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朧月夜、あの桜の下で  作者: 秋丸よう
【第1部】約束の桜
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【第8話】貴人刀、貴妖刀

皆さんの小説が面白くて、私の小説更新が止まってしまいそうです(*^^*)冗談です。更新します。

 「おいで、界雷剣(かいらいけん)


 バチィと音がする。先生が手を前に翳すと、バチバチと電気を放ちながらどこからともなく剣が現れた。金色で黒色の剣。その名に相応しい剣だった。

 教室にいる人たちは初めて見るであろう人が大多数だ。皆、驚きと歓喜の顔で輝いていた。


「これが僕の貴人刀の界雷剣です。実は僕の実家は雷神と交わった陰陽師の家系なんですよ。ねぇ、籠屋さん?」


 日南の肩がびくりと動いた。先生は笑っている。生徒達も皆、日南の方を見た。


「…………やっぱり、鳴宮の家の者は意地悪だわ、そっとしておいてくれてもいいのに!」


 日南はバァンと机を叩いて立ち上がるとズカズカと先生の前まで行った。そして、これでもかと言うくらい睨んだ。


「だって、龍司が高校1年生に妹がいるって言うから、日南ちゃんだっけ? 貴人刀持ってるでしょ? はい、出す」


 鳴宮先生は屈託のない笑顔だった。日南はぐぬぬと言って出し渋る。


「日南ちゃん! 貴人刀持ってるの? 見てみたいなぁ!」

 

 鳴宮先生と日南は知り合いだったのかという盛大な勘違いをしている志乃はキラキラと目を輝かせていた。その期待の顔に耐えきれなかった日南はグウっと言って、ガクと項垂れた。


「志乃ぉ……ぐう、出しますよ、出せばいいんでしょ」


 半ば諦めた様子で手を前に出す。するとどこからともなく黒い立方体の箱が現れた。それだけで教室は盛り上がる。


「籠屋の名において、発動を許可する」


 日南が呟くとまるでルービックキューブのようにカチャカチャと動き始めた。しばらくすると箱は動きを止め、オレンジ色になっていた。スイスイとまるで意志を持っているかのように教室中を周りだす。


「この子が私の貴人刀であり、商売道具の籠り日の箱ちゃんです」


 死んだ魚のような目で話す日南の元に籠り日の箱はスリスリと頬を撫でて、まるで元気づけるような仕草をする。


「可愛いー!」


 志乃が歓喜の声を上げると、すかさず箱は志乃の元へと飛んでいく。しのが撫でると嬉しそうに震えた。


「……え? うん、日南のこと大切にしてって? そりゃもちろん! 日南ちゃんは私の1番大切な人だよ! え? 私の事はこもりちゃんて呼んでって? 分かった!」


 志乃と籠り日の箱が楽しそうに話し出したのだ。

 日南はその事実に驚いていたが、それ以上に1番と言われたことについて涙を流して大歓喜した。


「籠屋家の貴人刀に意思があるとは知っていましたが、貴人刀と話せるなんて……」


 鳴宮先生はブツブツとその後も話していたが、思い出したかのように授業を再開した。


「これらが貴人刀と言われる物です。貴人刀、貴妖刀はその人の心を映す鏡のようなもの。その人の性質、性格が大いに現れます。武器の形をしているものもあれば、籠屋さんのようにそうでは無いものもあります。そして虚人は貴人刀、貴妖刀、柊桃香で清めた武具でないと倒せません」


 続ける。

 

「しかし、貴人刀、貴妖刀は簡単に創造出来るものではありません。一般的には大きな決断、決心をした時、命の危機を感じた時、誰かを守りたいと強く願った時、貴人刀、貴妖刀は創造できると言われています。貴人刀、貴妖刀は全く研究が進んでいません。謎だらけなのです」


 そして、カッと目を見開いて、

「なので、貴人刀、貴妖刀を持ってる人は僕の研究材料になって下さい! お給料はたんまり払いますよ!」

 と言った。


 志乃は今まで真剣な話が全て水の泡になったかのような、そんなもろさを感じた。というか、みんな拍子抜けてしまった。


「はーい、授業はもう終わりですね。ありがとうございました、鳴宮先生」


 なーこ先生はゲフンゲフンと咳払いをして、鳴宮先生を教室の外まで引き摺って行った。そして終わりを告げるようにチャイムが鳴った。




 

 日南は後に言う。

「鳴宮の家の人ってね、好奇心の塊なの。自分が欲しいと思ったら力ずくでも手に入れるから、気をつけな。それと、龍司兄から聞いたけど、あの人あの調子になると止められないみたいだから、なーこ先生の判断は正しかったわけね」



 そして、志乃にだけそっと告げた。

 

「鳴宮天麻には気を付けてね」

読んで頂きありがとうございます!

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