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朧月夜、あの桜の下で  作者: 秋丸よう
【第1部】約束の桜
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【第4話】常識

 志乃は今授業を受けていた。この常識もクソも無い高入生達と。


 まあ、まずは入学式の日のことを説明しよう。

 あの事件が解決してから色々なことがあった。

 まず、志乃はと言うと、瘴気の影響を受けていないかの検査を強制的に受けさせられた。あとは、校舎の修復。教師陣への指導。生徒へのもしもの時の対応の仕方。その他もろもろ。

 あの女子生徒は高入生で一般人、虚、虚人が何なのかを知らなかった。猫に変化した虚人に惑わされてしまったのだ。彼女――宮下萌黄(みやしたもえぎ)は今は元気に学校に来ている。あの後は猛烈にクラスのみんな、主に志乃に謝っていた。そこで志乃と仲良くなったのだ。今は一緒に昼ごはんを食べる仲になっている。


 先程、高入生は常識もクソも無いと言ったが、一般人は一般の中学校に通っていたわけで、そこそこの人外知識はあるはずなのだ。しかし、虚と戦うことを娯楽として捉えている。プラスで一般常識も無い。人外への差別意識が高いのだ。先生も疲れきった面持ちである。


 今の授業は人外倫理学。B組は猫又のなーこ先生こと猫矢菜子(ねこやなこ)先生と人間の国永満(くにながみつる)先生が担当している。


「せんせー、あ、ごめんごめん、猫ちゃん、人外ってのは人間の真似して綺麗に化けてるってことでしょ要約すると」


 ケラケラと周りの人と笑い転げて話す男子。彼は来栖旬(くるすしゅん)。来栖グループの社長子息である。来栖グループは人外差別で有名な財閥である。周りの男女は知らん。


「はぁ、来栖くん、その要約は何ですか、それと彼女の事は猫矢先生と呼びなさい」


 来栖はニコッと笑って、

「せんせ、そんなこと言っても大丈夫なの? 上の人にちょっとお告げしたら一瞬で先生なんて、消えちゃうよ? いいの?」

と言う。


 志乃は皆に聞こえぬ音ではぁとため息をついた。


「クソめ」


 日南はわざと聞こえるようにそう言った。志乃は流石と思った。そこでやはり来栖は反応するようで。


「なんだと? 男がいないと何にもできないような奴が、偉そうにものを言うなよ」

「はぁ、ねえ、あんた周りの人から呆れられているとか思わないの? あ、ごめんね、馬鹿だから分かんないんだよね、ごめーん」


 2人の喧嘩は授業中にも関わらずヒートアップしていく。志乃はこれはやばいと思い、止めに入った。


「日南ちゃん、やめときなよ。こんなどうしようもない人に構ってても何にも得にならないよ」


 その言葉にスイッチが入ったのか、来栖の罵倒は志乃にまで及んだ。


「お前、その制服人外だろ。人外のくせに芋臭い化け方しか出来ないなんて、世も末だな。化けるだけしか能がないのに」


 志乃は言われたことに対していまいち理解が及ばなかったが、そう言えば今の姿は少し家と違うのだった。

 志乃の今の姿と言うと、眼鏡をかけている。まあ、ただそれだけなのだが、ただの眼鏡では無い。認識阻害術式が組み込まれた眼鏡だ。その名の通り認識を阻害し、他人には芋臭く見えるようになるとかならないとか。

 志乃は全然気にしなかったが、日南はそうともいかなかった。


「志乃のこと、なんにも知らないくせに、何分かった気で話してんの? やっぱクソだわ。人間として終わってる」


 志乃はその言葉を聞いて、少しときめいた。


 「人間として終わっている」

 これは今や人間に対しての最も屈辱的な侮辱である。この言葉は余程のことがない限り使わない。これを志乃に対しての侮辱に反抗して使うということは、日南はそれほどにまで志乃のことを大切に思ってくれていることなのだ。


「日南ちゃん……!」


 志乃は嬉しいと言いながら日南に抱きついた。日南はびっくりしたような、勝ち誇ったような顔で抱きつき返した。そのやり取りを見ていた周りの小中等部からの生徒は来栖とのやり取りを忘れてほっこりした。もちろん先生も。


「な、なんだよ、拍子抜けだわ……」


 来栖は毒気を抜かれたのか、席に座った。その時、チャイムがなった。


 

 その後、先生達は思い出したかのように日南をこっぴどく怒った。日南は解せぬと言っていた。

読んでくださり、ありがとうございます!

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