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異世界セカンドライフ・プランニングは綿密に

作者: 冬野 暉

「おまえさ、生まれ変わりって信じるか?」


「信じるも何も、とっくに異世界転生済みですが?」

「そうじゃなくてさあ。今生が終わればこの世界の輪廻に組みこまれるわけだろ? 次も『俺』と『おまえ』のまま生まれるかどうかわかんねえじゃん。そもそも、生まれ変われるのかすら不明だし」

「それは――そうですね」

「もしかしたら、おまえとは今生限りの付き合いになる可能性もあるわけだ」

「腐りきった腐れ縁が切れるかもしれないわけですね。おめでとうございます」

「前世は幼なじみで元夫婦、今生は同い年の従姉弟で許嫁。ただし、第二王子の俺の外祖父と第一王子派のおまえの親父がバッチバチで破談寸前。発酵してるなあ、俺らの縁」

「発酵していたら、納豆の糸みたいになかなか切れないのでは?」

「ははは、確かに」

「……生まれ変わりがあるのかはどうか存じ上げませんが」

「うん?」

「前世はお互い仕事第一でさっさと円満離婚して。あなた、別れてすぐにあっさり過労死したでしょう」

「ああ……そうだったっけ」

「ずっと後悔しているのですよ、わたし」

「何を?」

「わたしの人生において最優先すべきものは仕事ではなかった。あなたに先立たれて、ようやくわかりました」

「あっ…………そう」

「だから、この世界で再会したときに決意したのです。絶対にあなたを逃さない。老衰で大往生するまで、わたしの隣で生かし続けると」

「えっ。想像以上に重い」

「というわけですので、さっさと王位継承権を放棄なさってください。手続きが済み次第、神殿に駆けこんで婚姻の宣誓を行い辺境に隠遁します。資金繰りに窮して爵位と領地を売り払おうとしている地方貴族に目星をつけておりますので、わたしの個人資産で安く買い叩きましょう」

「何その綿密な計画。俺の意見は?」

「異論が?」

「ないけどさあ」

「でしたら、明日から作戦開始です。無事に爵位と領地を買い取ったら商会を作りますので、持て余している元営業部エースの辣腕を大いに振るってください。領地経営にも育児にも、資金はいくらあっても足りませんので」

「おまえ、子ども欲しいの? 意外だなあ」

「前世の後悔、その二です」

「その二」

「あなたの子どもを産んで育ててみたかった。年を取れば取るほど思いました」

「俺、愛されてたんだねえ」

「過去形ではなくて現在進行形に訂正していただけますか?」

「はいはい。――んじゃまあ異世界セカンドライフな幸せ家族計画、はじめますか!」

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― 新着の感想 ―
こういう設定大好物です。 自立した愛の重い女だいすき……! 続きが読みたい………!
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