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異世界転生って楽勝だと思ってました。【感謝16万PV突破! 】【六周年&七年目突入! 】  作者: 黒崎 凱
第三章

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第九一話「崇められるって楽じゃない! 」

“聞く耳持たず”な様子の民達は(なか)ば強制的に

御休所(おやすみじょ)”と呼ばれる建物の前へと一行を“案内”した。


そして……戸惑(とまど)う主人公達に対し手を合わせると

満足した様子で何処(どこ)かへと帰って行ったのだった。


だが……その一方

そんな“御休所(おやすみじょ)”の前へ放置されてしまった一行を

怪訝(けげん)な表情で見つめて居た門番は

(しばら)くの間一行を監視した後、意を決した様に

一行に近付き……


◆◆◆


不躾(ぶしつけ)な質問で申し訳無いが

あなた方はその……“宗教団体”か何かの関係者で? 」


開口一番(かいこういちばん)そう(たず)ねて来た門番に対し

主人公は(ひど)く申し訳無さそうにしつつ……


「い、いえその……到着早々何故(なぜ)(あが)められ

此処(ここ)まで連れて来られてしまっただけでして……」


と、門番がより一層

怪訝(けげん)な表情”と成ってしまう様な返事を返し……


「はぁ……それはまた災難(さいなん)でしたね。


ただ、そうなると大変に申し上げにくいのですが

私の後ろに立つ建物は国防上の制限区域ですので

早急にお立ち去り頂く必要がございましてですね……」


と、申し訳無さそうに説明していた門番

だが次の瞬間、彼の背後に(そび)える巨大な門が開き始め……


「やはり皆様でしたか……ようこそお越しに成られました

()ずは……」


そう言って門の向こうから現れたのは天照であった

だが、これに大層慌てた門番は……


「あ、天照様(アマテラスさま)っ?! も、もしや

此方(こちら)の方々は天照様(アマテラスさま)のお知り合いで? 」


「……ええ、とても大切な方々です。


私の無理なお願いをお聞き入れ頂いているのですから

皆様の事は私と同等……いえ、それ以上の扱いを命じます。


決してぞんざいな扱いなどせぬ様にお願いを……」


天照(かのじょ)其処(そこ)まで言い掛けた辺りで

門番の顔色は見る見る内に青褪(あおざ)め……


「た、大変……申し訳有りませんでしたっ!!!

皆様がその様に“やんごとなき”方々とはつゆ知らず

先程までの非礼……どっ、どうかお許しをッ!! 」


そう言うや否や

一行に対し凄まじい勢いで土下座をした門番の男

その様子に慌てた主人公は門番に対し……


「いぃッ?! ……いや、何一つ怒ってませんし何も不愉快では無いですし!

非礼だなんてそんな事は一切有りませんから!

とっ……取り敢えず頭を上げてください! 」


と、いつもながらの慌てっぷりを見せた主人公。


だが、(なお)()び続ける門番を立たせようと

彼の肩に触れた瞬間……


「うぐっ!? ……ぐあああああっ!!! 」


突如として苦しみ始めた門番の男。


見れば、主人公が触れた肩を押さえ苦しんで居る様子

一瞬は慌てた主人公だったが、反面

この余りにも良過ぎる“タイミング”に彼は内心

門番の男を――


“あれ? これ……当たり屋みたいな事してる? ”


――と、疑って居た。


だが、門番の肩からは血が()みだしており

それに気が付いた主人公は慌てて治癒魔導を発動させ

門番の肩を治療し……


「な゛ッ?! ……完全回復(パーフェクトヒール)ッ!

どうですか!? 痛みは取れましたか?! ……」


そう(たず)ねた主人公

一方、門番の男は……


「ええ、完治した様です……ですが

非礼をお許し頂いた上に怪我の治療まで

何と御礼を言えば宜しいのでしょうか……」


「御礼など必要ありません、それよりも気になるのはその怪我です

一体、何が原因です? ……まさか

“俺が触れたから”って訳じゃないでしょうし……ない、ですよね? 」


少し“(おび)えつつ”もそう(たず)ねた主人公

一方、門番の男は少し答えにくそうにしつつも……


「この傷は……大変お恥ずかしい話なのですが

つい先程、宗次(ソウジ)様に“稽古”をつけて頂いた時に受けた傷でして

とは言え、宗次(ソウジ)様は何も悪くないのですよ?!


……私が足を滑らせたせいで剣が触れてしまい

怪我をしてしまっただけですから……ですが

光栄な事に宗次(ソウジ)様は私の事を大変に心配して下さり

(みずか)らの不注意だとお伝えしたにも関わらず

私に治療を施して下さったのです……この包帯こそが

その証拠で御座います! 」


と、彼が(そで)(まく)り主人公に見せた包帯は

とても不格好な“巻き”をしており……


「あらら……これ

怪我の手当てと言うには若干お粗末(そまつ)かもですね。


宗次(ソウジ)さんも慌てたんでしょうけど

これならもっと上手(うま)い人に任せれば良かったのに……」


そう彼が言うや否や

門番は少しムッとした表情を見せ……


宗次(ソウジ)様を(けな)す事はお控え願いたく! ……って!?

私とした事がまたも無礼な態度を!!


……ど、どうかお許しをッ!! 」


「い、いえ……俺の方こそ申し訳有りませんでした。


ま、まぁその……取り敢えず怪我は治療出来た筈なので

その包帯は外して大丈夫です、あと……その包帯は

記念に大切に取って置くと良いかも知れないですね」


と、(わず)かに気を使ってみせた主人公

だが……


「い、いえ……此方(こちら)こそ度重なる非礼

大変申し訳御座いませんでした……ですが、流石(さすが)

“血まみれの包帯を取っておく”のは(いささ)か不衛生かと……」


「あっ、其処(そこ)は結構ドライなんですね」


彼の気遣いはいまいち伝わっていなかった様である。


ともあれ……この後、天照の案内に()御休所(おやすみじょ)内部へと招かれ

そのまま最奥の部屋へと案内された一行、だが

其処(そこ)にはとある“先客”が居て……


◆◆◆


「ん? おぉやっと来たか!! ……待って居たぞ! 」


そう言いつつ

一直線に主人公の元へと近付いて来たのは宗次(ソウジ)であった

直後、彼はまたしても主人公の肩を強く叩き……掛けて止めた。


だが“そう”した理由は主人公(かれ)に対する

配慮(はいりょ)”では無かった様で……


「なぁ、おめえさん……何で“御守り”が掛かってるんだ? 」


宗次(ソウジ)は主人公の(ほほ)に目をやりつつそう(たず)ねた。


見た目に分かる様な痕跡が残って居る訳では無いのだが

其処(そこ)には“何らか”の残留魔導がある様で……


「ま、まさか口紅が取れてな……あッ、いやそのッ!!

ベッ、(ベニ)さんが気を使って下さっただけでッ!!! ……」


と、慌てて服の(そで)(ほほ)(こす)りつつ

必死に弁明する主人公に対し、宗次(ソウジ)は……


「ほう、成程(なるほど)? ……(アイツ)はおめえさんに“ツバ”付けた訳か」


「えッ? ……あ、あのそれは一体どう言う意味で……」


「……その“御守り”の効果の一つは

物理攻撃を受けた場合のみその攻撃を相手にそのまま跳ね返す。


言わば“特殊な盾”みたいなモンなんだが

人に掛けてる間は本人が無防備に成るんだぜ?

だから、余程(よほど)気になる相手にしか

普通使わねぇんじゃねえのかなと思ってよ? 」


「えッ?! ちょッ!? ……これの解除方法は?! 」


「……ん? (アイツ)は好みじゃないか? 」


「こ、好みぃッ?! ……って、そう言う事では無く!!


……俺は(ただ)、俺のせいで

誰かが危ない目に()う様な事があって欲しくないだけです。


だから、早急に解除する方法を……」


「ほう? 女みてぇな顔してる割に意外と男らしい所もあるんだな?

だが、解除は掛けた本人が解く他にはねぇよ?

どうしても嫌だって言うんなら

早く紅の所へ行って解除して貰う事だが……まぁ取り敢えず。


主人公とやら……天照様(アマテラスさま)から聞いたが

おめえさん達は“特務大臣”として

南地域の利点と欠点を調べに来たんだろ? 」


「は、はい……ご迷惑でしょうか? 」


「……いいや?

(むし)ろ俺が許可するから存分に調べてくれて構わん。


調べた結果は俺にも教えてくれればそれで良い……それと

邪魔する様な奴ぁ居ねえと思うが、一応(いちおう)念の(ため)

俺の近衛兵がおめえさん達の事を広めて回ると思うからよ。


ま……安心して調べて回ってくれ! 」


「助かりますッ!! ……って、それで言えば早速なんですが

転移して来て早々、何故(なぜ)か俺達の事を

“神扱い”する町民達に囲まれまして

正直、かなり難儀(なんぎ)したので出来れば

その辺の誤解も解いておいて頂けると助かります……」


「……ほう? “神”ねぇ?

ま、悪い様にはしねぇから安心して回ってくれ。


取り敢えず俺は城に帰るからよ……用があったら立ち寄ってくれ! 」


「了解です! ……」


宗次(ソウジ)は笑みを浮かべ一行に別れを告げると

御付きの魔導師に連れられ、(みずか)らの居城へと転移して行った。


一方、宗次(ソウジ)が立ち去った後

天照との会話もそこそこに街の散策(さんさく)へと繰り出した一行は

先程よりも明らかに“悪化”した

一行を取り巻く“環境”に……


◆◆◆


「おぉっ!? ……主人公様だ!!

皆! 主人公様がおら達の地域へ“降臨(こうりん)”なさったぞ!! 」


「えッ?! ちょ?! ……」


理由は不明だが

先程よりも主人公の事を神扱いする者達が増加しており

更には仲間達に対しても祈りを捧げる者達で(あふ)れかえって居た。


……本来、精霊族の女王として

(あが)められる”事には慣れている筈のマグノリア……だが

異常な程の“祈り”が捧げられ

流石(さすが)のマグノリアですらも若干居心地が悪そうな様子。


一方……主人公を(あが)めて居た者達は

一斉に彼の元へ走り寄ったかと思うと

突然彼の前で(かが)み、彼を取り囲む様な形で

祈りを捧げ始めて居た。


そんな、如何(いかん)ともし(がた)いこの異質な状況に困惑しつつも

祈りを捧げる民達に声を掛け

必死に問題点を探ろうとして居た主人公。


だが、そんな彼の発した……


「とッ兎に角ッ! ……この地域で何か問題はありませんか? 」


と言う一言を聞くや否や

一人の民は思い切った様子で主人公に対し……


「……お、おらの娘は嫁の貰い手がねぇでいっつも泣いてるだ!

主人公様のお力で、是非とも

娘を嫁に行かせてやって貰えねぇですか!! 」


と、主人公に対し文字通り“神頼み”をした民の一人

無論(むろん)、この“神頼み”を叶えられる力が

主人公(かれ)にある筈も無く……


「い、いやその、俺……って言うか!

“俺達”別に神とかそんな(おそ)れ多い存在ではないですから!

ただ勿論(もちろん)……そう言う願いを

すんなり叶えられる力が有ったら叶えてあげたいとは思ってます!


……って、そうじゃなくて!


俺達がこの地域に来たのは、この地域の(かか)える問題点

つまり、欠点と思える事柄を探りに来たんです

この地域だけで無く、()いては

日之本皇国(ヒノモトコウコク)全土の民達が

幸せに暮らせる法律やルール作りの(ため)

天照様(アマテラスさま)”からお願いされて動いているんです。


ですので、皆様は俺達に祈りを捧げるよりも

この地域に何らかの問題が有るのであれば

それを包み隠さず教えて下さった方が、何倍も……」


と、其処(そこ)まで言い掛けた所で

民達は更に大きな“勘違い”をした様で……


「あ、あの全知全能の天照様(アマテラスさま)

“直々に願い出たぁッ?! ”

……や、やはり主人公様は神様なんだべ!! 」


「えッ? ……ちょ?!

だからそう言う事じゃなくて……って、うわぁぁぁッ?! 」


激しく興奮した様子の民達は更に主人公に祈りを捧げ

そして――


“その体に触れればご利益が有る”


――と考えた一人の民の行動を真似(まね)るかの様に

民達は雪崩式に主人公に“触れ”始め……


「いいッ?! ちょぉッ?! ……ど、何処(どこ)触って!?


……ひゃぁぁぁんッ!? 」


興奮気味の民達に()って“もみくちゃ”にされて居た主人公

そして、そんな主人公を見つめて居たマリーンは……


「わ、私もどさくさに(まぎ)れて……」


「ちょっマリーン?! 何を……って、ひゃぁぁぁんッ?!! 」


暫くの後

一通り“触れ”終わった民達は

少しだけ落ち着きを取り戻し

主人公の話に耳を傾け始めた。


の、だが……


「も、もうお婿(ムコ)に行けないッ……グスンッ……」


と、(ひど)く“ショック”を受けた様子の主人公。


だが、ふらつきつつもガルドの肩を借り立ち上がると

民達に対し……“神頼みの様な物以外で”

問題点は無いかと改めて(たず)ねた。


すると……


◆◆◆


「も……問題点と言っても

おら達は畑を(たがや)すのが仕事ですから

天候が悪けりゃ問題ですが、望み通りの天候に成ってくれれば

それだけで幸せを感じるもんで……」


と、一人の農民が言うと

もう一人の農民はこれに対し……


「そうだなぁ~……けんど

去年辺りからオラの所の畑は獣害が(ひど)くてよぉ

防げる(モン)も人も居ねぇだもんで散々だ~ぁ。


かと言って、天照様(アマテラスさま)御休所(おやすみじょ)を守る

門番さんに頼む訳にも行かねぇだし

宗次(ソウジ)様の近衛兵さん達に頼むのだって無理だ。


……だが、オラ達は畑耕す事しか出来ねぇ弱え人間だから

自分であの“獣達”を倒せる力はねぇだよ。


主人公様の(おっしゃ)られる“問題点”だが

オラ達が思いつくのは精々この位だべ……」


そう言った農民は少し悲しそうな表情をして居た

そして、そんな農民に対し主人公は……


「大きな問題点……あったじゃないですか!

(まさ)にそれを聞きたかったんですよ! ……分かりました。


今、俺達が倒すのは簡単でも後々俺達が居なく成った時

皆さんが困る事に成る方が問題なんです。


なので……少し時間を下さい

皆さんが大切に育てた素晴らしい作物を荒らす

“害獣問題”は俺が責任を持って解決に導きますから! 」


民達の前でそう宣言した主人公

彼の言葉に民達は感動し、そして……


「おぉ!!! ……主人公様!!! 」


例に()って

民達は主人公を(あが)

祈りを捧げ、そして……


「ちょ、ちょっと? ……皆さん?!


いっ……


いっ……


イヤァァァァァッ!!!! ……」


再び、民達に()

“お触りタイム”の餌食(えじき)に成ってしまったのであった……


◆◆◆


(しばら)くの後


“人間不信気味”な主人公は

この地域が抱える問題解決の第一歩として

民達から得られた情報を宗次(ソウジ)に伝える(ため)

宗次(ソウジ)の居城へと向かった……だが。


再会早々、主人公に対し何か言いたげな様子で

“ニヤニヤ”とする宗次(ソウジ)の態度に()って

(ようや)く“原因”を知った主人公は

恨みの()もった様な

雰囲気を(かも)し出しつつ――


「……“悪い様にはしない”って言いましたよね?

民達に対して流したであろう“嘘”は後々の関係性に響きますからね? 」


――そう、鬼気迫(ききせま)る様子で

静かに(すご)んだのだった。


ともあれ……この後、流石(さすが)

申し訳無さそうにしつつも、宗次(ソウジ)は……


「い、いや面白いから(あお)ってみたんだが……正直すまなかった。


其処(そこ)まで疲弊(ひへい)させてしまうとは思っても見なかった

とっ……所で主人公とやら!兵からはおめえさん達が

“情報を伝えに来た”と聞いたが……何か問題はあったか? 」


主人公に対しそう(たず)ねた宗次(ソウジ)

一方の主人公は大きな溜息(ためいき)()いたかと思うと

宗次(ソウジ)に対し少々尊大(そんだい)な態度で語り始めた……


「あの……お言葉ですけど。


“沢山の”大きな問題が有ると思いますよ?

それも……“バカでも”分かる位の物が大量に」


「なっ?! バカとは失礼な! ……いや

()ずはそれ程までに大言する“問題”の内容を聞かせて貰おうか」


「ええ……まず一つ目ですが

門番との訓練で怪我をさせた()()

あんな下手な治療で(なお)した気に成ってる

その“無神経さ”から治さないと

どう見ても少な過ぎるこの地域の防衛力に

更に穴が空く事に成りますよ? 」


「なっ?! ……あ、あれは気が動転してだな! 」


「そうですか……では、次に。


(ベニ)さんから聞いて居たので

ある程度この地域の得意な分野は知っていましたが

この地域は農作畜産が得意な地域で、全地域の

言わば“胃袋”を任されて居る訳ですよね? 」


「ああ! その通りだ! ……南地域の農場は豊かだろう! 」


「ええ……ですがそれ程に重要な田畑の防衛力が

“ペラッペラ”なのは一体どう言う事です? 」


「ペ、ペラッペラだと?! ……」


「ええ……害獣程度に苦しめられる様では不安定過ぎますし

そもそも、衣食住のどれかが欠如(けつじょ)すると

地域同士のいがみ合いと言う“火”に油を注ぐ結果に成りかねませんし

昔の様にまた大きな争いを生む結果になりかねませんよね?

と言うかまぁ、見て回った限りでは他にも問題は多いと思いますが

何れにしても宗次(ソウジ)さんがもっと(しっか)りすれば良いだけの話です。


……問題点としてはこの位ですかね? 」


と、主人公が言い終える頃には

宗次(ソウジ)の表情は(まさ)

“鬼の形相”と言うべき物と成っており……


「主人公……貴様ッ……」


と主人公に近づき(すご)宗次(ソウジ)だったが

これに動じず、(むし)ろ……


「殴りたいんですか? ……どうぞ?

ですが……事実を指摘され、逆ギレした挙げ句

天照様(アマテラスさま)直々に任命された

“特務大臣”を殴りたい……と言うのならですが。


“泣きつき”もしませんが、反撃しないとも言いませんよ? 」


と、更に尊大(そんだい)な態度をしてみせた主人公

更に怒りを(あらわ)にした宗次(ソウジ)は拳を振り上げた。


だが……


「……いや、貴様の言う通りだ

俺は統治者(とうちしゃ)として適切では無いのかも知れん……


……だがな、主人公とやら

俺の(おさ)める南地域に防衛戦力が不足して居る理由は

何も俺が“手を抜いて居る”からと言う訳では無いのだぞ? 」


「では、その理由を」


そう主人公が(うなが)すと

宗次(ソウジ)は……


「……天照様(アマテラスさま)が四地域を(まと)

日之本皇国を(おさ)める事と成った“あの”(あらそ)いだが

あの(あらそ)いで最も兵を失ったのは他でも無い南地域だ。


元々、この地域は軍事的に長けた国だったんだが

恐らくはそれ(ゆえ)慢心(まんしん)して居たんだ

“多数の兵を投入すれば勝てる”とでも思っていたのだろう。


……兵と呼ばれる者達を(ほとん)ど全て投入し

そして“全滅”させてしまったのが当時の長だ。


国に残って居たのは田畑を耕し、家畜を育てる者達ばかり

所謂(いわゆる)“農民”って奴だが……()く言う俺も農民の出だ。


それ(ゆえ)食うには困らなかったが

指摘の通り“獣”からの被害が多くなるのは必然

さらに言えば、対処出来る兵も(いちじる)しく少ない。


(なに)せ、全てが丸く収まった後に集められた兵は

皆農民上がりの者が(ほとん)どな上

人間相手の訓練しか行っていない。


……無論(むろん)、解決策を考えて居ない訳では無いが

(ただ)でさえ手の足りて居ない防衛力を

“対獣”訓練で疲弊(ひへい)させていては

いざと言う時に動けなく成りかねん、かと言ってこれ以上

農民を兵にすれば国家の胃袋を(たも)てなく成っちまう。


……正直、とても困って居るのだ」


全てを話し終わった宗次(ソウジ)

(みずか)らを不甲斐無く感じて居たのか

情け無さの()み出る様な表情をして居た。


だが、そんな宗次(ソウジ)に対し……


「えっと……その悩み、割と簡単に解決出来そうではあります」


「な、何だと?! 」


「……が、取り敢えずは

全地域の均衡(きんこう)とかその他諸々を含め

俺自身が考えを(まと)めてからお話する事に成るかと思います。


全てが(まと)まったら全地域の長を集め

天照様(アマテラスさま)にもご同席頂き

地域ごとに必要と思われる改革(かいかく)について

全てお話したいと思っています。


取り敢えず、今日は考えを(まと)めたいので

宿へと向かいたいのですが……


……この地域の宿って何処(どこ)らへんにあります? 」


「ん? おめえさん達の宿は“御休所(おやすみじょ)”だと聞いているが? 」


「えッ?! ……御休所(おやすみじょ)って

“あの”御休所(おやすみじょ)ですか?! 」


「ああ、先程(さきほど)天照様(アマテラスさま)と話していた時に

天照様(アマテラスさま)本人からそう聞いたが……」


宗次(ソウジ)がそう伝えると

主人公は(しばら)くの間固まり、そして……


「わ、分かりました……でっ、では……今日の所は帰ります! 」


「おう! ……また後日な! 」


一行は宗次(ソウジ)に見送られ彼の居城を後にした。


その後……皆緊張し恐縮しつつも

一行は、本日の宿として

御休所(おやすみじょ)”を利用する事と成ったのだった……


◆◆◆


「で、ではおやすみなさい! ……は~ッ。

さてと……一応(いちおう)(まと)めておくか……」


自室に入るなり机に向かうと

南地域を含めた全地域の利点と欠点を

手当たり次第に紙に書き連ねそして

それらの問題点の解決策を必死に考え続けた主人公。


そして、翌朝……連日の疲れか

()しくは“お触りタイム”の疲れか

彼は書類の散乱(さんらん)した机で目覚める事と成り……


===第九一話・終===

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