第十二章6 【覇王杯/オーバーロード・カップ/内田 愛幸チーム】4/内田 愛幸という存在の真実
【内田 愛幸】は、何故、元々の存在である【弥生 空刻】に反発する行動を取る様になったか?
それはある事がきっかけとなっていた。
それは、【内田 愛幸】は、【内田 愛幸】であって、【弥生 空刻】の血と汗と涙の結晶である【内田 愛幸】では無いと言う事である。
そう。
今、【覇王杯/オーバーロード・カップ】逆転参戦方式に参加している【内田 愛幸】は、本物の【内田 愛幸】から、その権利を奪った【なりすまし】なのである。
では何があったのか?
それを少し語ろう。
当時、4回に渡る【覇王】として君臨していた【弥生 空刻】は自身の【覇王】としての実力は【サーティーン・オーバーロード/第30覇王】クラスの実力が限界として、次なる可能性を目指して、当時の【神】と【悪魔】の座を奪い、自身が【神】であり、【悪魔】でもある【神魔】として【転生】する事を決意していた。
そして、それには、必要事項として【自分の名前】を捨てなければならないとして、【弥生 空刻】の名を捨てた。
だが、元の姿に対してそれなりに愛着を持っていた【弥生 空刻】は、名前を残せなくても攻めて姿形だけでも残したいと思い、自身の血と汗と涙をかき集めて作り出した自分の代わりとなる存在、【内田 愛幸】を作り出し、自分の代わりに第5回目の【覇王杯/オーバーロード・カップ】に参加させる様に指示を出した。
元々の【内田 愛幸】は、【弥生 空刻】に忠実に従う存在であり、少なくとも、【神魔】となった【弥生 空刻】の座を脅かす存在に数えられる様な存在では無かった。
だが、忠実であるが故に、命令以外の事はしなかったため、【なりすまし】による行為を防ぐ事は出来なかった。
【なりすまし】をしようとしたのは、これまでに地球最大の脅威とされてきた【レベル5769】の怪物につぐ、【レベル4236】と認定された【存在】だった。
【レベル4236】は【ジャンデ】と呼ばれた怪物だった。
【ジャンデ】は時の戦力に退治されたとされたが、しぶとく生き残っていた。
最後の力を振り絞り、最初は、虫と同化し、徐々に大きな生き物と同化をし、命を長らえていた。
元々自我の無い様な怪物だったが、徐々に生き延びるためにはあらゆる要素を吸収、利用して生きてきた。
そして、【アブノーマル】の【男性】との同化を果たした時、【内田 愛幸】の元になる人格が構成された。
当時、その男性は、【夢異世界部活学校】に通う力こそなかったが、通っている者を偶然目撃しており、そこから、【都立夢異世界部活学校】へ侵入した。
そして、【異世界交流部】を知り、元々の【内田 愛幸】と接触した。
やがて、疑うことを知らなかった、【内田 愛幸】と成り代わる事を決意し、元々使っていた【アブノーマルな男性】の肉体を捨て、【内田 愛幸】の身体を乗っ取った。
そこからは、【変態紳士/内田 愛幸】として、元々の【アブノーマルな男性】の趣向だった、【ロリコン】としての趣味を前面に出してきたり、【夢異世界部活学校】の【ライバル】とも言える【何出妄屋】と契約したり、生き残るために、絶対の主である【神魔/弥生 空刻】に隠れて自身の戦力を高めたりする様になったのである。
全てを【神魔】に知られてはならない。
知られれば異物として、【神魔】に粛正される。
だから彼は隠密裏に行動した。
そうして、【選ばれし者】の一角にまで数えられる様になり、今に至るのである。
彼は【覇王】として、身の安全がある程度保障(配下などに守って貰える)される事を望んでいる。
やれることは何でもやる。
それが【内田 愛幸】と言う存在の真実なのだった。