第二〇三話「生きるのは楽ですか? 」
《――ライドウに依り、その生涯を閉じた主人公。
彼は……見下げれば目の当たりにする事と成る
現世の耐え難き姿に、全てを諦めた様な態度を取った。
だが、そんな彼に対し――
“……もし、そう出来るだけの圧倒的な力が得られたならば
君は、捨てようとした全てを拾い上げてくれるかい? ”
――そう問うたヴィンセント。
直後、この質問に酷く不満げな表情を浮かべた主人公は――》
………
……
…
「……そんな分かり切った質問しないで下さい。
そもそも、こんな幽世で――
“十人居たら十人が肯定する様な”
――そんな無意味な質問をして何の意味があるんです?
それに、俺が今この場で“はい”と答えたら何が変わると言うんです? 」
《――そう訊ねた。
だが……ヴィンセントは
そんな不信感すら感じさせる主人公の眼差しから
決して目を逸らさず、尚も彼の目を真っ直ぐに見つめ――》
「……お願いだから真剣に答えてくれ。
本当に何も意味が無いのなら、僕もわざわざこんな質問をしたりはしない。
無論、聞かずとも君の覚悟や考え方は勿論
強さも弱さもそれなりに知っているつもりだが
君の口から聞いておかなければ、僕も覚悟が出来ないんだ。
だから……頼む。
真っ直ぐに正直に……僕の質問に答えて欲しい」
《――そう言って深々と頭を下げた。
この場に暫しの静寂が流れ――》
………
……
…
「……頭を上げて下さいヴィンセントさん。
俺に、もしもライドウを倒せる……いいえ。
大切な全てを護り通せるだけの圧倒的な力があったなら
大切だと分かっていながらも捨てようとしてしまった大切な存在を
全て拾い上げ、生涯に渡って護り通します。
俺自身を形成する全てをかなぐり捨ててでも
俺の心が“そうしたい”と言う全てを……護り通します」
《――この瞬間
静かに……だが、力強く答えた主人公。
直後、そんな主人公の決意を受けたヴィンセントは
一度、大きく息を吐き――》
………
……
…
「……安心したよ、主人公君。
僕が想像していた以上の答えを返してくれた事にも
僕が想像していた以上の強さと優しさを持っている事にも。
これで……僕は安心して君に全てを託せるよ。
主人公君……僕は今日、君に“ある力”を受け継いで貰おうと考えている。
だが、その力を君に譲ってしまえば……僕は、こうやって君と話したり
エリシアの事を見守る事すら、二度と出来なくなってしまうかも知れない。
無論、こんな話を聞いた後でする“お願い”なんて
心優しい君は嫌がるかも知れない……だが、それでも
僕の最大であり、最期となるかも知れない“お願い”を
どうか、聞き入れて欲しい……」
《――そう言った。
だが、言うまでも無く
この“含み”を持った発言に違和感を感じた主人公は――
“俺に託す、力を受け継がせるって……一体何をするつもりなんですか? ”
――そう訊ねた。
すると、そんな主人公に対しある“口伝”を口にしたヴィンセント。
それは……エリシアの師である彼の師よりも
更に何代も前から脈々と受け継がれた物だった様で――》
………
……
…
「……“精霊女王”と旅をして、精霊女王達に様々な協力をさせた君ならば
恐らく、一度は――
“特別にして特異な生まれの者
生死の境を彷徨いし時、精霊の加護が宿る。
精霊の加護宿りし後、失われし者の声に耳を傾ける事叶えば
厄災を祓い、生と死の狭間を歩き
生者と死者を……そして、世界をも救う事叶うだろう”
――と言う、口伝を彼女達から聞かされた事が有るだろう。
だが、この口伝には僕の師匠の更に何代も前から受け継がれた
ある“伝説”が続きとして伝えられている。
そして今日……僕は無謀にも、その“伝説”を実現させようと考えているんだ。
だが正直、それを行う事が怖くてね……そう言った意味でも
君の覚悟を、君の口から確りと聞いて置きたかったんだ。
……“実在した”と言う話も聞いた事が無く
そもそもこれが本当の事なのか……それとも、受け継がれていく内に
大げさに“神格化”されてしまっただけの物なのかは分からない。
それでも……これを試さず
この場で心を腐らせる事だけは何としても避けなければ成らない。
とは言え、何れにせよ“絶対”と言える方法では無い事
そして、分からないと言う恐怖が故に
“前置き”がとんでも無く長くなってしまった事を謝らせて欲しい。
色々と不甲斐無くて、本当にすまない……」
「大丈夫です……俺なんかと一緒にしたらお嫌かも知れませんが
俺も、この世界に来る前から色んな事を“怖がり続けて”ましたから。
恐怖で口数が増えたり、逆に少なくなったり……その
上手くは言えないですけど……
……そう言う気持ちは痛い程分かりますから」
「やはり君は優しいね……気を遣ってくれて有難う。
それで……“伝説”についてだが
何も僕は向こう見ずに“伝説を盲信”して居る訳では無いんだ。
……数多くの不安を感じつつも、僕がこの伝説を
“実現出来るかも知れない”と考えた理由は大きく分けて二つ。
一つ目は、主人公君……君が“特異な生まれの者”である事。
そして二つ目、伝説と呼ばれる力の名が――
“星之光”
――と呼ばれる物だからだ」
「ス、星之光? ……って!? ライドウの職業欄には確か……」
「ああ……“星屑”と書いてあったのだろう?
それは僕も知っている。
……少し前、アルバートと呼ばれる転生者から
呪具に依ってその力を奪い、更に“星屑”成る為の儀式として
何名かのトライスターを手に掛けた結果、無理矢理に得た力である事も
その“星屑”が、歴史上幾度と無く発生し
忌み嫌われる存在であり続けた事も良く知っている。
だが、安心して欲しい……そんな呪いにも等しい力とは全く以て違う
星之光の伝説は、その名の通りもっと“輝かしい”物だ――
“星之光……その力は、生と死をも超越した光を放つ者なり。
他の追随を決して許さぬ圧倒的な力……だが
その力を得る為には奪わず、託されねば成らない”
――分かるかい? 無理矢理に奪う事で力を得る
自らの我欲に塗れた、蔑まれるべき存在“星屑”との圧倒的な違いが。
そして……もう分かっただろう?
僕が今、君に託そうとしている物が何なのかも……」
《――直後
ヴィンセントの言わんとする事の意味を理解し
そして……全力でこれを“拒否”した主人公。
無論“拒否”した訳はヴィンセントにも充分伝わっていた
だが……そんな主人公に対し
ヴィンセントは――》
「……分かった。
ならば僕の“独り言”を、いや……“愚痴”を聞いて欲しい」
《――そう言った。
直後、静かに頷いた主人公に対し――》
………
……
…
「……言うまでも無い事だと言われそうだが
現世での僕の考えと選択は、終ぞ“甘過ぎた”んだ。
それでも、何時も何とか成って居たのは
心優しいエリシアが補佐をしてくれたり、悪い言い方をすれば
“尻拭い”してくれて居たからこそ、どうにか
“師”としての体裁を保てて居た様な物だと思える程に。
だが、考えれば……そんな僕の“甘さ”こそが
彼女とこの世界を傷付けてしまったんだ――
“荒んだ環境が故に歪んだのならば
愛を持って接し、優しさを受け入れる事……そして
優しさを与える事を教える事が出来れば、必ず良い方向へと導く事が出来る”
――そんな甘過ぎる考えに依って
僕は……凄まじい力を持ち、同時に
凄まじい不安定さをも醸し出して居た彼を“弟子”として迎えた。
だが、今考えればあの日から世界の崩壊は始まって居たのだろう……
……僕の弟子だった僅かな時間の中で、彼は汎ゆる存在を傷付け続けた。
そして……その末に暴走を始めた彼を止める為
僕は、この命と引き換えに……決して抜け出せる筈の無い
あの“空間”へと彼を封じ込めた……だが。
彼は、僕にも分からない方法でこの世界に舞い戻った。
今も尚、僕の固有魔導は“彼を封じている筈”なのにも関わらず……
……尚も世界を傷つけ、多くの犠牲者を生み出し
“人工トライスター”とでも呼ぶべき力を得たかと思えば
“星屑”と成り果て、世界を再び崩壊に導こうとしている。
だが……それでも僕は
“こうなる事が分かって居たなら”などと言い訳の様な事は言わない。
僕自身が一番分かって居るんだ……彼を正せると“自惚れた”あの日
彼の危うさから必死に目を背けた僕のその“選択”こそが
この世界を崩壊へと導いた最大の原因だと……そして、この場所で
大切な者達の苦しむ様子を見せられ続け、心を壊され続ける事さえも
全ては“僕の誤った選択への責め苦なのだ”と諦め
この幽世で“踏み潰され、消え去るまで”耐え続けねば成らない事も
全ては仕方の無い事だと分かっている。
だが……それでも、僕には一つだけ我慢の出来ない事がある。
……僕一人が苦しむだけならば幾らでも耐えられる、だが
君までもが僕と同じ様に此処で苦しみ続けなければ成らない事が
どうしようも無く受け入れ難い。
もし仮に僕が“力を託したい”とだけ言って、考え得る不利益を口にしなければ
君は“受け入れてくれたのかも知れない”と、酷くズルい事を考えてしまう程に。
そして……どうにかして君の中のその優しさに、ほんの一瞬だけでも
蓋が出来ない物かと、必死にその方法を考えてしまう程に。
主人公君……此処まで聞けば分かっただろう?
僕は、君やエリシアが思ってくれる程“優しくて出来た人間”では無い事を。
……半ば嫌味の様に君の発した言葉に準え
君の良心や……そうで無くとも、君が僕からの力の譲渡を受け入れる様
その琴線に触れる為、必死に卑怯な論法で
君を責めるかの様に話し続ける僕は……酷く身勝手で、最低の人間だ。
自分自身の間違いを正す為……エリシアだけで無く
君にまでその“尻拭い”をさせようとする
最低な“僕”と言う人間の事が……」
《――永きに渡りこの幽世に縛られ続けていたヴィンセント。
そんな彼の必死の“愚痴”は――》
………
……
…
「……いや~知りませんでした。
この幽世に長く居ると、ヴィンセントさんみたいに優しい人でも
嫌味っぽくなり、鬱憤が溜まり続けるとは……
……てか、余りにも長い愚痴を聞いてた所為か
此方まで鬱憤が溜まり始めましたから。
これは、何らかの方法で発散しないと駄目な奴ですね」
《――酷く不満げな表情を浮かべた主人公に依ってそう表現された。
直後、そんな主人公に対して必死に謝ったヴィンセントだったが
それでも尚、ヴィンセントに対し苦情を伝え続けた主人公は――》
………
……
…
「……いえいえ、謝って欲しいとは言ってませんよ?
寧ろ、軽く話した程度で俺にまで鬱憤を溜めてしまう程
ずっとこの場所で苦しみ続けてたヴィンセントさんの立場を思えば
この場所で“ウジウジ”し続けてたら駄目だって
嫌と言う程分かってしまった……って言うのと同時に
何だか――
“異世界転生って楽勝じゃ無いなぁ~っ”
――って思っただけです。
そもそも、怖いって言いながらも必死に提案して下さった
ヴィンセントさんの“お願い”を完全に断って置きながら
今更――
“前言撤回しますッ! ”
――とは言い辛いなぁ~って思ってるんですけど
“お願い、やっぱり受け入れます”って言ったら……怒ります? 」
《――決意に満ちた笑みを浮かべそう言った。
この直後……そんな主人公の“再選択”に驚き
喜びの声を上げたヴィンセントは、直ぐに“譲渡”の準備を始めた。
だが、そんなヴィンセントの様子に――》
………
……
…
「い、いやその……受け入れますし、下の状況的に
急がないと駄目なのも分かりますけど……その、余り急がれると
俺の“心の準備”が出来ないと言いますか……」
《――と、少々及び腰な発言をした主人公。
だが、そんな彼に対し――》
「大丈夫さ、怖いのは最初だけだから……」
《――そう告げ
不敵な笑みを浮かべたヴィンセントに――》
「い……いやいやいやッ!!!
なんでそんな“ヤバイ物に手を出させる誘い文句”みたいな言い方をッ!
って、兎も角ッ!! ……“力の譲渡”って言っても、何をするんです?
そもそも、この“霊魂”でそれを行ったとして
ちゃんと意味があるのかすら分かりませんし、正直な事を言えば
現世の俺の身体の“状況”を見る限り……」
《――酷く損傷した自らのを亡骸を見つめつつ
静かにそう言い掛けた主人公。
だが、ヴィンセントはとても冷静で――》
「“安心して、絶対に大丈夫だ”……とは言わない。
だが、伝説が本当に実現可能な物ならば
汎ゆる意味で、君は“生と死を超越出来る”筈だ」
「そ、そんな無責任な……」
「……主人公君、不安なのは僕も一緒だ。
だが、どれほど不安でも確定の話は出来ない。
そもそも“星之光は文字通り“伝説の存在”なのだから。
兎に角、怯えていても仕方が無い……それよりも主人公君
儀式を行う前に、君に頼んで置きたい事が幾つか有るんだ。
儀式が成功したとして……君に全てを託した瞬間
僕が“消える”としたなら……二度と話す事が出来なく成るかも知れない。
だから今、出来る限りを伝えて置きたいんだ……良いだろうか? 」
《――直後
静かに頷いた主人公に対し――》
………
……
…
「……エリシアの師匠として、彼女を護りきれなかった事
そして、終ぞ彼を正しい道に導けなかった失敗とその尻拭いを
無責任極まりない限りだが……君に、託してしまう勝手を許して欲しい。
だが……お世辞でも何でも無く、君になら
僕に出来なかった汎ゆる全てが成せると信じている。
主人公君……もしもエリシアが悲しんで居たならば
手を差し伸べたり、傍で見守って居て欲しい。
それと、我が“親友”の弟子であり
今や最高の職人でもあるガンダルフ君が
何かを思い出した様な悲しい目をしていたなら――
“師は君を誇りに思い、何時も僕に自慢していた
何一つとして悔いる事など無い、君は自慢の弟子なのだから”
――そう伝えてやって欲しい。
それから……あのラウドが、大国を纏める長と成った事に
僕がとても驚いた事を……“ついで”があれば本人に伝えてやって欲しい。
そして……主人公君。
君と言う心優しき存在が……これから先
汎ゆる困難に打ち勝つ力を得られる様……願っている。
長々とすまない……僕が伝えて欲しい事
そして、君に伝えたかった事はこれで全てだ」
《――全てを託す為、考え得る全てを伝えたヴィンセント。
そんな彼に対し――
“必ず伝えます”
――と真っ直ぐに応えた主人公の姿に
暖かな眼差しを向けた彼は……この直後
力の譲渡とその儀式の為、主人公に対し“人差し指”を差し向けた。
だが――》
………
……
…
「な……何をしているんだい? 主人公君」
《――直後
彼の指先に自らの指先で触れた主人公に対し
訝しんだ様な表情を浮かべつつそう言ったヴィンセント。
そして――
“え? 違うんですか? ”
――と、恥ずかしそうに訊ねた主人公に対し
ヴィンセントは――》
「い……いや、説明してなかった僕が悪い。
先ず、この儀式は……僕が差し出した指を、君が“握る”事で始まる。
そして、僕が――
“信頼し、全てを託し、貴方の一部と成ろう”
――そう唱えるから
君はそれに対し――
“受け入れ、託され、貴方の器と成ろう”
――そう、言うんだ」
《――説明を終え
再び、人差し指を主人公に差し向けたヴィンセント。
この後……一度深呼吸をした主人公は、意を決した様に
ヴィンセントの指を“掴んだ”――》
………
……
…
「信頼し、全てを託し、貴方の一部と成ろう……」
「……受け入れ、託され、貴方の器と成ろう」
………
……
…
「……って、あれ? 何も起きないんですけど
これってもしかして、失敗って事じゃ……」
《――儀式直後
そう不安げに言った主人公と同じく……自らは勿論
主人公にもそれらしい変化が無いこの状況に
密かに慌てていたヴィンセント。
だが……この瞬間
彼らにも想定外の“ある変化”が起きていて――》
「なっ?! お、俺の身体がッ!! ……」
《――現世を指差し、慌てた様子でそう言った主人公。
その視線の先では……亡骸と成った主人公の身体が
足先から急激に“消え”始めて居て――》
「い、一体何故あんな事に……って?!
し、主人公君!! ……君の足が消え掛けて居るじゃないか!? 」
「だからそう言ってるじゃ無いですかッ!!
って……何だか
目線の方向が“違う”様……な゛ッ?! 」
《――直後
まるで現世と“同期”するかの様に急激に消え去り始めた主人公の霊体
だが、彼らにはその流れを止める事は出来ず――》
………
……
…
「……そ、そう言えば友がこの幽世を去った時も
今みたいな状況だった様な……」
「ちょ?! それってつまりは天国か地獄に飛ばされ……って!?
もう半分以上消えてるッ?! ……う、うわぁぁぁぁぁぁぁッッ!! 」
「し、主人公君っ!! ……」
………
……
…
<――この瞬間
“生き返る”とか“皆を護る為の力を手に入れる”だとか
そんな事を考える余裕も無く……唯
この異質な状況に怯え思わず目を閉じてしまった俺。
とは言え“身体が消えて行く”のなら、瞼すらも“消える”訳で
そうなってくると、この行動って意味が無いんじゃ? ……などと
馬鹿みたいに冷静な考えが頭を過った事を思えば
まだ少しは余裕が有ったのだろうか?
兎に角……ヴィンセントさんの声が聞こえなくなったこの瞬間
俺は、有るのか無いのかすら分からない“瞼”を開いた――>
………
……
…
「こ、此処は……これはッ! 」
<――直後
俺の目に映った物、それは――
“二つ並んだお墓と、その間に咲き誇っている桜の木”
――だった。
間違い無い、此処は“敵意の無い魔族達の集落”だ。
驚いて居る暇も喜んで居る暇も無い……今は一刻も早く
辺り一帯を覆っている炎を消し去らねば。
そして……一刻も早く
悍ましいまでの悲鳴を上げ続けている仲間達を救わねば――>
「皆、今助けるからなッ!! ……」
<――直後
燃え盛る森の中を必死に進んだ俺……だが、何故かは知らないが
不思議と何時もより身体が軽いし
炎の境目を縫う様にスルスルと通り抜けられた。
不思議だ……熱さは勿論、息が上がる感覚さえも感じない。
これが俺の得た力なのか? ……
……この後、あっと言う間に皆の元へと辿り着いた俺は
皆の額に深く根差した“呪具”を取り去る方法を考えて居た。
だが、そもそも……冷静に考え続けられる程
眼前の状況は穏やかな物では無くて――>
………
……
…
「くッ……一か八かだ。
呪具を引き剥がせれば皆を助けられるかも知れないなら
無理矢理にでも剥がせば或いは……ッ!! 」
<――直後
エリシアさんの額に根差した呪具を引き剥がそうと
勢い良く、手を伸ばした
瞬間――>
………
……
…
「う、嘘だろ……? 」
<――俺の手は
呪具は疎か、エリシアさんの顔すらもすり抜けた――>
===第二〇三話・終===




