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スラム住人と奴隷解放

この話は、ジャック外伝後半の導入部になります。

これで貴族編は完結です。


最後の謎、誰がジャックをフォーレンに呼んだのかは、外伝 後半初めに書いてあります。

わかった方も多いでしょうね。

 ある日の事、フレデイア伯爵の屋敷の執務室に、執事長が入って来た。部屋には、伯爵と第三夫人が居た。


 「旦那様、まいりました。」

 「セバス、来たか。そこに座ってくれ。」

 執事長は、第三夫人の横 テーブルの短い方にスツールを持ってきて座る。


 「では、これを読んでくれ。」

 伯爵は、執務机から昨日届いた手紙を、セバスに渡す。ギニア子爵から来た手紙で、伯爵の機嫌が悪くなった原因である。


・・・・・・


 「これは・・暗に、賠償金が欲しいと言う事ですか。」

 「そうだ。今、文官達に返事を書かせている。そして。」

 机にあった、2通目の手紙を取り執事長に渡す。

 「これが、妻が持ってきた手紙だ。読んでみろ。」


・・・・・・・


 「ほう、興味深いです。」

 「では、子爵の話をしよう。」


 「文官達の手紙では、話が進展しないだろう。そのまま、続けて放置するのも一つの手だが。

 文官の手紙が硬直化したら、セバス、お前がこの手紙を持って行ってくれ。読んでかまわんよ。」

 机から一枚の紙、先ほどまで書いていたようで インクがまだ乾いていない。


 「これですと、直接お会いになるのですか?」

 「そうだ、今後の文官の対応、会う場所・期日。全てお前に任せる。」

 「かしこまりました。」

 「もし、色々言うのであれば、分かっているな。」

 「はい。坑道ですな、ここに隠してある資材道具、それに過剰とも思える魔素爆弾の話をしても宜しいでしょうか。」

 「ああ、かまわない。そこまで分かるなら、なぜ、直接話す気になったか分かるか?」

 「恐らく、()()()にまだある。鎧の素材でしょうか。」

 「ははは、あとは頼む。」

 「かしこまりました。」


 「では次に、トードの手紙あった『ジャック』なる者だ。セバス、知っているか。」

 「はい、古い付き合いになります。」

 執事長は、そう言って夫人の胸元にあるブローチを見る。その視線に、伯爵は話を促す。


 執事長が、まだ冒険者をしていた時の話。

 「そうですね・・あの時は、ギルドの依頼でオーガの群れを討伐しに行った時です。人数は、4名。ジャックと魔法使いと弓使いでした。ギルドからの緊急依頼という事もあって、初めてパーティーを組むメンバーでした。


 即席のパーティーというのもあって、討伐に苦戦を強いらえましたが、何とか依頼を終わらせる事が出来たのです。


 討伐が終わって戦利品を見ていたのですが、オーガのボスから中型の『魔核』、宝物の中に『神代のアイテム』が入っていたのです。

 その日は、討伐に時間がかかり分配の話は、明日にしようと遅い食事になりました。


 それから、武器・道具の手入れを始めた頃。体の自由が効かなくなって身動き出来なくなったのです。一人弓使いが、動きだして私達を足で小突きだしました。魔法使いと私は、かすかに動く目で抗議をしていたのですが、腰の短刀を抜いて 離れて座っていたジャックに向かい歩き出したのです。


 そこからは、よく見えなかったのでしたが。弓使いがジャックの様子を見て、短刀を振り下ろした、その手を捕まえたのでしょうか。弓使いが宙を飛んで、ジャックのナイフが首に当てられていたのです。


 その後、弓使いは、ギルドを除名され、遠い村に行ったようです。


 戦利品は、ジャックが『魔核』を、神代のアイテムで『一度だけ蘇るというアイテム』は私に、報奨金と全ての宝物と素材を魔法使いがとりました。」

 「魔法使いは、それで満足でしたの?」

 「ええ、ギルドの依頼は緊急でしたので、通常の2倍。それに宝物と素材がかなり高額で売れたようで、これでもかと言う笑顔でした。」

 「そうでしたの。」


 「それでセバス。そのジャックは信じられるのか?」

 「彼は、信頼されればそれにこたえます。敵に回すと毎夜眠れなくなると言われています。」

 

 「そうか、ではおまえ。次のミサには私も出よう。」

 「部屋を準備すればよろしいのですね。」

 「おまえは、忙しいのだろう。」

 「はい、炊き出しの準備がありますので。」

 「では、セバス。警備を任せる。」


・・・・・


 当日、教会奥の飾られてはいないが、伯爵を迎える部屋にて。


 伯爵とセバス、騎士団長、騎士が3名

 ジャック、エイミとダイ

 9名が部屋にいた。


 「私が、フレデイア伯爵だ。」

 「私がジャック、こちらがエイミとダイです。」

 挨拶の後、着席をゆるされ、対談が始まった。


 「手紙にはトカゲと書いてあったが、目的はそれではないのだろう。なにが目的かな?」

 「はい、周りくどい話は苦手なので、何がしたいのかを話します。」

 騎士団長の顔が、ピクッと動いたが伯爵はそれを制した。

 「かまわん、少し話が乱暴なので団長が気にしている。君たちは、冒険者だから、私は気にしない事にしよう。それでここにきたのだから。いいね、団長。」

 「はい。」


 「お気遣いありがとうございます。それでは、普段の言葉で失礼します。」


 ジャックは、スラム住人が鉱山奴隷となっている事をはなした。

 それで、と促す伯爵。

 奴隷を解放したいのだが、協力をお願いしたいと言う。

 「彼らが、鉱山奴隷になったというが証拠はあるかな?」

 「確たるものは、ありません。」

 「では、どう信じろと?」

 「次の奴隷狩りの現場を押さえます。それを見てもられば、実態が分かるかと思います。」

 「そうかな?その者は否定しないか?」

 「それに合わせて、アジトから取引を記した帳簿を持ってきます。」

 「それは豪胆な。出来るのか?」

 「約束は出来かねますが、揃ったなら協力はお願いできますか?」

 「どんな協力だね?」

 「まず、スラム住人を町の住人として、登録してください。」

 「それくらいならいいだろう。」

 「スラム住人が、意思に反して連れ出され無いように、門番にお願いします。」

 「それも、住人なら問題ない。」


 「後は、エイミとダイから説明させます。」 

 「スラム住人の為に、読み書きと計算それと剣術を教えたいのです。今は使われていない教会を、貸してください。」

 「読み書き、計算?それに剣術。・・無理だ。」

 「ええ、スラム住人が反乱を起こせば、騎士団でも鎮圧は難しいですから、無理なのは承知しています。その後を聞いてください。」


 エイミとダイが語ったのは。


 スラム住人で、山の開墾をして『葡萄』をつくる事。

 山には、猛獣と魔獣がいるので、護身の剣術がいる事。

 葡萄の栽培には、山の勾配、日光の角度、日照時間、土壌など、たくさんの情報交換が必要になる。そのため、魔素板を回して知識を共有させたい事。

 葡萄は、そのまま売る事もするが葡萄酒を作って売りたい。そのため、山里の平地も開墾してワイナリーを作る事。

 葡萄園、工場やその護衛と多くの人出が必要になるのでスラム住人を働かせたい。

 エイミとダイの故郷では、葡萄栽培が盛んなので、山用の苗木を集めてくる。

 その援助をお願いしますと言われた。


 「夢物語を聞いているようだ。」

 「では?」

 「そうだな、確かに山も山里も私の領地だ。誰も使っていないからいいだろうが。


 その話を、信じろと言うのが無理だ。お前達には、その実績がない。まず、実績を見せろ。


 最初に、スラム住人が捕らえれている現場と取引の帳簿を見せてくれ。

 そうしたら、スラム住人の登録と門番の処分をする事にしよう。そうだな、帳簿があれば鉱山に居ると言う奴隷も連れ戻せるだろう。


 その後、その葡萄苗と育成しているお前達の村の畑を見せてくれ。

 教会を貸してやろう。自由に使って良い。


 あとは、貸す山や里は相談して決めるでいいか?」


 「はい、ありがとうございます。」


 「それぞれ達成されたら、何時でも騎士団に来い。後ろの3人の誰かがいる。彼らがそれを確認に行く。それでいいな?」

 「はい。」


 「最後に一つ聞きたい。これでお前達にどんな見返りがあるのだ?」

 「自分の心に正直になれます。」

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