第九十五話「嫌な記憶は楽しい記憶で上書き出来る……前編」
《――新しい法律や仕組みが運用され始め
それに依って様々な問題の解決が見られ始めた頃
日之本皇国はちょっとした“お祭りムード”と成り始めていて――》
………
……
…
「おい、そっち支えててくれ! ……よし、これで完成だっ!
おいお前達! 次は……」
《――数日後に開かれる祝賀行事の為
各地域の大工達は皆、各地域への移動通路中心部へと集まり
何やら“謎の建造物”を急ピッチで建設していた。
彼らが建設している建造物の形状は宛ら
“巨大な傘”の様な形をしており、彼らの手元にある図面には――
“日之本皇国地域交流正常化記念・護傘”
――と記されていた
設計図を見る限り“完成間近”と言った様子。
一方……その傍らでは少々気の早い商人達が多数集まり
出店準備に勤しんでいる様子も見られるなど
平和な光景の一方で……主人公は、別の場所で
ある“苦しみ”に耐える羽目と成っていた――》
………
……
…
「も、もう駄目だ……なっ?! うわぁぁぁッ!!! ……」
《――直後
凄まじい勢いで転倒した主人公、そんな彼に対し――》
………
……
…
「お怪我は無い様ですね? ……ですが
そんな事では淑女達に笑われてしまいますよ? 」
《――と少し冷たい口振りでそう言ったのは天照であった。
一方、そんな彼女に対し主人公は――》
「痛ててっ……レ、淑女達よりも
俺の顔から笑顔が“消えそうな”レベルなんですが……」
《――肩で息をしつつもゆっくり立ち上がると
汗を拭いながらそう言った主人公。
……彼に取って地獄の苦しみとも言えるこの状況。
彼は……近く祝賀行事で開かれる舞踏会の為
天照直々の“ダンスレッスン”を受けていたのだ――》
「……主人公さんはそう仰られますが
貴方がお連れに成っている淑女達は皆
貴方との舞踏を楽しみにしている様子でしたよ?
……見目麗しい淑女達の期待に答えて差し上げるのも
殿方の努めかと私は思います」
「そ、そう言われましても……」
《――と、この後も困り顔の主人公だったが
その一方で――》
「……主人公よ、御主が転んだのは
此処のステップが間違っているからだ。
良いか? ……こう歩き……此処で回り……こうだ! 」
《――と、キレの良い完璧な足運びを披露したグランガルド。
一方、そんな彼に対し――》
「……てか、ガルドは何でそんなに飲み込みが早いんだ?
正直凄く羨ましいけど……何か悔しくもある」
「ん? ……我らオークはこの見た目で誤解されるが
オーク族の男で踊れぬ者は女子に相手にされんのだぞ? 」
「と言う事は現状、俺ってオーク族的にも“ナシ”って事か……辛い」
「まあそう落ち込むな主人公よ……始めより動きのキレは良くなっている
形になるまでは踏ん張るしかあるまい」
「あ、ああ……もう一回お願いします天照様! 」
「ええ……本番までに上手くリード出来る様
私が責任を持ってお相手致しましょう……」
《――この後
天照直々の舞踏稽古は日が落ちるまで続いた。
そして……レッスン終了後、宿に戻った主人公は――》
………
……
…
「……完全回復ッ!!
よし、筋肉痛は取れた……けど体力は全然駄目だ。
つ、辛い……」
《――この日から暫くの間
毎日の様に天照直々のダンスレッスンを受け続ける事と成った主人公。
……そして
彼の動きが形になり始めた頃――》
………
……
…
「……そろそろ良いでしょう
主人公さんにはお相手をリードする技術が身に着いた様です。
ですが……この祝賀行事が終われば
皆様は故郷へとお帰りになられるのでしたね? 」
「ええ……まぁ“子供達”との約束を果たしてからではありますけど。
でも、国を出る時大切な人達と約束したんです――
“捜し物を見つけに行ってくるだけです
見つかりそうに無かったら帰ってきますし
見つかったら切り上げてもっともっと早く帰って来ます”
――って。
約束した通り、俺達は様々な知識や物を手に入れましたし
そう言う沢山の知識や物を、俺達を待ってくれて居る
沢山の大切な人達に届ける為に一刻も早く帰りたいって思うのが半分。
何て言うか……唯のホームシックなのが半分ですかね」
「主人公さんは素直な方ですね……且つ
とても立派なお考えをお持ちなのだと思います。
本来ならば無理強いしてでも
我が国にお引き止めしたい程のとても優秀な方ですが
これから大きく変わっていく私達の国に於いて
何時までも主人公さんや皆さんに頼り切りでは
どうしても甘えが出てしまいます。
……それに、本来ならばミカドが強引に引き留めてしまった方々も
早々に解放するべきであるにも関わらず
引き続き教官や教師としてお引き止めしてしまう結果と成ってしまった事
どう償えば良いのかと……」
《――天照が申し訳無さそうに語る中
主人公はキッパリと――》
「確かにディーン達と暫くの間離れなきゃいけないのは寂しいです。
……けど、彼らは決して脅されて残ったんじゃ無く
ミカドさんとの話し合いから今回の決定までずっーと
自らの意思でこの国に残る事を選び続けたんです。
だから俺はその決定には反対しませんし、天照様がその決定に対して
何らかの“償い”をするべきと考える必要も有りません。
……寧ろ、彼らが無理をしていないかだけを確認して下さい。
そう出来る“眼”をお持ちの天照様にしか頼めない事です」
《――主人公の真剣な要望に対し
天照は唯一言――
“責任を持ってお引き受けします”
――そう返事をした。
そんな天照の対応に安心した表情を見せると
数日中の出国に思いを巡らせた主人公。
ともあれ、暫く経ち――》
………
……
…
「さて……お二人共技術は身についた様ですから
次は本番当日に着用する正装を用意しなければ成りませんね。
……明日、御休所に仕立屋さんをお呼びしましょう」
「あ~……やっぱり舞踏会だし必要ですよね。
それって幾ら位掛かりますかね? 」
「いえいえ、厳しいレッスンを終えたご褒美といえば失礼かもしれませんが
私に進呈させて頂けませんか? 」
「いっ?! ……良いんですか? 」
「ええ、受け取って頂けるなら幸いです」
「も、勿論です! ……有難うございますッ!! 」
《――翌日
朝早くから採寸が行われる事と成った二人……だが。
どうやら、二人の正装を制作する仕立屋は
“大衆向け”では無かった様で――》
………
……
…
「お疲れさまです……御二方共、採寸は終わりまして御座います。
……続きましては素材についてですが
天照様から“最上級の生地を用いる様”言付かって居りますので
今回はこちらの生地を用いてお作りしようかと思っております。
が、一つ問題が御座いまして……」
《――そう言って仕立屋が差し出した生地は
透き通る様な純白色をしており、窓から差し込む光に照らされ
僅かに輝きを放っていた――》
「綺麗な素材ですね……って問題があるんですか? 」
「ええ……他の素材ならば染色が可能なのですが
一切の穢れを祓うと言う神聖羊之毛には染色液が通らず……」
「えっと……その素材ってもしかして
天照様の様な“崇められる”レベルの方々が身につける物なのでは? 」
「ええ……仰られる通りでございます。
神聖羊之毛は別名、神の使いとも呼ばれている
極めて希少な品種の羊から採取出来る素材で作られる生地なのですが
数年に一度行われる“毛刈りの儀式”に選ばれた数名の幸運な
“毛刈り職人”に依って細心の注意を払いながら執り行われる
儀式でしか得られない大変に希少性の高い素材で作り上げる物ですので
たとえ貴族であろうとも簡単に手に出来る代物では御座いません。
ですが……天照様直々にご指示頂いておりますので
御二方がお嫌でなければ
この素材を使わせて頂けますと私共と致しましても助かります。
唯……本来、男性用であれば漆黒や濃褐色
濃紺等の濃い色が主体でお作りするのですが
今回の場合は全て純白仕上げと成ってしまう事をお許し頂けると……」
「い、いやその……色とか服のセンス皆無な俺には判りませんけど
そもそも俺達がそんな希少素材で作られた物、着ちゃって良いんですかね? 」
「ええ、天照様のご希望ですのでご遠慮なさらず」
「そうですか……なら取り敢えず全てお任せします。
せっかく最高級素材を使用して作って下さるのに
俺みたいな素人が要らない口を出して変なデザインに成ったら大変ですし! 」
「私共の腕を御信頼頂けた事……感激の至りで御座います。
その評価に泥を塗る事の無い様、全力を以て仕立てさせて頂きますので
どうかご期待の程……宜しくお願い致します」
「ど、どういたしまして! ……って返事は生意気ですかね?!
あははは……」
《――この日から数日後
立派な箱を持ち二人の元へと現れた仕立屋。
その後、自信満々な様子で箱を開くと
中から取り出した燕尾服を主人公らに掲げて見せた
だが、彼らの元に届いた燕尾服は些か“古風な物”と成っており――》
………
……
…
「如何でしょうか主人公様、グランガルド様……」
《――燕尾服を手に、二人に対しそう訊ねた仕立屋。
……だが、何処ぞの貴族と見紛う程の
派手派手しい“フリルシャツ”と
日差しを浴びてキラキラと輝きを放つ燕尾服を差し出された主人公は――》
(いやいや……芸能人でもこんな派手なの着ない様な気がするんだが
と言うか何よりも“フリルシャツ”が凄く恥ずかしいんだが。
俺、悪い意味で目立っちゃうんじゃ……)
《――等と考えつつも
渋々と袖を通し――》
「え、えっと……結構、古風な感じですね!
格好良過ぎてちょっと着こなせる自信がないですけど……」
「ご謙遜為さらずとも、大変お似合いでございますよ? 」
《――と、精一杯気を遣っていた主人公。
その一方で、グランガルドは――》
「ふむ……流石は吾輩だ、良く似合っている
着心地もとても良好だ、仕立屋……御主、並々ならぬ腕を有しているな」
「お褒めに預かり光栄の至りでございます、グランガルド様」
《――と、彼は大層気に入った様子で
この後も暫くの間、鏡を見つめては――
“流石吾輩”
――を連呼していたのだった。
一方……天照に連れられ、見るからに高級な店構えをした
服飾店へと訪れていた女性陣は――》
………
……
…
「あ、天照様っ!!
そ、そのっ! ……此処ってとても高級な……」
《――入店早々緊張した様子でそう訊ねたメル。
だが、そんなメルに対し天照は微笑むと――》
「……メルさんを含め、皆様は大切な淑女ですから
是非とも最上級のドレスを身に着けて頂きたいのです」
《――そう言った。
だが、そんな天照に対しメルは――
“でっ、でもその……お恥ずかしい事に私達のお財布事情が……”
――と、店頭に並んだ商品の価格を横目にそう言ったメル
すると――》
「ふふっ……主人公さんと同じ様な事を言うのですね。
ご安心下さい、これから皆様がお選びに成るドレスは
全て私からのプレゼントです。
価格など気にせずお好きな物をお選びに成って下さい。
……それに“意中の殿方との舞踏会”であれば
少しでも美しい姿で挑みたいとは思いませんか? 」
《――天照がそう言うや否や
メルを含め、けしかけた“天照”が引く程の
“異様な”気迫を発し始めた女性陣は――》
………
……
…
「こ、このドレスなら悩殺出来るかも知れないわね! 」
《――と、背中の大きく開いたドレスを手に取ったマリーンを皮切りに
“じゃあ私は素材的に触りたくなる様なこれを……”
と、ヴェルベット素材のドレスを手に取ったマリア
そんな彼女に続き――
“ワタシは……胸元を強調するドレスにしますワ♪ ”
――と、谷間の切れ込みが深いドレスを手に取ったマグノリア
だが、そんな中――》
………
……
…
「わ、私っ……ドレスとか着た事も無いし……でも……
主人公さんに……か、可愛いって思って貰いたいし……でも……
主人公さんはむっ、胸がす……好きって言ってたしっ……
思い切ってセクシーなドレスを……でも、やっぱり恥ずかしいし……」
《――と、どれを選んで良いのか分からず迷い続けて居たメル。
この後、彼女を含め皆多種多様なドレスの試着を繰り返し……
……日も落ち掛けた頃、やっとの事で自らの思う
“至高の一着”を選び終えた女性陣は
不安げなメルを除き、皆満足げな様子で店を後にしたのだった。
そして……この日から数日後
いよいよ祝賀行事当日――》
………
……
…
《――見事に完成した“護傘”
周囲には綺羅びやかな装飾が施されており
商人達の出店等も見られ、列席者達には豪勢な食事も用意され
掲げられていた二つの横断幕には、それぞれ――
“日之本皇国・地域交流正常化記念祝賀行事”
“主人公御一行様送別会”
――と書かれており、招待客には各地域の貴族の他
主人公らと縁の有る者達も多数招かれていた。
そんな中……開会挨拶の為
壇上へと上がった天照は――》
………
……
…
「……皆様、本日はお集まり頂き有難うございます。
本日は、私の後ろに掲げられた横断幕に記されている通り
我が国の地域交流正常化……そして、我が国を本当の意味で一つに纏める為
天啓とでも言うべき良案を齎して下さった主人公御一行様を
盛大にお送りする為の送別会を兼ねた祝賀行事です。
……本日、我が国は地域同士が共に手を取り合い
二度と争う事の無い国へと成長して行く事を此処に誓い
更に、護傘の立つこの場所を全地域を守る平和の傘とし
本日より各地域への“移動制限”を行っていた各地域の大門を
全て、永久に開放し続ける事を宣言し
それを以て、開会の挨拶と変えさせて頂きたいと思います。
それでは、最大の功労者で有る御一行様に登壇して頂きましょう」
《――そう天照に促され、登壇した一行
だったのだが――》
「……あ、あれって神聖羊之毛じゃ無いのか?! 」
「間違いない……あの二人が着てる燕尾服は
……シャツに至るまでが全て神聖羊之毛だ!! 」
《――主人公、グランガルド両名の着る
燕尾服に気を取られた多くの貴族達に依って
挨拶どころでは無くなってしまったのであった。
ともあれ……暫くの後、落ち着きを取り戻した会場では
数分後に舞踏会が開かれる運びと成り――》
………
……
…
「それにしても……今日の主人公兄ちゃんすっげえ格好良いよな!
おいらも大きくなったら兄ちゃんみたいな立派な魔導師目指すんだ! 」
《――と、テル。
一方、サナは――》
「お、お兄ちゃんだったら……きっと成れるよ!
私は……主人公さんと……そ、その……踊りたいな……」
「だろだろ?! ……ってサナ、主人公兄ぃと踊りたいのか?
ならおいらが踊って貰える様に頼んでくるよ! ……」
「えっ?! 待ってお兄ちゃ……行っちゃった……」
《――サナが止める暇も無く主人公の元へと走り
主人公にサナと踊る様頼み込んだテル。
……一方、これを快諾した主人公の様子を遠目で確認したサナは
とても嬉しそうにしていたのだった。
だが――》
………
……
…
《――どうやら主人公の元へ“頼みに”来たのは
テルが“初めて”では無かった様で……この日
主人公が踊る事と成った人数は――
各貴族家の女性から“八名”
形式的な物とは言え、天照・ミカド・紅の女性地域長達が“三名”
仲間であるメル・マリーン・マリア・マグノリアの“四名”……だけでは終わらず
ディーン隊の“タニア”も加わり“サナ”を含めると
総勢“一七名”とも成っていて――》
「あの……これ、俺過労死する奴では? 」
《――ともあれ。
数分後……舞踏会の開会を告げる優雅な生演奏が始まり
天照と踊り始めた主人公――》
………
……
…
「……お上手です
緊張もして居ない様に見受けられますね」
《――そう天照が囁くと
主人公は――》
「いや……始まる直前までは凄く緊張してたんですけど
冷静に踊る人数を数えてみたら……俺、体力的に持たない気がしてまして。
正直を言えば“絶望”の方が強かったりしてます……」
「あら……それはとても“贅沢な”お悩みですね? 」
《――暫くの後
天照とのダンスは終わり、ミカドへと交代した主人公は――》
………
……
…
「ダンスの腕前まで一流とは……見事な男だね、君は」
《――そうミカドに囁かれ
照れ隠しのつもりだったのか――》
「い……いやその、天照様直伝と言いますか何と言いますか!
とっ、兎に角! ……俺の事よりもミカドさんですよ!
……ドレス姿、凄く素敵です!
“豪剣のミカド”って言うよりも“天女のミカド”って言うべき位に……
……って、ミカドさん? 」
《――この瞬間、彼が照れ隠しに褒め返した言葉を受け
みるみる内に耳まで真っ赤になってしまったミカド。
……彼女は終始俯き、恥ずかしそうにしつつ
主人公とのダンスを終えたのだった。
そして、続く紅とのダンスでは――》
………
……
…
「馬子にも衣装、いや……“鬼に金棒”やね。
男前やし強いし、踊りも上手いし……けど、明日帰らはるんやろ? 」
「え、ええ一応……」
「そうなんや……けど、そう成ったら子供達可哀想やわ?
友達……物凄い数出来てるんよ? 」
「えっ? あ、いやその……そうだよな……」
《――そう言うと口籠り黙り込んでしまった主人公。
そして……紅が心配する中、主人公は彼女に対し
思い切った様子である頼み事をした――》
………
……
…
「……いきなりなお願いで申し訳ないんですけど
彼らをこのまま……今のまま学校に通わせ
このままこの国で生活させて頂く訳にはいかないでしょうか? 」
「……それは容易い事やけど、主人公さん自身は寂しく無いん? 」
「ええ、正直凄く寂しいです……でも。
彼らは明日俺達と一緒に出国しても
友好国との関係上、政令国家で彼らを生活させる事が出来なくて……
……正直、凄く気分が悪い話なのであまり話したい内容では無かったんですが
兎に角……紅さんや天照様、他地域の長達もですが
今の日之本皇国なら彼らの事を任せられる……幸せに暮らす事が出来る。
そう……俺は思うんです。
……間違って無い、ですよね? 」
「事情、何と無く理解出来たわ……ホンマ、政治は面倒やね。
……分かった、ウチが責任持って子供達が幸せに暮らせる道を探すから
安心して帰らはったらエエよ? 」
「紅さん……心から感謝します」
《――そう言うと主人公は紅に対し深々と頭を下げた。
すると紅は――》
「嫌やわぁ~……そんな恐縮せんでええよ?
それよりも、ええ加減ウチの格好の事
“ミカドにやったみたいに”……褒めてくれへん? 」
「えっとその……反応が遅れる程綺麗ですッ!! 」
《――彼に取っては苦し紛れの一言で有ったが
紅にとっては予想外の答えだった様で――》
「本当……主人公さんはええ男やね。
仲間の娘らが羨ましい限りやわ……さて
あまり長い事ウチが独り占めしてたら色々と“後が怖い”から
そろそろ交代やね……」
「えっと、あ……はい! ……有難うございましたッ! 」
《――尚も緊張した主人公の様子を確認すると
少し微笑み優雅に主人公の元を後にした紅
……この後
各貴族家の女性達八人と代わる代わる踊る事と成った主人公。
流石に疲労の色が見え隠れし始めていたが……
……それでも気力を振り絞り
貴族家の女性達とのダンスを踊り切った彼は
今にも倒れかねない程に疲弊していた。
だが……残るサナ・タニア・マリア・メル・マリーン・マグノリアは
これまで以上に目を輝かせており――》
===第九十五話・終===




