第二〇七話「“実現”は楽勝ですか? 」
<――少し前、モナークが口にした“言霊の力”と言う考え方。
それが一体何処に向けて発せば叶う物なのかは分からないが
僅かでもこの危険な状況を打破する為の力と成り
誰一人欠けず、全員無事で帰還し“晩飯”を囲めると言うのなら
俺は幾らでも“言霊”を発し続けるだろう。
だが、この直後……そんな“神頼み”の様な気持ちで発した俺の言葉に対し
ライドウは薄気味の悪い笑みを浮かべ――>
………
……
…
「……ほう。
では、宛ら私など“食前酒”程度の存在だとでも? ……これは恐ろしい。
一体何処からその様に尊大な態度を取るだけの……って
おやぁっ? ……おやおやおやぁっ?!
ローズマリーさん! ペニーさん! いや~っ! お久しぶりですねぇっ!
アルバートさんはお元気ですか? ……っと、いけないいけない。
すっかり忘れていました……彼は既に“故人”でしたねぇ? 」
<――露骨な程の挑発を以て二人の冷静さを奪い去ろうとした。
そしてそれは、恐ろしい程に“上手く行ってしまった”――>
「?! ……出ちゃ駄目だッ!! 」
<――直後
二人に対し慌てて発し……そして
間に合わなかったこの言葉――>
………
……
…
「……おやおや。
こんな挨拶程度の挑発に乗って頂けるとは思っても見ませんでした
まぁ“時既に遅し”とでも言うべきなのでしょうがねぇ? ……」
<――まるで
“俺達が来る事を予想建てて居た”かの様に敷き詰められて居た魔導陣は
ニヤけ面で饒舌に語るライドウの視線の先で容赦無く二人を襲った。
……二人の影すらも見えない程に降り注ぎ続けた大量の攻撃
この瞬間、あまりにも呆気無く奪われた
“かに見えた”
二人は――>
………
……
…
「全く……自らの迂闊さに嫌気が差してしまいます。
つい先程頂いたばかりの仇討ちの機会を危うく逃す所だったのかと思うと
主人公様に対しどの様に謝罪をすべきかすら悩ましい限りなのですが……
……少なくとも、迂闊なのが“私だけでは無かった”様で安心致しました」
「……ちょっとローズマリーっ?!
それってあたぃの事まで“迂闊”って言ったのと同じじゃないのよっ! 」
「ええ、そのつもりでそう言ったのですが? ……とは言え。
何れにせよ、この程度で私達を打ち倒せた物と考え
“ぬか喜び”してしまったあの男程愚かでは無い様ですのでご安心を」
「うふっ♪ ……それもそうねぇん♪ 」
<――その“発言”に依って
ライドウをこれ以上無い程不機嫌にさせたかと思うと
周囲に敷き詰められた魔導陣を破壊し
何事も無かったかの様に俺の背後へと舞い戻ったのだった。
そんな二人の平然とした様子に
“無事で良かった”……そう思った一方で
暴食之豚”が複数回の効力を持つ物で無ければ
二人の命が、今この瞬間失われて居たと言う事実に
急激な恐怖を感じてしまった俺は――>
「あの……“肝が冷える”とか
そんな生易しい状況じゃなかったの分かってます? 」
<――魔導障壁を展開しつつ、そう苦言を呈した。
だが、ペニーは――>
「……状況が状況とは言え
仮にもあれだけ敵対していたあたぃ達の事をそんなに心配してくれるなんて
アンタ、やっぱり優しくて良い男ねぇんっ♪ 」
<――と、茶化す様な返事を返し
そんな態度に僅かな苛立ちを感じた俺が――
“過去はどうあれ、少なくとも同じ目標を持って居る今だけでも
仲間としての立ち居振る舞いを考えて下さいッ! ”
――そう、少々キレ気味に返すと
尚も茶化す様に――>
「ふ~ん? ……あたぃってば“天邪鬼”だから
そうやって“今だけ”とか言われると――
“アンタが嫌がっても仲間で居続けてやるぅ! ”
――って意固地に成っちゃうのよねぇ~ん?
アンタ……その覚悟があって言ってるのかしらぁん? 」
<――と、妖しげな笑みを浮かべつつ
俺に向け投げキッスとウインクをしたのだった。
……この直後
あまりにも気の抜けたペニーの態度に
思わず“気の抜けた言い合い”に発展し掛けてしまった、その時――>
………
……
…
「固有魔導:時之狭間――」
………
……
…
「――愚か者共が、尽く私をコケにした報いです。
何をどうして得た能力かは知りませんが
戦いに集中する事すら出来ぬ程の愚かしさで私に挑み
その結果得られた物が“私に要らぬ手間を掛けただけ”とは……
……全く以て愚かしい。
ですがまぁ、良いでしょう……“あれ”もそろそろ完成する頃です。
此処は一つ私が大人になり“幼稚な暇潰しに付き合ったのだ”と
貴方達の愚かしさを許……っ?! 」
<――この瞬間
“異変”に気付き、飛び退ける様に距離を取ったライドウ。
直後――>
………
……
…
「貴様が何を宣おうとも貴様の自由だが
その前に、吾輩の疑問に答えて貰おう……一体何が“完成する”と言うのだ? 」
<――そう訊ねたガルドを始め
誰一人として“停止”して居ない此方の状況に――>
「……この際“誰一人として停止して居ない”事は良しとしておきましょう。
ですが……何故です?
貴方の様に“魔導適性”など微塵も無い筈の“オーク族”が……
……何故、其処らの魔導師など比べ物にならない程の
“魔導抵抗力”を有していると言うのですっ?! 」
<――この瞬間
異質な存在を見る様な眼差しでガルドの顔を睨みつけそう言ったライドウ。
此奴の言った“魔導抵抗力”とは、つまり――
“完全な無抵抗状態に於ける、素の魔導防御力”
――そう表現するべき力の事だ。
もっと簡単に言えば、何かを発動させずとも始めから機能している
“受動的技能”とでも呼ぶべきだろうか?
まぁ、何れにせよ……此奴の言う様に
オーク族はその特性上“絶対に”魔導適性を有する事は無いし
魔導抵抗力の数値だけで言えば、平均的なエルフ族以上の数値を
現在進行系で叩き出して居るガルドの存在は
確かに異質に見えても不思議は無いだろう……だが。
今、ガルドがそんな“異質な力”を得て居る原因であり
恐らくは俺達全員がこうして無事に“動けている”理由でもある
“暴食之豚”の備考欄には――
オーク系種族に於ける生命活動の根源
“大食”は暴食之豚の適用倍率を五倍向上させる。
――と言う、この異質さに説明をつけるだけの一文が記されて居た。
そして……“オーク系種族”と言う項目が故か
ガルドと同じく、明らかに強化されていた“メル”の能力値に
一層の不快感を顕にしたライドウは――>
………
……
…
「……成程。
少々時間が掛かってしまいましたが、漸く理解出来ました。
何故、必要以上に私を“挑発した”のかもですが
そもそも何故、能力値を“隠して居る”のかが分からず
それなりに警戒して居た甲斐がありました……答えなさい。
無様な転生者……いえ。
……主人公とやら。
“トライスター”と呼ぶ事すら憚られる程の無様さを披露した貴方が
“蘇る”だけに飽き足らず、貴方一人の持つ力よりも遥かに強力な力を
全員に“分け与える”事など到底不可能な筈……ましてや
仮にそれ程の力を現在も発揮しているのならば
遥かに格上たる私に対する“能力値の秘匿など夢のまた夢の筈。
……答えなさい。
一体貴方は、誰と“取引”をしたのです? ――」
<――そう発した直後
自白の魔導……その上位技である
“白日之下”を俺に向け放ったライドウ。
だが――>
………
……
…
「……お前の言う“取引”って言うのが何の事を指してるのかは知らないが
俺は別に“能力値の秘匿”なんてしてないが?
てか……寧ろお前の方こそ答えろよ
直前まであれ程大量に居た狂鬼共を一体何処に隠したんだ?
それと、ガルドの質問にも答えてくれよ。
一体……“何が完成するのか”をな」
<――間違い無く発動した筈の“白日之下”が不発に終わり
唯“会話の一端”としてそう答えただけに過ぎない俺の様子に
ほんの一瞬、酷く顔を引き攣らせたライドウは――>
「答えずとも充分理解出来ました……やはり、妙な力を得て居る様ですね。
一体何処から“盗み見て居た”のかは知りませんが
この私が、その質問に素直に答えるとでも? ――」
<――嘲笑う様にそう言った直後
自らの胸に手を当て――
“全員……この場に舞い戻りなさいっ! ”
――そう唱えたライドウ。
瞬間――>
………
……
…
「お待たせ致しました……ライドウ様」
<――この場を埋め尽くさんばかりに現れた“狂鬼”の大群
その先頭に立つ狂鬼は、ライドウに対しそう告げると静かに頭を垂れた。
奴らは……その体に“土埃”と
“返り血”の様な物を僅かに付着させてこそ居たものの
整然と並んだどの個体も手足は“無事”だった。
……一体、何処にこれほどの数が潜んで居たのか。
だが、その答えを明らかにする暇は与えられなかった――>
………
……
…
「挨拶など不要です……良いですか? 私の命令は一つです。
“時間を稼ぎなさい”――」
<――直後
そう冷たく発せられた命令に従い、俺達に向け一斉に差し迫った大量の狂鬼共。
だが……そんな危機的とも思える状況の中
襲い来る狂鬼共には目もくれず――>
「逃しませんっ! “完全空間閉鎖ッ!! ”」
<――この瞬間
ライドウに向け“得意技”を発動させたローズマリー
一方――
“いやはや、恐ろしい程に目聡いですねぇ……面倒な限りです”
――不満げにそう言うや否や、狂鬼共に対し
自らを包む“完全空間閉鎖”を攻撃させ
直ぐにこれを外側から打破してみせたライドウ。
だが――>
「ええ……貴方の逃亡癖には“覚え”がありますから」
<――嘲笑する様な笑みと共に
そう言い放ったローズマリーの態度に苛立ったのか
直後、舌打ちの音を響かせたライドウは
“逃亡”を止め――>
………
……
…
「……良いでしょう。
本来ならば面倒なだけの戦いなど趣味では無いのですが
“小心者扱い”されるのは些か不愉快ですのでねぇ……とは言え。
“妙な力”を得た相手と“真正面から殴り合う”などと言う
愚を冒すつもりは毛頭ありません。
と言う事ですので――
“狂鬼共よ、私の糧と成り力と成りなさい”
――全ては、圧倒的状況を作り出す為
そして、無能で無礼で無様なゴミムシ共を全て残らず消滅させる為に……」
<――そう言うや否や
懐から“呪具”を取り出し、それを一振りした。
瞬間――>
………
……
…
「……やはり、奥の手は幾つも用意しておくのが定石の様です。
どうです? どれ程分厚く展開しようとも容易く消滅してしまう貧弱な障壁と
命令を聞かぬだけに飽き足らず、その能力まで著しく低い愚かな味方に囲まれ
守るだけでも手一杯と成ってしまう状況への感想は。
おやおや? ……もしや、答える余裕すら有りませんか? 」
<――“奥の手”に依り桁違いの魔導力を手に入れ
此方の魔導障壁を軽々と破壊したライドウは
薄気味の悪い笑みを浮かべつつそう言った。
そして……この直後
改めて俺の能力値を確認したのか――>
「……おや? 見間違いでしょうか?
“星之光”との記載がありますが……それにしてはあまりにも能力値が低い。
もしや同名の別物か、それとも本当に“この程度”なのですか? ……
……あぁ、答えなくても良いですよ?
私が勝手に“大きく受け取って居た”だけの様ですのでね。
過去、あの男が語ったカビの生えた馬鹿な夢物語の所為で……ねぇ? 」
<――俺は疎か
俺の大切な全てをも嘲笑うかの様にそう言った。
そして――>
………
……
…
「さて……どうした物でしょうねぇ?
一斉に掛かって来ますか? それとも大人しく敗北を受け入れますか?
あぁ、間違っても――
“無様に足掻いたり、命乞いなどしないで下さいね?
――言うまでも有りませんが、無駄ですので」
<――この瞬間
宛ら“死刑宣告”とでも言うべき宣言をしたライドウ。
だが、そんな中……“星之光”成り、強化された俺を超え
尚余りある能力値を得たのだろう此奴に対し
一歩も引かず……まるで
俺自身よりも、俺の得た力を“信じて居る”かの様に――>
………
……
…
「……お前の出す選択肢なんてどれも受け入れないし
お前なんかに師匠の夢も主人公っちも打ち砕かれたりはしない。
たとえ星之光の伝説が本当に“伝説”だったとしても
大切な存在を想い、護ろうとする力はそう簡単に負けたりはしない。
何より……お前みたいに
“何とも真っ直ぐに向き合えない奴”なんかには絶対に負けたりしないッ!! 」
<――エリシアさんはそう高らかに宣言した。
何一つ言い返す事すら出来ず居た俺の事さえも鼓舞するかの様に
その真っ直ぐな眼差しでライドウを見据えながら。
だが――>
………
……
…
「ほう……流石はあの男を“崇拝する”姉弟子様ですねぇ?
あの男に負けず劣らずの“夢物語”を語るとは。
しかし……たった今、申し上げた筈なのですがねぇ?
“無様に足掻くな”と――」
<――そう言って不気味に微笑み掛けるや否や
その“宣言”を嘲笑うかの様に
エリシアさんに対し、敢えて“真正面”からの攻撃を差し向けたライドウ。
……この直後、否応無しに始まった二人の戦い。
だが、この瞬間……不利な状況に持ち込まれ掛けたエリシアさんを援護する為
次なる“固有魔導”を発動させようとして居た俺や
そんな俺の雰囲気に気付き、自らの固有魔導を発動させたメルと共に
戦いの態勢を整えた皆の事をも嘲笑うかの様に
次なる“奥の手”を発動させたライドウ。
それは、俺達の想像を遥かに超えた“最悪”と言うべき“者達”だった――>
………
……
…
「恐らくは“多対一の戦い”がお望みだったのでしょうが……残念でしたねぇ?
まさか、こうして“頭数を合わせられる”とは思いもしなかったでしょう?
怖いですか? 恐ろしいですか? ……
……今、一体どんな感情が貴方達の中に渦巻いているのですか? 」
<――この瞬間
嘲笑う様にそう言ったライドウ。
そんなライドウの発動させた“奥の手”は
俺達の眼前に“ライドウの複製体”を出現させて居た――>
………
……
…
「ああ、確かに“怖い”よ……色んな意味で“悪趣味”だしな」
「ほう? 主人公とやら……貴方にまだそんな口を聞く余裕がおありとは。
まぁ、良いでしょう……本当に余裕があるのかどうか
一度“試してみる”事に致しましょう――」
<――無論
“複製元”程、桁違いな能力を有している訳では無かった。
だが、少なくとも……エリシアさんの援護と言う俺達の作戦を崩すには
余りにも充分過ぎる“増援”だった。
この直後……饒舌で狡猾なライドウ本人とは反対に
“命令に絶対服従する素直さ”を有し、その一体一体が
“トライスター”としての力を持つ“複製体達”から齎される事と成った猛攻は
エリシアさんへの援護は疎か、状況に適した固有魔導を探す暇すら与えぬ程
激しく、的確に俺達を襲い続けた……そして。
その、複製元と違わぬ“二つの固有魔導”を用いた厭らしい戦い方は
此処まで皆を強化し、護り続けて居た“暴食之豚”をも
容易く“使い果たして”しまって――>
………
……
…
「おや? ……おやおやぁ?
皆様……何だか急激に“弱く”なりましたねぇ?
正直、現状の私からすればゴミ以下の“複製体”では
時間稼ぎにすら成らないのではと見積もって居たのですが
どうやら……少々、皆様の事を高く見積もり過ぎて居た様ですねぇ?
いやはや……私は少々警戒し過ぎだったのかも知れません
まさか“たった一体倒すのが精一杯”な程とは。
実に……無様ですよ? 貴方達は」
<――この瞬間
敢えて複製体に“戦闘停止”を命じ
この場に居る俺達全員に聞き取れる様、嘲笑してみせたライドウ。
そして……その眼前に倒れた自らの複製体を
汚物を見る様な目で睨み“消滅”させると――>
「とは言え……見た目が“全く同じ”ですから
倒れた姿は少しばかり不愉快さを感じますねぇ?
これなら“仮面”でも付けさせて居れば良かったかも知れません。
まぁ……その場合
貴方達が浮かべる“絶望の表情”を見る事も出来なかったのでしょうがねぇ? 」
<――そう言って更に俺達を嘲笑ったのだった。
だが、そんな中……此処まで一切の援護無く
“複製元”と戦って居たエリシアさんは
その満身創痍の体に鞭を打つかの様に立ち上がり――>
………
……
…
「……昔からアンタはそうだった。
自分より下の存在を作って、どうにかして
その相手を“踏み付ける様な”行動を取る事でしか
自分の存在意義を示せないつまらない人間だった。
でも……それでも、師匠がアンタを必死に導こうとしてたから
私はアンタを“弟弟子”として認めてたんだ。
……だけど、それは全て間違いだった。
アンタは終ぞ馬鹿な考えから抜け出せず……ううん、違う。
……馬鹿な考えから抜け出し、成長する努力すらしようともせず
愛情を受け取る事は勿論……与える事もしなかった。
ライドウ……アンタがこの世界を滅ぼす為
何を完成させようとしているのかは知らない。
けど……たとえこの場でアンタが私達全員を倒して
アンタが思う“楽園”を作り出す事が出来たとしても
アンタがその馬鹿な考え方を顧みない限り、アンタは必ず
その“楽園”にも何らかの不満を持って、折角得たその楽園すら
自らの手で破壊し尽くすんだ。
……他者を何一つとして受け入れず、認めようともしないアンタには
“楽園”なんて絶対に手に入らないっ!!! 」
<――それが
たとえ、どれ程不利な状況であろうとも決して折れず
唯ひたすらに……愚直なまでの真っ直ぐさで
自らの信じる道のままに進むエリシアさんの信念の言葉は……
……この直後
ライドウの逆鱗に触れた――>
………
……
…
「……チッ。
お前達、行きなさい――」
<――瞬間
“複製元”の命令に依りエリシアさんへと一直線に迫った二体の複製体は
エリシアさんの体にしがみつくと、自らに“石化の魔導”を掛け
その身体を“枷”とした。
そして――>
………
……
…
「――さようなら、姉弟子様」
………
……
…
<――嘲笑う様な笑みを浮かべたまま
エリシアさんの元へと差し迫ったライドウ。
それを阻止しようと動いた俺達の動きなど“想定済み”とばかりに
奴が“目眩まし”の如く発した火の魔導に依って
極僅かに反応が遅れてしまったこの瞬間……
……再び俺の目に写ったエリシアさんは、足掻く事もせず
唯静かにライドウの目を見据えて居た。
そして俺は……そんなエリシアさんの事を
護り切れなかった――>
===第二〇七話・終===




