どうやら五分後、俺は死ぬらしい

　自称本好きの変態紳士である男子高生の成瀬勇武は、「夢幻迷牢ファントロウム」という題名の本を手に取り、ページを開いた。
　だが、物語は未完成でページの大半が白紙。疑問に思った直後、勇武は本の中の世界に吸い込まれ、各人各様の見知らぬ人たちと共に、謎のダンジョンの前で立ち竦んでいた。

　本の世界に呼ばれたのは、生まれた時代も世界も異なる七人の男女。勇武たちは、物語の登場人物としてこのダンジョンを突破していき、未完成の冒険譚を作り上げる役割を一方的に課されたのだった。
　本恋しさ故、速やかに元の世界に帰りたい勇武は、一風変わった仲間たちと共に、どんな願いも叶えてくれるという夢幻竜に会うべく、ダンジョン攻略を目指す。だが──。

〈この物語の中であなたに与えられた役割。それは、冒険開始五分後に死ぬ哀れな使い捨てキャラです〉

「は？」

　愛書家の変態紳士、どうやら本の世界からめちゃくちゃ嫌われているらしい。


※しばらくは、2日～1週間につき複数話まとめて投稿。その後、毎日投稿に切り替える予定。