機長不在
エールフランス447便墜落事故
初投稿です
帰りの道中は街道沿いを移動したため、特にモンスターや野盗の類とは出会わなかった。
野盗の類なら現地人の戦闘AIの具合を確かめる為に会いたかったが、何事もうまくは行かないものである。
ところ変わってブレンシアに帰ってくると、門衛と会話し礼を言う。
その足で教会に向かいながら焼き菓子の屋台で塩・砂糖・ハーブ・トマト・チーズなどの焼き菓子のセットを買う。
初めて訪れる場所だ、印象を良くする努力は怠らない方が良い。俺はあまり顔が優しくないからな。
「ようこそ、ここが僕らの教会です。神父様を紹介しますね!神父様~!」
「なるほど、失礼する」
小走りで教会の奥へと走っていったエリスに続いて門をくぐり、敷地内へと入る。
女神を信仰する教会というらしいが、良く言えば質素、悪く言えば飾り気の無い教会だ。
エリスの言うように財政面はあまり良くないらしい。素人仕事で補修した痕が所々目につく。
エリスの後を追ってのんびり歩いていくと、教会の奥から人影が出てきてエリスとなにやら話しているようだ。
人影は黒いカソックを着ておりその体型は分からないが、立っている重心などから武術の心得があるのが分かる。
灰色の髪をバックに纏めて眼鏡をかけた壮年の男性の様だ。
「グレッグさん、この方がブレンシアの神父様です」
「ようこそいらっしゃいました異邦人の方。この街の神父を務めていますバーナードと言う者です」
十字を切る様に挨拶してきた神父に対して挨拶を返す。
ルネサンス期でも教会は充分な権力を持っていたからな、第一印象は大事大事っと。
「これはご丁寧にどうも、私は異邦人のグレッグと言います。
今回は縁が有りエリスさんと墓地で共闘させていただきました。此方は挨拶の焼き菓子です」
当時は教育を受けられてマナーが出来ているというのが社会的な階級を別ける認証キーだった。それを考えて、コネが出来ると良し。
どうせなら栄達を望めるなら望んだほうが楽しそうである。俺のスタンスはそんな感じの享楽的な感じだ。
「ありがとうございます、あとで孤児院の皆さんと食べさせて頂きますね」
バーナードが俺から焼き菓子の入った手提げ袋を受け取ると、それをエリスに渡して奥へと行くように促した。
そして本題に入る様に話を切り替える。
「さて、挨拶もこの辺りにして。貴方には感謝しないといけませんね。
まさか死相花がブレンシアの墓地で発生するなんて、想像していませんでしたから」
「あの手の植物は簡単に発生しないのは何となくわかるが、エリスを単体で墓地へ行かせるのは危ないのではないか?」
挨拶の段階は過ぎたのでいつもの調子に戻して会話を進める。
実際、「クエストだから」と思考停止するのは簡単だが、見習い一人に墓地の浄化をさせるのは危ない気がする。
「あれは修行という側面もあるので、彼女には一人で何とか出来るようになってもらわないと困るのです。
残念ながら今回は死相花のせいで墓地のアンデット全体が活性化していた為、貴方が居て助かりましたが」
まぁそれなら納得がいく理由だろう、ついでにやっとエリスの性別が判明した。女だったのか。
「まぁ今回は運が良かった。それで、あらかじめ聞いているが報酬はどうする?タダでは評判に困るだろう。お互いに」
本命はここからだ。出来れば教会とのコネクションなり伝手があれば嬉しいが。
そう言うと、バーナード神父は懐から革の鞘に収まったショートソードを一本取り出した。
「物的な物は此方の剣を一本差し上げましょう。僅かですが祝福が掛かっておりますので魔を払う効果が宿っています」
「良いのか?剣一本とてタダでは無い筈だ」
普通に予備武器として嬉しい選択だった。斧槍が振るいにくい場所で戦う際に手元にあると便利だろう。
「いえいえ、倉庫で埃を被っていた物ですから。使われるならその方が武器にとっても良いでしょう」
「あとは・・・この教会でこの世界の基本的な事や、女神教について教える事が出来る位でしょうか」
此方も悪くない提案だ。現地の事を知っていれば現地人との交流もしやすくなるし、信用もされやすいだろう。
教会で教育を受けたという前提があれば、多少はゴロツキからマシな扱いになる筈だ。
「それは魅力的な提案だな。俺は此方の事を知らない、そのままでは不便だし失礼に当たる。教育者は欲しかった所だ」
「喜んで頂けて私としても嬉しいですよ。では時間が出来た時にでも来てください、その時にお教えします」
有意義な話が出来て良かった。ここには度々お世話になるだろう、お礼に食料や焼き菓子などを持ってくれば良いかもしれんな。
教会の敷地を出ると街の広場でログアウトし、現実でwikiに詳細をupして今日はもう寝ることにした。
Project Zomboinm 2nd GIGおもしろそうですねぇ!