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徒然なる魔女に  作者: 魔女こそ至高
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化け物

 エリーゼの身体は普通とは言えない体質をしていた。見た目は人と差異がなく、むしろ可愛いと言える容姿していた。しかし問題は見えないところにあった。


 身体に傷を負うと髪色が綺麗な水色から燃えるような赤色に変化する。それだけならばまだ良かったのだが、傷がまるで時を戻したかのようになくなり、普通の人とは到底言えない運動能力を得るといったものだった。8歳にして、大人の魔法騎士の目で追えない速さで動き、たった一発のグーパンで仕留めてしまった。


 医者は「一種の呪いあるいは神の祝福なのではないか」と言った。 呪いならば解呪、神の祝福ならば神官による魔法で判別できるはずだがどちらにも反応はなく、扱いに困った神殿は彼女の引き取り手を探すが、戦争孤児であった彼女に引き取り手がいるはずもなく、待っていたのは研究の為の解剖だった。しかしー


「その娘、うちで引き取るのです」


 そこに現れたのがエルであった。


「そいつはきっと役に立つです。解剖して駄目にするのは勿体ないです」


 ・・・勿体ないって人をなんだと思っているんだ


「これはもう決定事項だ、シスターエル。逆らうことは許されない」


「シックス、あなたは黙っているのです」


 シックスと呼ばれた男はエルと犬猿の中なのかすぐに言い返そうとしたが、そこに一番偉そうな男が口を挟んだ。


「エルよ、貴様の言っている事もわかる。しかしこの娘が暴走でもしてみろ、何が起こるかわからないぞ。その責任を貴女は取れるのか」


「その時は責任を取るつもりです。そもそも私が遅れをとることはないです」


「ならばよかろう。この件貴女に一任しよう」


 どうやら実験対象(モルモット)にならずにはすんだらしい。拘束を解かれ、私を救ったと思われる少女が話しかけてくる。


「お前は私が預かることになったです。私の神殿に来るからには働いてもらうですよ」


 これがエルとの出会いであった。ここからの日々は能力の制御のための特訓と神殿の手伝いの毎日であった。


ーーーあぁ、これは走馬灯か



「エリーゼを良くも!"竜の息吹(ホロウブレス)"」


 空に魔法陣が浮かび上がり、そこから熱線がガルム目掛けて飛んでいく。


「その程度で竜を名乗るとは烏滸がましいぞ」


 熱線はガルムが吐いた息で相殺されてしまう。


「杖があればまだどうにかなったのにッ」


「あの人には殺そうが生捕にしようがどちらでもいいと言われてたんでな、最初は捕獲して持っていくつもりだったが、遠慮なく殺させてもらうぞ」


 一瞬前エリーゼを潰した時と同じように、ガルムはアリスを潰しにかかる。血塗れの足がアリスに襲い掛かろうとしたその時ー


「ちょっとまちな」


 ガルムの上から声が響いた次の瞬間、ガルムは地面にひれ伏した。まるで何か衝撃をくらったかのように。


「おい嬢ちゃん、生きてるかい?って一人やられちまったか」


 軽やかに着地しながらこちらに話しかけてきた男、無精髭を生やしテンガロンハットを被ったおじさんがどうやら助けてくれたようだ。


「私はアリス。助けてもらったついでにお願いしたいのですが、回復魔法は使えないだろうか?あそこに血塗れで寝転がっているのはエリーゼ、私の友人なんだ」


「嬢ちゃんがアリスか、そして寝転がってるのはエリーゼと言ったな?もし俺が知っているエリーゼなら大丈夫だ。こんなところで目標二人に会えるとは、今日は神の御加護があるようだ」


「全然大丈夫そうには見えないのだけれど!?」


 アリスからしてみればどう見ても重傷、というよりもう死んでいるのではないかという状況であったが、このおじさんはエリーゼの何かを知っているようだった。


「嬢ちゃんはまだ見てないのか?あいつの化け物具合を」


 おじさんがそう言うとエリーゼだった()()から煙が立ちはじめた。


 それはまるで一瞬の出来事であった。一般に回復魔法とされている魔法は自然治癒力を増幅させるものと、傷を癒すものがある。傷を癒す魔法はどれも高位で普通の人が扱えるものではないが、まるで時を巻き戻しているかの様な速度で治っていく。 30秒経ったのかもわからない速さで、髪色以外さっきまでのエリーゼに戻った。


「こいつの身体は特別製なのさ。さあて嬢ちゃん、あんたが魔導学校の学校長って事で大丈夫か?」


「そうですが、貴方は何者なのですか?あいつが展開した術はまだ発動しているはずですが」


「その辺の話もしたいが一先ずは、ーーこいつの処理だ」


 ガルムは不死身なのかこの男の攻撃を食らってもまだ動いていた。流石は神話の生物だと誉めたいくらいだ。


 しかしこの男は敵が動き出したことになど動揺せず、見えない何かを手の指から出し始めた。ーあれは糸・・・?


「一応街を破壊させるには行かないんでね」

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