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初狩

明日からまた苦行が始まるので初投稿です。


街の門を出ると"ブレンシア近郊"と視界の上に表示されては消える。

門衛に一角兎がよく出没する場所を聞いたら東門近くの街道沿いの畑に多いと帰って来たのでそちらから街道を歩く。


陽気な太陽と多少の雲量に合わせて爽やかな風が周囲を流れる絶好の散歩スポットだ。

遠くに森と丘が見え、街を振り返ると古びた旧市街とそれに隣接された墓場も見える。


多少街道を歩くと、門衛の言っていた畑があたり一面に広がる場所を見つけた。

害獣である一角兎は昼間からここで野菜を齧るなど街の食糧生産の邪魔をしているらしい。

別の冒険者達がちらほら見受けられ、場所が被らないように移動する。


「見つけた」


茶色の毛皮をした立派な角がある兎が七匹ほど畑の一角へと侵入しようとしているのを発見した。

少し遠回りに群れの背後へと動く。奇襲出来るならそれに越したことは無いからだ。

盾を腰に固定し両手で槍を握る

兎たちがぞろぞろと畑に入ろうとした瞬間を狙って草むらから飛び出し、後列の一角兎へと突進の勢いを乗せた突きを見舞う。


「キーキー!」


突きは見事命中し一角兎の頭部を破壊、素早く槍を両手で扱いて驚愕して動きの止まった一角兎の内三匹の身体と頭部を粉砕する。

奇襲から回復した兎たちが全長15cmはあるだろう角を此方に向けて飛び込んで来た。

装甲の無い部分に喰らえば人体を貫通するくらい容易いだろう。


「よいせっと」


素早く後ろへとバックステップし飛び込みを交わすと、着地直後の一角兎たちへと三回槍を扱いて首を飛ばした。

何もなしで正面から一人で挑めば、数の暴力故手間が掛かるだろうが、奇襲と先制攻撃が決まれば楽なものだった。


「ふぅ・・・これでクエスト達成だが、追加報酬もあるし多少狩るか」


早めに斧槍が買いたいからな、一角兎の死体から毛皮と肉を回収し他に兎どもが来ないか警戒する。

対象が複数で現れる所を見るに恐らくはパーティ用のクエストなんだろうが、関係ない。やれるからやるだけだ。

___


それから一時間程粘って只管兎狩りを繰り返していたら、かなりの量の兎肉と毛皮がストレージに溜まったので街に帰る事にした。

帷子や鎧が返り血塗れで見た目の気分がよろしくない。どうしたらいいか門衛に聞くか。


ブレンシアの東門に帰ってきたら門衛に尋ねる。

このゲームは高度なAIが使われているらしく、割とファジーな受け答えが期待できるそうだ。


「職務中済まない。装備の返り血を落としたいのだが、丁度いい井戸場を知らないか?」


「お、おう・・・それなら門傍の井戸場がいいぞ、あそこなら皆旅の汚れや返り血を落としている」


多少血塗れであることに引かれていたようだが、教えてくれた。素直に感謝だ。


「ありがとう、これは感謝の印だ」


懐に手を入れると思考制御で100ギル硬貨を一枚取り出して手渡した。

基本的に他者に善意を期待しないが、それでもお金を使えば相手の心象を良くする事は出来る。

社会を渡り歩く時のちょっとした心得だ。


洗い場で返り血を落として槍の具合を確かめる。攻撃は一撃も貰っていないので防具は見ない。

初期装備だが耐久度が少し減っているようだ、全然使える範囲なので修理に出す必要は無いが。


返り血を落としていたら周囲からの視線が減った。

門をくぐった直後は周囲から見られているのがハッキリ分かるほど視線が集まっていたが、ようやく一息付けそうだ。


冒険者ギルドの扉を潜ると人混みが最初に来た時よりは減っているのが見えたので、迷いなく精算カウンターへと向かう。

そこでは受付嬢が帳簿を確認していたようで、声を掛ける。


「よろしいか」


「はい、なんでしょう?」


そうすると顔を上げる受付嬢、手早く用件をすませよう。


「クエストを終えた。それと兎肉と毛皮の精算をお願いしたい」

___


精算自体は簡単に終わり、追加報酬の一角兎の尻尾がアクセサリーとしてもらえた。

どうやらポーチに吊り下げる形のモノのようで、幸運が+1されるモノらしい。あって困らないが無くても良い、微妙だ。


ギルドを出るとまだ日は高い、早速鍛冶屋へ向かい斧槍を買いに行こう。


「へいらっしゃい兄さん!もう金は貯まったのかい?」


元気のいい店主が声を掛けて来た。気持ちのいい掛け声だ。


「あぁ、急いで狩りをしてきた。さっきの斧槍を頼む」


店主が実物を取り出すと購入画面が出て来たのでそれを決定し装備する。


「ちょっと試し振りするかい?」


店主が店の裏を指さして言う。この店では試し振りも出来るのか、有難い。

実戦で一発勝負で使うのは避けたいからな。


「あぁ、少し借りよう」


木人形にボロボロの甲冑やら盾が付けられた標的を、思う存分突いたり殴ったりして感触を確かめた。

これで一先ずは扱いに問題は無さそうである。

再度背中に斧槍を担ぎ直した所で声を掛けられた。


「この街にいる間は装備が痛んだら家に持ってきな、修理してやるからよ」


「そのつもりだ。ありがとう店主」


「良いって事よ」


店を出て現実時間を調べると夕食の準備時間だった。手早く食べて再ログインするとしよう。

メニュー画面を呼び出すとログアウト処理に入った。

暫くはゲームする余力すらなくなりそう。辛み

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― 新着の感想 ―
[一言] マジで中身は淫夢とかそういう系のネタが一切ないのにタイトルとかでこれでもかともってるのは流石に草を禁じ得ないです。
[一言] 今日は有給だったけど明日は出勤なので初感想です。 無駄なく精緻でわかりやすい戦闘描写は、相変わらず楽しませて頂いております。 初日で新武器購入とは頑張ってますね。 長らく本格ゲームはや…
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