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単位変換を間違えた桃色魔法少女

ヤードポンド法は滅ぼすべきなので初投稿です。

翌日、丘のボス前まで一人で再びやって来た俺はボス前リスポーン地点で屯している他のプレイヤー達を見かけた。なにやら話し込んでいるらしい。


「やっぱ崩しがきついって、あれでタンクを飛ばされると後衛が守れない」


前衛役だろう戦士職の男が愚痴を言っている、ボスの事だろうか。


「動き続けられるから魔法も当てづらいし隙が少なすぎる。MMOのボスデザインじゃないよあれ」


魔術師のフードを被った男も杖を突いて言葉を吐いた


「攻撃頻度高すぎて回復間に合わないよ~」


神官だと思われる女が弱音を言うが、しかし解決策は見つからないようだ。


盗み聞きする趣味もないのでそのままスルーしてボス部屋へと向かう。

強敵という事だけ判ればいい、あとは試行回数がモノを言うか気合でなんとかするしかない。


霧を抜けた先で静けさに包まれた気持ちのいい風が広がる草原の丘。そこに飛び込むようにして灰色の巨大な狼が現れた。


「GYAAAAAAAAAAAAAA!!」


咆哮を上げて縄張りに侵入した俺に対して威嚇している様だ。

どうやら歓迎してくれるらしい、ならば歓待に応じて舞を披露してやるとしよう。斧槍を構えて戦闘態勢に入る。


「AOOOOOOOO!!!」


大きな遠吠えと共に奥の森から狼が四匹ほど駆けて来た。取り巻きを呼び出すタイプのボスらしい。

だが開始早々その場で遠吠えするのは頂けないな。


「せいっ!」


「GYAU!」


瞬時に接近し、その鼻面に斧槍をブチ当てる。それに怯んだのか巨体が揺れて少し後退した。

それに対して追撃の横薙ぎ、突き、払いを連続で決めていく。

強靭値はあまり高くないようだ、連撃を決めれるときはしっかり削れそうである。


そこでようやく到着した取り巻きの狼がこちらを狙って飛び掛かってくる。

左右からの飛び掛かりに対して取ったのは、後方への飛び退きとそこからの反転攻撃だ。


「オォ!」


飛び出す勢いのまま身体を捻り斧槍を横に大きく振りかぶると、攻撃を外して着地した狼が二匹着地してこちらを見やり避けようとする。

しかし攻撃直後故中途半端な位置に移動しただけの二匹はそのまま斧槍の攻撃によって致命傷を受けて地に転がった。


二匹が倒れると同時に正面から大狼が噛みつきをかましてくる。

これも素早く右へとステップを踏んで避け、更に背後に回った狼二匹からの飛び掛かりを後方に飛ぶことで避ける。

手早い包囲からの襲撃は固い戦法だが、生憎こちとら集団戦は腐るほどヤり合っているんだ。

草を掻き分ける音が消えた瞬間で飛び掛かりのタイミングくらいは読める。


着地した狼に対して即座に斧槍を振るい追加で二匹を黙らせる。

これで取り巻きが消えたので再度大狼とサシだが、こちらの取り巻きを仕留めた攻撃に合わせて大狼が突っ込んできた。


その巨体を活かした身体を横にした体当たりである。まともに喰らえば吹っ飛ばされてダウンするだろう。

ならばまともに対処する必要は無い、前進する勢いをそのままに草原をスライディングで体を低くし、体当たりを下からやり過ごして反対側に出た。

低い身体を回転させるように起こし、まだ態勢を戻している途中の大狼の横腹に斧槍を突きいれる。


「GAU!GAU!」


攻撃を避けられたことに腹を立てたのか、声を上げながら此方に向き直ると後方へと巻き上げるようにジャンプし距離を取った。

そこから一瞬の溜めの後、急加速と同時に頭をした方向からカチ揚げるように此方へと突撃してくる。


なんとか反応が間に合いカチ揚げを横にローリングする事で避けるが、そこは相手の距離と位置だよろしくない。

追撃の二連噛みつきが襲い掛かってき、それを避ける為にステップを踏む。

此方はまだ装備も更新していない。初期装備でも兵士故そこそこ防御力はあるほうだが、ボスの連続攻撃を受ければひとたまりも無いだろう。


連続攻撃で態勢が崩れた大狼へと斧槍二回を振るう。その後直ぐに復帰した大狼が今度は跳び上がって空中で方向転換すると一旦距離を取り離れる。

とにかく最初のような大きな隙が無い限り細かい攻撃と的確な回避が求められそうである。


離れた大狼は踏み込む準備をすると、今度は正面から此方を捉えつつ突撃してきた。

それを最小限の動きで避けて、置くように斧槍で迎撃するが。それだけで止まらず、前足を起点に身体を回転させ連続しての突撃をしてきた。

背後からの突撃を正確に避けるのは流石に厳しい。余裕を持った回避行動の為にローリングする。

大狼は避けられても再度前足を地面に突き立てて回転するように着地し、これで再度正面に正対する形に収まった。


そこから大狼が後退すると、大きくジャンプし押し潰すように此方へと圧し掛かって来た。

巨体に潰されないよう大きくバックジャンプして間合いを調整すると、目の前に大狼の顔が来るように収まったので、着地硬直の間に斧槍を振るい縦割りと突きを浴びせる。


どうやらこれで一通りの攻撃ルーチンは吐き出したらしく、それ以降はそれまでの攻撃のパターン違いを行ってきた。

急加速からのカチアゲがやはり危険でこれは前衛を崩す攻撃だろう、そこからの二連噛みつきで後衛が狩られ、囲めば横タックルで弾きバラければ連続突撃で轢き殺す。

そしてちんたらしていたら取り巻きのおかわりがやってくるという中々に殺意のあるボスだ。

一人で相手をするなら攻撃を全て避ける気でなければ厳しい。攻撃間隔が短く最初以外隙が少ない。


十分ほど戦い、慣れてきた二連噛みつきの後の僅かな隙に斧槍を差し込む。

そうするとそれまでフル稼働で動き続けていた大狼がやっと断末魔を上げて倒れ込んだ。


――VICTORY ACHIEVED――


戦闘リザルトを見ると大狼の素材と大量の経験値を貰えた、やはり強敵らしくゴブリンリーダー戦の三倍はある。

これで丘はひとまず攻略完了という事で一旦切り上げよう、経験値が美味しいので連続で狩りと言うのも有りだが、午後は教会で勉強と交流の予定だ。


1/2インチと0.5インチの違いが分からないので失踪します。

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― 新着の感想 ―
[一言] 寝落ちして気がついたら5時過ぎだったので初感想です。 MMOでボスをソロ狩りなんて大変ですねぇ、とにかく時間が掛かるんですよねHPが多いから。 でもボスと取り巻きって構成だと、ハルバートの…
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