこで仕事口調になるんだ。ところで、トビーが防御魔法をかけたってことはエマに触れたってことだろ?お前、よく許したね」

「・・・・トビーのやつ、エマに自己紹介ついでにやりやがった」

 今でもかけてもらってよかったと思ってはいても、腹がたつ。エマにさわっていいのは俺だけだ。

「セオ。顔が怖いよ。思い出し怒りはやめてくれないか?」

「うるさい。元からこういう顔なんだよ」

 俺が言うと、ハルはまた笑いだした。



「主。今日はエマ・アリンガムは前公爵夫人と外出したようです。夫人のほうはこちらの視線に気づいたようですが、本人は・・・」ここで、報告した背の低い男がクックック・・・と笑う。

「ふん。そういう魔力はないのか・・・ならば夫人たちが帰ったあとのほうが狙いやすいな」

 報告を聞いているのは「主」と呼ばれた何の感情も宿さない冷たい瞳を持つ中世的な面立ちの男。

「そうですね。ただ、あの娘が一人で出歩くというのは王宮に行くときだけなのです。それも馬車で移動なのですが・・・」

「大丈夫だ。なんのためにあの女を引き入れたと思ってる。」

「ああ・・・あのメイドですか」

「美人だが、味気ない女だ。男に免疫がなかったらしいから簡単だったけどな。仕事が終わったら用済みだ。」

「・・・もう手をつけたんですか。」背の低い男が呆れたような口調で言う。

「・・・エマ・アリンガムはどうだろうな。あの宰相が目をつけたのだから、あの女よりも上等だろうな」

 男はニヤリとした。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


この話で第2章は終わりです。

次回から第3章です。

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