補足:黄巣と唐の塩の専売について
黄巢は若い時から王仙芝と共にいつも塩の密売を仕事としていた。
そしてこのような塩の密売が仕事として成り立った原因は唐が行った塩の専売にあり、時を遡ると※安史の乱により財政が困窮した唐はその最中の乾元元(758)年に塩の専売を断行し、そして塩の専売が断行されると高い税率を掛けられた塩は、やがてそれ以前の数十倍の価格になり、塩の専売で得られる利益がその後財政収入の半分を占めるようになった。
しかし塩は人間が生きて行くために必要不可欠であるので、いくら値段が跳ね上がっても消費者は塩を購入せざるを得ない。
そこで登場するのが王仙芝や黄巣のような塩の密売人と彼らが流通させる闇の塩であり、専売されている塩の半分の価格で売っても大きな利益を上げた。
しかし闇の塩の流通が盛んになると財政の多くを塩に頼っている国家は、それを取り締まるために軍備を強化するが、塩の密売人もそれに対応して軍備を強化し、それに対応するためさらに国家は軍備を強化せざるを得ないので、ますます財政が膨張してさらに高い税率を塩に掛け、またその価格を上げるという負の連鎖に陥った。
そしてそのような塩の密売の取り締まりに対し軍備を強化した組織を生かして王仙芝と黄巣は反乱を起こした。
※安史の乱
前章の乾符四(877)年① ※節度使を参照。