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異世界転生って楽勝だと思ってました。【感謝15万PV突破! 】【六周年&七年目突入! 】  作者: 黒崎 凱
第一章

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第二五話「……代わりに仲間の愛で楽に成りました。」

主人公(かれ)の“目覚め”から(かぞ)え、約数ヶ月前の事

……魔王城では、計画の失敗を重く見た魔王の元へ

帝国軍の総司令官が呼び出されて居た


「……もう一度申せ」


「で、ですから……魔王様のお手を(わずら)わせずとも

私共の兵が潜入し、内部から混乱を引き起こし……」


「フッ……出来ると()うか

“二度の失敗”など……許しはせぬぞ」


瞬間

帝国軍総司令をギロリと睨みつけた魔王

……その殺気は、仮にも軍の総司令と呼ばれる人間が

(わず)か一(ひとにら)みで震え上がる程の力を(ゆう)して居た


「……か、必ずや成功をッ!!

で、ですから我が国は何卒(なにとぞ)……その、お見逃しを……」


(くど)い」


「し、失礼を! ……ですが、魔王様

奴らは近頃“差別(さべつ)迫害(はくがい)()き国家”と(うた)

同盟者を増やす動きを活発化させておりますので

その流れに(まぎ)れ込み潜入するならば

破壊工作も容易(ようい)では無いかと思われます」


「良かろう……我ら魔族の更(さらな)繁栄(はんえい)(ため)

全力を(もっ)てあの国を手に入れよ……良いな? 」


「はっ! ……必ずや! 」


◆◆◆


時は進み

主人公(かれ)が目覚めてから約一ヶ月後

政令国家“ハンターギルド”では


「では、オーク御一行様の依頼はこれで完了です!

報酬は此方(こちら)です! 」


「かたじけない……またこの様な依頼があれば

我らオークに回してくれると助かる……」


「はい! ……その(さい)は是非!

では、次の方……どうぞ! 」


忙しく働く受付嬢

直後、そんな彼女の所へと(あらわ)れた“不満顔”のエリシア

彼女は


「……あーイライラするっ!

この所、楽で高収入な仕事が多いからか

ハンターも多くて忙しいし、そのお陰で

ギルドの財政状況も最高だけどさ~っ?

でも……こんなに楽な仕事ばかりなのだって

主人公っちが“吸い取った”お陰なのに

(みんな)薄情(はくじょう)だよ……てか

最近薬草採集に行く時間が無くなって

凄いストレスだ~っ! ……ムキーッ!!! 」


「エ、エリシア様ッ?! ……そ、その

忙しいのは良い事ですし、その……“趣味”の方は秘書官(エレノア)様に

主人公さんはその、残念だとは思いますが……あっ!

……次の方どうぞ~! 」


受付嬢(セリーヌ)ちゃん……今、話を()らしたね?

ま良いや、頑張ってねぇ~っ? ……

……全く、勝手だよ。

民衆なんてのはさ……」


(しばら)くの後

ブツブツと文句を言いながら

ギルド二階の自室へと戻って行ったエリシア

一方、ヴェルツでは


◆◆◆


「はい! 三番テーブルだよっ!! 」


威勢(いせい)良く叫んだ女将ミリア

彼女が料理を手渡した相手はハーフ族らしき女の子であった。

……どうやら彼女は

ミリアが新しく雇った従業員の様で


「は、はい! ……お、お待たせしました!

エールと豆の塩煮です! 」


「おぉ~っ! 来た来た!

美味そうだなぁ~ありがとよ!

ほれ嬢ちゃん、チップだ……取っときな! 」


「あ、有難うございます! ……お、女将さん!

チ、チップはどうしたら……」


「何言ってんだい! チップは全額あんたのモンさね!

次! 七番テーブル! ……“力持ち”さん! 持って行っとくれ! 」


直後

同じく、新たに(やと)()れたオーク族の男性に対し

肉料理のセットを両手で手渡したミリア

直後、男性はこれを片手で軽々受け取り


「へい!! ……お客さんお待たせぃ! ヴェルツ特製、肉|()くしっ! 」


「キタキタキタ~ッ! ……これが美味(うま)いんだよ!

お前……食ってみろ! 」


「本当だ……美味ぇぇぇっ!

おい兄ちゃん、チップ取っときな! 」


「お気遣い有難うございます旦那っ! ……女将さん!

あっしもチップ頂きやしたっ!!! 」


「あいよっ! 大切に使うんだよ! ……しかし

此処(ここ)まで繁盛(はんじょう)するとはねぇ。

これも主人公ちゃんのお陰だってのに……早く

出してやれないもんかねぇ……」


多忙を(きわ)める厨房に立ち

物憂(ものう)げにそう言ったミリア

一方“ドワーフ族の工房”では


◆◆◆


「うむ……これを後二〇回練習じゃ! 」


「へいッ! そぉーれっ! ……よいしょぉ! 」


瞬間

弟子の打った(ツチ)(にぶ)い音を立てた。

この“失敗”に、ガンダルフは(げき)を飛ばし


「……()鹿()もぉんっ!!

さっきも言ったじゃろう! ……もっと腰を入れるんじゃ!! 」


「へ……へいっ! すいやせんっ!

それっ! ……よいしょっ!!! 」


直後

先程よりも(しっか)りとした構えで(ツチ)を振り下ろした弟子。

瞬間、心地良い金属音が放たれ


「そうじゃ! ……そうやって打つんじゃよ!

ん? ……コラぁっ!! “お前達”も

ぼけーっと見とらんと練習せんかっ!! 」


直後、そう言って檄を飛ばした(ガンダルフ)の視線の先には

広い工場にずらりと並んだ弟子達の姿があった


「……しかし、主人公(アヤツ)の事は

何時(いつ)に成れば出してやれるんじゃろうか……

……ってバカモンっ!

もっと腰を入れろと言っておるじゃろう! 」


弟子達が振るう(ツチ)の音よりも

遥かに激しい(げき)が飛び交うガンダルフの工房。

その一方……ダークエルフの村では

クレイン族長(みずか)ら“薬の調合”を教えて居た


◆◆◆


「……調合は正確さが何よりも大切だ

少しでも間違えば毒にも薬にも成らず

単なる材料の無駄と成る。

私達が安定した“薬草入手権”を(あた)えられ

そのお陰で安定した生活を送れる様に成ったのは

他でも無い、主人公と言う偉大な人間が居てこそだ。

良いな? ……一滴たりとも、()の一枚たりとも無駄にするな」


「ハイッ!! 」


真剣な表情で調合の訓練を行うダークエルフ達

……そして。

大統領執務室では、オーク族族長“グランガルド”が

ラウド大統領に対し直談判(じかだんぱん)をして居た


◆◆◆


「分かっておるが、国民がじゃな……」


「……もう良いだろうッ!

何故(なぜ)此程(これほど)長く閉じ込め続ける必要がある?

せめて監視を付け、(わず)かな時間でも

外を出歩く事を許す程度の“緩和策(かんわさく)”は取れぬのかッ!? 」


そう憤慨(ふんがい)していたグランガルド

だが、そんな彼に対し獣人族族長“リオス”は冷静に


「気持ちは分かるけど、聞き込みした感じだと

皆まだ怖がってるみたいだよ? ……中には

追放(ついほう)したらどうだ”とか言い出す人まで居るし

僕は、もっと“時期を見た方が良い”と思うなぁ……」


このリオスの意見に

同席して居たマリーナは


「“時期を見て”……ですか。

そう言い続けて早一ヶ月です

彼が目を覚ましてから一ヶ月も経過したのですよ?

にも(かか)わらず、何も進展(しんてん)して居ないでは有りませんか。

このままでは、彼は一生を

あの牢獄で暮らす羽目に成ってしまいますわ?

せめて、国民に対し秘密裏に

(いく)つかの拘束を()く”位ならば容易(たやす)い筈。

ラウド大統領……少しでも

主人公様の事を気遣って差し上げてはどうなのです? 」


(いきどお)りを感じさせる口調でそう言ったマリーナ

この後も平行線を辿(たど)った話し合い……そんな中

一人の衛兵が慌てた様子で執務室へと現れた。


「失礼致します! 」


「馬鹿者ッ! “機密事項”の話し合い(ゆえ)

決して入ってくるなと言い付けた筈じゃろう?! 」


「も、申し訳ございませんラウド大統領閣下!

しかし、緊急事態なのです……

……お伝えしない訳には参りません! 」


「一体何事じゃ!? 」


「……東門前に約二〇名

“魔王軍に追われ逃げ延びた”と(もう)す者達が押し寄せています!

彼らは我が国への保護を求め……」


「何じゃと?! ……皆、すまんが

この話はまた日を改める事とする!

急ぎその者達を“一時避難所”へと連れて行くのじゃ! ……」


数分後、東門前にて


◆◆◆


「……許可が降りましたので

皆さんを一時避難所へご案内します

では、此方(こちら)へどうぞ……」


連絡を受けた衛兵は避難民達の誘導を始めて居た。

一方……同時刻“政令国家:地下特別警戒監獄室”では


◆◆◆


「ね……ねぇ、二人共。

ずっと側に居てくれるのは嬉しいけど

二人まで此処(ここ)に居続けなくても

遊んでくるとか、何か自由に……」


そう言って二人(メル・マリア)を気遣った主人公に対し

メルは


「わ、私は主人公さんの横にいるのが一番幸せなので

ほ……ほっといてくださいっ!! 」


思い切った様子でそう言った

直後、そんな彼女の思いに


「なッ?! そ、そりゃあ……俺だって

その、メルちゃんが(そば)に居てくれると嬉し……」


(ほほ)を赤らめ、そう(みずか)らの(おも)いを伝えようとした

瞬間


「私は基本的に“働きたくない”だけなんで

言い訳に使えて超ラッキーって感じですけどね~! 」


二人の会話を(さえぎ)る様にそう言ったマリア

だが


「あぁ、それなら良いんだけどね」


「はぁ?! ツッコミ待ちなんですけどぉぉぉっ?? 」


「は? ……ウッザ! 」


「はぁ?! 何ですかもう!

ウザいとか本気で傷つきますよ?!

ってか、こんな“絶世の美女”が二人も(そば)に居て

これ以上何が望みなんですか? ……ハッ!

まさか私達二人を無理やり……」


「……するかバカッ!!!

もしどうしても辛抱たまらなかったら

正式に告白して、丁寧に段階を踏んで……だわ!

ったく……お前は俺をどんな野蛮人だと思ってんだよ?!

それに、そもそも俺にはまだ“そう言う経験”が……

……って。

なッ……何でも無いッ!!! 」


「いや~……長い“ノリツッコミ”が出ましたね~?

それにしても、油断すると()ぐ私の事を忘れるんですから

(ひど)い男です主人公さんは! 」


「い゛ぃッ?! ……いやその……なんかごめん。

そ、それにしても……俺が此処(ここ)に幽閉されて早七ヶ月か

若干だけど……恐ろしいな」


「あ~……やっぱり出歩けないのは辛いですか? 」


「いや、割と何とも無い事が恐ろしい」


「成程、やっぱり生粋(きっすい)のニー……」


「それより先を言ったら……“()む”ぞ? 」


「ニー……“ハイソックス”ってどう思います? 」


「“生粋(きっすい)のニーハイソックス”って何だよッ?!

ま、まぁ……好きだけどさ! 」


「ふふっ♪ ……お二人のそう言う会話大好きですっ! 」


「そ、そうなの? ……しかしメルちゃんは本当に天使だなぁ

本当に……何時(いつ)も一緒に居てくれてありがとねッ! 」


「へッ?! ……はわわわっ……」


「ちょっとぉ! ……私との扱いの差! 」


「あははっ! ……マリアも居てくれてありがとな! 」


「え、ええ! かっ……感謝してくださいよね!? 」


「いや、褒めたら照れるんかいッ! 」


主人公達(かれら)(だん)らんを楽しんで居た一方

“一時避難場所”に案内された避難民達は

衛兵から“食事の説明”を受けて居た


◆◆◆


「……(しばら)くしたらお食事のご用意が出来ます

その他、何か必要な(さい)は何なりと

いつでもお声掛けください……では」


直後、避難民達に一礼し

一時避難所を後にした衛兵……だが。

この直後


「……潜入成功か。

信じられない程に警備が“ザル”だったが

“所持品確認”すらされないのであれば

武器を持ち込むべきだったな……」


「ええ……それで隊長、何処(どこ)から攻めますか? 」


()ずは武器の入手だ……

……手に入れ次第(しだい)、A班は出来る限り

この国の生命線(ライフライン)に成り得る店の破壊活動を行え。

騒ぎの間にB班は城へと潜入、私と共に破壊工作を行う

残りの者は妨害魔導で連絡網を(つぶ)

その後、街で騒ぎを起こせ……シッ!

誰か来るぞ……」


「……お食事の用意が整いました!

皆様、どうぞお召し上がりください

此方(こちら)は温かい“シチュー”でございます」


「おぉ、これはありがたいっ! 」


この日の深夜

政令国家の民達が寝静まった頃

避難民に偽装して居た“帝国兵”らは(ひそ)かに作戦を開始した


◆◆◆


深夜“ドワーフ族の工房”

侵入した偽装兵A班は

陳列された高品質な武器や防具に目移りして居た


「何と質の良い……これは、武器だけで無く

防具ついでに頂いて行くべきか……」


欲を()き、帝国では高級品である

“フルプレートアーマー”に手を掛けた瞬間

工房内に鳴り響いた“喇叭(ラッパ)”の音


「こらぁぁぁっ!!! 盗みを働くのは誰じゃああぁっ!!! 」


「くっ……警笛(けいてき)だと?!

まさかドワーフの店だったとは……不味い!

急ぎ全員撤退だっ!!! ……」


「盗人め!! ……逃さんッ!

武器破壊|連環撃(レンカンゲキ)ッ! ――」


ガンダルフの激しい攻撃に()

班長以外の全員を無力化されてしまったA班

そして


「……くっ、こうなれば刺し違えてでもっ!!!

死ねぇぇぇっ!!! ……」


直後

全力の一撃を繰り出した班長……だが

その攻撃さえ、ガンダルフの“(ツチ)術”の前には

無力であった


「甘いッ! ……“崩山撃(ホウザンゲキ)ッ! ”

……どっせぇぇぇぇぇぃ!! 」


瞬間

武器|諸共(もろとも)()()せられたA班班長。

そして


「これは帝国の紋章?! ……不味(まず)い事態に成っておる

急ぎラウド殿に報告せねば! ……お前達、後は任せたぞ!

警戒を(おこた)るでないッ! ……」


弟子達にそう言い残すや否や

途轍(とてつ)も無い勢いで城へと疾走(はし)って行ったガンダルフ

……同時刻、B班は

既に大統領城内部へと侵入して居た


◆◆◆


「……街が騒がしくなったな

“陽動作戦”が成功した物と断定し、我々も速やかに破壊工作を行う。

B班、突入だ――」


迅速に、音も無く

着実に城内部を制圧し始めたB班……(しばら)くの後

一際大きな扉の前へと辿(たど)り着いたB班は

ゆっくりとその扉を開けた


「ん?! ……貴様ら何者じゃ!? 」


開かれた扉の先は

“大統領執務室”

(きょ)を突かれたかの様な表情を浮かべそう言ったのは

ラウド大統領であった


「ふっ、貴様がこの国の長か……死んで貰うぞッ! 」


◆◆◆


「なっ?! ぐあぁぁぁっ! ……」


この“出来事”から数十分程前の事。

“政令国家地下特別警戒監獄”では

主人公が“ある疑問”について考えて居た


◆◆◆


「……そう言えば、この国には

“カードゲーム”的な物って無いのかな?

それか“ボードゲーム”とかでも良いんだけど……」


「あ~……そう言えば見た事無いですね?

と言うか、そもそも主人公さんが

“設定”してないから無いのかもですね~……ま

もし無いなら無いで主人公さんの記憶を頼りに

ガンダルフさん辺りにお願いして

作って頂くのも良いかもですけどね~」


「おッ! ナイスアイデアだなマリア! 今度頼んでみよう! 」


などと話して居た二人に対し

メルは不思議そうに


「あ、あのっ……お二人の(おっしゃ)ってる

“ゲーム”って言うのは、一体何をする物なのですかっ?? 」


「えッ? ……ゲ、ゲーム知らない? 」


「すみませんっ……私は聞いた事無いですっ……」


「あ~……と言う事は“無い”のか。

……簡単なので言えば“マルバツゲーム”とかかな?

(タテ)(ヨコ)(なな)め合わせて九マスのマスの中に

交互に自分のマークを書いて

先に一列でも揃えられたらその人の勝ち! ……

……って言う“遊び”なんだけど」


「ほぇ~っ……それ、面白そうですっ!

私、やってみたいですっ! 」


「おぉ! じゃあ、やってみよう!

ではでは……メルちゃんからどうぞ! 」


直後

“マルバツゲーム”で遊び始めた主人公とメル

しかし……早々にメルは、このゲームの

“ある問題点”に気付き


「……あれ?

お互いに揃えられなく成っちゃいましたよ? 」


「あ~……このゲームはそうだね

普通にやってると(ほとん)ど勝負がつかないんだ」


「そうなんですね……“ゲーム”って

こう言う様な物が多いのですかっ? 」


「い、いや……例え話で出してみただけで

もっと楽しいのは沢山あるんだけどね……

……正直、口で説明するよりも

実際に物を用意して遊んだ方が分かりやすいし

楽しいとは思うけど……」


「でしたら……やっぱりガンダルフさんにお願いして

作って頂いた方が良いかもしれないですねっ! 」


「そうだね~……ってそう言えば!

なぁ、マリア……お前、ドワーフ族達と仲良く成ってたよな? 」


「はい! 私の装備を凄く気に入って下さって

“盾も欲しくは無いか? ”……って言われたので

“是非! ”……って言ったら“作ってやる! ”って

ガンダルフさん(みずか)ら申し出てくださいまして~! 」


「す、凄いな……でも、ドワーフの装備は高級品だし

価格もそれなりだと思うけど……予算は大丈夫か? 」


「それが……“無料で”作って下さるそうです」


「えッマジで?! ……お前それ凄い事だぞ?! 」


「そうだったんですね……って

何故(なぜ)私とドワーフ族の関係性を話題に? 」


「いや、それだけ仲が良いなら高級なドワーフ製の製品でも

“お友達価格”で作って貰えないかなーって(あわ)い期待を……」


「成程……確かに、私もゲームで遊びたいですし

良いアイデアかも知れませんね!

でしたら、最初に何をお願いしてみます? 」


「う~ん……なら“オセロ”が良いんじゃないかな?

ルールは簡単で作るのも多分簡単だし

俺達だけで遊ぶんじゃなくて、皆が遊べる様に

大量に生産しやすい物が一番良いかなと思うしさ。

そうとなれば紙に説明を書いて……っと、どうかな? 」


「いい感じですね! ……じゃあ早速お願いに行ってきます! 」


「え? ちょ?! ……い、今って何時(なんじ)なんだろ?

なぁマリア、余り遅い時間なら明日に……って。

も、もう居ない?! ……」


◆◆◆


主人公の心配を他所(よそ)

地下牢から大統領執務室へと繋がる階段を

ウキウキ気分で()け上って居たマリア


「オセロっ♪……オセロっ♪……って、あれは!?

あ、危ないっ! ――」


瞬間

咄嗟(とっさ)(みずか)らの斧を投げたマリア……その方角には

危機的状況に(おちい)ったラウド大統領の姿が有った。

この時……(ラウド)(ため)投げられた彼女の斧は

高速で回転しながら偽装兵へと直撃……

……腕|諸共(もろとも)に武器を“へし折った”後

回転力を維持したまま、彼女の手元へと舞い戻ったのだった


◆◆◆


「なっ?! ぐあぁぁぁっ! ……う、腕がっ!?

ぐうっ! ……き、貴様何者だっ?!! 」


「危なかった~っ! ……って、貴方達こそ何者です?

ラウドさん! お怪我はありませんか?! 」


「う、うむ……マリア殿のお陰で怪我は無いが

それよりもこやつらを退治するのが先決じゃ!

雷の魔導、雷撃(ライトニングスパイク)ッ! ――」


「……了解ですッ!

(だい)連環撃(レンカンゲキ)ッ!! ――」


直後

危なげ無く潜入部隊を壊滅させる事に成功した二人……だが

マリアの強力な攻撃に()り、執務室は“半壊”し


「なんと……机が真っ二つに……い、いやしかし

良いタイミングじゃった……とは言え

それにしても、こんな夜中にどうしたのじゃね? 」


「……つ、(つくえ)すみませんでした。

それでその……私、主人公さんの“おつかい”で

ガンダルフさんに“あるゲーム”を作って頂こうと思って……」


「ほぅ、ゲームとな……それは何をする物なのかね? 」


「ラウドさんも間違い無く楽しめる“遊び道具”です! 」


「ふむ……大変に興味が()いたが

()ずはこの異常事態をどうにかせんとならんじゃろうな。

魔導通信――

――何? 繋がらんじゃと!?

一体、何が起きて……」


「失礼致します!! 」


「ん?! ……誰じゃ?! 」


直後

警戒する二人の前に現れたのは“衛兵”であった。

……彼は、息を切らしつつ

現在の戦況を説明し始めた


「……リオス様からの情報です!

帝国の“便衣兵(べんいへい)”が各所で撹乱(かくらん)工作を行っており

“妨害魔導”も使用された形跡があり、現在

政令国家全域に()ける魔導通信は正常に行えないとの事!

……リオス様|(みずか)ら各所へ情報伝達する事で

騒動の沈静化を(はか)って頂いてはおりますが

どうやら……先程の“避難民”が帝国の“便衣兵(べんいへい)”だった様です。

これは我々の確認不足が(まね)いた騒動です……

……大変申し訳有りませんでしたッ! 」


「ふむ……では皆に伝令を送るのじゃ!

便衣兵(べんいへい)(おぼ)しき者はその場で対処する様に”

皆にそう伝えよ! 」


「ハッ! 」


直後、命令伝達の(ため)

走り去って行った“衛兵”の後ろ姿を見つめながら

マリアは


「え~っと……わ、私って何かお役に立てますかね? 」


「うむ、マリア殿は此処(ここ)に居って貰えるかのう? 」


「はい! ……ラウドさんの護衛ですね! 」


「頼もしいが、そうでは無く……主人公殿の護衛じゃよ

この“地下”が敵に知られれば、主人公殿が危険じゃからのぅ? 」


「確かに……分かりました! 」


などと話していた二人の元へ

地響きを(とどろ)かせながら

猛烈(もうれつ)な勢いで接近する者が居た


「うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!! ……ラウド殿ぉぉぉっ!! 」


「ん?! ガンダルフ殿?! ……何かあったのかね?! 」


「工房に帝国の(ぞく)が現れたんじゃ!

ラウド殿は無事で何よりじゃが

此処(ここ)に来るまでにも各地で騒ぎが起き……ん?

この部屋に倒れている奴らは、この傷

まさか……マリア殿が倒したのか? 」


「は、はい……そのせいで

高そうな(つくえ)を壊しちゃいましたけど……」


「やはり……いやはや流石の太刀筋じゃが

こうも危険な戦闘が起きる様では、やはり

一刻も早くマリア殿に盾を作らんといかんのぉ。

……よし、わしもラウド殿を警護しようではないか!

また攻めてこんとも限らん(ゆえ)なっ! 」


「あっ! ……でしたら、こんな時にあれなんですけど

主人公さんからお願いされた“物”を今の内にお渡ししておきますね!

この紙に書いてある物を作って頂きたいんです! 」


「何じゃ? ……ふむふむ、木板に石

動物の革などがあれば作れるじゃろうが……

……こんな簡単な物を作って一体どうするんじゃね?

占いの(たぐい)か何かに使用するのかのぉ? 」


「えっと……この国に“ゲーム”って無いですよね? 」


「ゲーム? ……何じゃそれは? 」


「遊びです、その道具も“遊ぶ(ため)の物”なんですよ? 」


「ふむ……これは主人公発案なのか? 」


「ええ主人公さん発案……って言って良いのかな? 」


「ふむ……まぁ良い!

主人公は地下で七ヶ月も幽閉(ゆうへい)されて居るんじゃ

是非(ぜひ)とも希望する物を作ってやろうではないか!

うむうむ! ……腕が鳴るぞぃ!!! 」


「私も楽しみです! 」


そして、同時刻

北地区では


◆◆◆


「くっ! こうなれば少しでもこの国の民を……」


「ほう? ……“どうする”と言うのだ? 」


瞬間、裏通りから現れ

低く野太い声で便衣兵(べんいへい)へとそう問うた存在

それは、グランガルドだった


「なっ?! オークだと?! くっ……死ねぇぇっ!!! 」


直後

便衣兵(べんいへい)の捨て身に(ひと)しい一撃は

グランガルドの頭部へと直撃した。

だが


「どうした? ……それで終わりか? 」


「わ、私の本気の一撃が……傷一つ付かぬ“(かぶと)”だと?! 」


「……ドワーフの装備は流石(さすが)

吾輩(わがはい)を更に強くしてくれる……さて

貴様の様な(ぞく)は……土に(かえ)るが良いッ!! 」


「なっ?! ……ぐぁぁぁぁぁっ!! 」


「……全く、この様な(ぞく)(まぎ)れ込むとは

全て、倒さねば()るまい……」


息絶えた“(ぞく)”の(しかばね)に目を向け

そう言ったグランガルド……(しば)しの戦いの後

各地とも、目立った被害は無く

全ての敵を排除する事に成功した政令国家。

そして……この出来事に()り、国民達は

各種族らに対し、更に理解と尊敬(そんけい)(いだ)く事と成った。

一方……“作戦失敗”後

魔王城では


◆◆◆


「……弁明などに耳を貸す積りは無い」


「し、しかし! 敵の猛攻(もうこう)が予想以上でして! ……」


「言葉を(かい)さぬのか? ……まあ良い、許そう」


「あ、有り難(がた)き幸せ! この次は必ずや政令国家を……」


「フッ……()れ者が

“次”など無いと()った(はず)だッ!!!!! ――」


「なっ?! ……ぎゃあああああっ!!! 」


「――不愉快な。

やはり“帝国(こやつら)”程度ではこれが限界か……

……帝国(こやつら)など最早(もはや)生かしておく(ゆえ)()い。

我が配下よ……帝国を我ら魔族の(かて)とせよ」


瞬間

魔王は静かにそう告げた……一方

この命令を待ち望んで居たかの様に

配下の魔族達は一斉に雄叫びを上げ……

……その禍禍(まがまが)しい雄叫びは遥か遠くまで響き渡り

周囲に()まう魔物らを(わず)かに凶暴化させた


===第二五話・終===

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