第二〇〇話「苦楽を“常に”共にすると言う事……前編」
<――万が一を考え、失う恐怖に怯えながら
それでも仲間の同行を受け入れた俺は
尚も酷くなり続ける胸騒ぎを抑えつつ、必死に冷静であろうとしていた――>
………
……
…
「……念の為、皆に防衛魔導を掛けて置きたいんだ。
だから、その……絶対に置いていったりしないって誓うから
皆、一度だけで良いんだ……手を離してくれないか? 」
<――直後
皆がこの要求を受け入れ手を離してくれた瞬間
“単騎特攻”を実行出来たかも知れない……だが
どれ程胸騒ぎが酷くなり続けたとしても
俺にはそうする事が適切とはどうしても思えなかった。
それは……もし、此処で皆を眠らせたとしても
捕縛で皆の自由を奪い、此処に縛り付けたとしても……
……皆は、俺がどんな手を使おうとも
必ず追いかけてくる様な気がしたから――>
………
……
…
「……皆、今考え付く限りで最上級の防衛魔導では有るけど
それでも“無いよりはマシ”って程度に思ってくれ。
それから……ラウドさん、俺達が出発してから一〇分後
もし俺達から何の連絡も無かったら、その時は……
……チビコーンの森を“消し去って”下さい」
<――“念の為”と言うには少々荒々しい俺の注文に対し
ラウドさんは静かに頷いた。
そして――>
「……うむ、準備は整えて置こう。
じゃが、そう成らぬ様祈っておる……言うまでも無く御主ら全員の無事もじゃ。
良いな? くれぐれも注意を怠ってはいかんぞぃ? 」
「はい、肝に銘じておきます……皆、準備は良いか? 」
<――直後
力強く返事を返した皆を連れ、俺は
胸騒ぎの原因である“チビコーンの森”の入り口へと転移した――>
………
……
…
「この場所から見る限り異常は無い様だ……だが、警戒を怠らず進むぞ」
<――転移直後、周囲を見回しそう言ったガルド。
そんなガルドに対し――>
「確かに何時もと変わらない様には思うけど
念には念を入れといた方が良いかもね……」
<――僅かにひりついた空気を漂わせそう言ったエリシアさん。
……この後、エリシアさんの希望により
少し前、用意した“簡易住居”を目指す事と成った俺達……だが
現在進行系で俺自身が感じて居る胸騒ぎとは反対に
周囲の状況は不思議な程“平和そのもの”だった。
林道を進む俺達の直ぐ側で、花に止まり蜜を吸う蝶や
此方の存在に気付きつつも、安心した様子で毛づくろいする
兎の姿……本来、災害を始めとする危機の前触れには
人間では気付けない程の些細な変化にいち早く気付いた野生の昆虫や動物が
僅かにでも普段とは異なる行動を取る筈であり、そう言う意味で言えば
今回の俺の“胸騒ぎレーダー”は間違っている様な気がし始めていた。
とは言え、勿論そんな物は外れてくれた方が良いのだが
この余りにも平和過ぎる周囲の状況に些か拍子抜けして居た俺は――>
「おかしいなぁ……っと、そろそろ約束の一〇分が経ちそうですし
一度ラウドさんに連絡を入れておきますね……」
<――と、自らの胸騒ぎが空回りに終わった事に首を傾げつつ
出発前の約束通り、ラウドさんに連絡を入れようとしていた。
だが、この時――>
「待って! ……今、何か変な音がしなかった?
ってほらッ! また同じ音よ! ……」
<――突如として立ち止まりそう言ったマリーン。
この直後、魔導障壁を二重に展開し
周囲への警戒を強めた俺に対し――>
「い、今の“声”はッ!? ……もしそうなら歩いてたら間に合わないッ!
主人公っちッ! 何も考えず、私達毎“小屋の中”に飛んでッ!! 」
<――この瞬間
何かに気付き、急激に表情を曇らせそう叫んだエリシアさん。
……直後
ラウドさんとの通信を打ち切り、慌てて“簡易住居”に転移した俺達は
これまで目にして居た平和な森の姿が全くの虚構とすら思える程の“光景”に
圧倒される事と成った――>
………
……
…
「な、何だよ……これ……」
<――この瞬間、思わずそう言葉を漏らしてしまった“理由”
それは……
……閉め切られた“簡易住居”の中にまで漂ってくる“腐臭”と共に
窓越しの俺達の目に映った見覚えのある“悪鬼”の大群と
そんな絶望的な状況の中にありながらも必死に戦って居た
一匹の幼き“神獣”の姿だった――>
「確かに、凄い状況です……けど、私達は絶対に負けませんし
彼処で頑張っている“チビコーンちゃん”を助ける為なら
幾らでも頑張れるって思えませんか? ……
……と言うか、少なくとも私はそう思ってます。
なので……主人公さんは“平和”から“危機”に頭を切り替えて
エリシアさんは大船に乗った気持ちで安心してて下さい。
って事なので、先ずは……うおりゃぁぁぁぁぁっ!!! 」
<――言うや否や
扉を勢い良く開き、悪鬼の大群目掛け作戦の一つも立てずに突撃したマリア。
直後、そんな彼女に“触発”されたのか――>
「流石はマリアさんね……私も負けてられないわね。
マリアさん! 左側は任せてッ! ――」
<――腰に下げた小太刀を勢い良く抜刀しつつそう言うと
直後、此方の存在に気付いた悪鬼共を惹きつけつつ
敵集団の左側へと一直線に走ったマリーン。
そして――>
「……メル、御主の治癒が“一角獣”に役立つやも知れん。
二人の切り開いた道は堅い、吾輩があの場所までの敵を斬り伏せ
御主の護衛を受け持つ、御主は一角獣の治癒を……行けるか? 」
「はいっ! ……」
<――直後
切り開かれた道の先、尚も襲い来る悪鬼の大群を相手取り
懸命に戦い続けて居たチビコーンを救う為、マリア達に依って開けられた
敵集団の僅かな隙間を縫う様に走り抜けた二人。
そして……この瞬間、復活祭に必要な
“魔物の核採集時の一件”を思い出させる様な動きをした皆の事を護る為
急ぎ、エリシアさんと共に魔導攻撃に依る援護を始めた俺は――>
「ん? 悪鬼共の中に“青い個体”が混じってるな……」
<――“色の異なる個体”が居る事に気付き
皆の援護をする傍ら能力値を調べ、青い個体の名称が“邪鬼”である事
少なくとも“悪鬼”と比べ数倍の能力を有している事を知った。
そして――>
………
……
…
「特殊能力:物理的な攻撃を“完全”無効化? ……って?!
不味いッ! エリシアさんッ!! ……」
「分かってるッ!! 連撃之稲妻ッッ!! ……」
<――特殊能力の欄に記されていた
物理的な攻撃を主とするマリアやガルドに取っては何よりも危険な能力――
“物理攻撃完全無効化”
――この瞬間、大慌てで“邪鬼”の排除を優先した俺は
エリシアさんと共に必死でその数を減らそうと努力していた。
だが――>
「妙だよ主人公っち……悪鬼も邪鬼も明らかにさっきより増えてる
何かが可怪しい……チビコーン……急がないと……ッ!! 」
<――事態解決の糸口が見えない状況の中
文字通り、何処からか“湧いて出ている”かの様に増加した悪鬼共に違和感を感じ
不安げにそう言ったエリシアさんは、頻りにチビコーンの姿を確認しては
今にも持ち場を離れそうな素振りを見せ始めて居た。
だが――>
………
……
…
「大丈夫、落ち着いて下さいエリシアさん……俺に良い考えがあります。
……チビコーンの事はちゃんと護りますから
俺が合図したら……チビコーンを含め、皆に“しゃがむ様に”伝えて下さい」
<――そんなエリシアさんを“暴走”させない為
そして、大切な仲間を全員護り抜く為……この瞬間
余りにもデタラメな作戦を思いつき、それを実行に移そうとした俺。
この時、エリシアさんにその真意が伝わっていたのかは謎だったが――>
「分かった……何時でも良いよ」
<――眼前の状況から来る不安の中
ほんの一瞬だが真っ直ぐに俺を見つめそう言ったエリシアさん。
この直後、俺は……どの時よりも真剣に
どの時よりも狙いを定め……そして
どの時よりも、皆の事を“想い”ながら――>
………
……
…
「……土の魔導。
花よ、咲き狂えッ!! “狂華乱舞ッッ!!! ”……」
<――最も“不安”であり
最も“安心”な技を発動させ……そして。
全ての敵を、殲滅した――>
………
……
…
「チビコーン……大丈夫だから。
私が直ぐに薬草で治療してあげるからね……」
<――直後
傷付いたチビコーンの元へと走り寄るや否や
鞄から薬草を取り出し、傷口に優しくあてがい
自らに弱々しく頬擦りをするチビコーンの事を優しく撫でたエリシアさん。
……そんな姿に胸を撫で下ろす皆の姿を見れば
俺の“賭けに等しい作戦”は間違っていなかったと思えた。
ともあれ……そんな微笑ましくも思える二人の邪魔をしない為
この瞬間、僅かに距離を取り現状報告の為ラウドさんへ連絡を入れた俺は
通信終了後、エリシアさんとチビコーンに対し――
“改めて狂華乱舞を発動させ、腐敗した周囲の森の治癒を促し
例え僅かでもチビコーンの治療に役立てるのはどうか”
――そう訊ねる為、皆の元へ戻ろうとして居た。
だが――>
………
……
…
「おや? ……皆様の内のどなたが“獣並みの嗅覚”をお持ちなのです?
まぁ……何と無くですが“薬草採集”などと言う“泥臭いご趣味”をお持ちな
“姉弟子様”がその“張本人”ではと思っておりますがね? 」
<――何処からとも無く
現れるや否や、そう言ってエリシアさんを嘲笑った“男”――>
「ライドウッッ!! ……お前が……お前がッ!! ……」
「おや、会話すらまともに出来ない程お怒りとは……姉弟子様?
私は只“不用品”を処分しているに過ぎません。
“狂鬼”が大量に増やせる様になった今
“悪鬼”や“邪鬼”は場所を取るだけの不必要な者達で……」
「ふざけるなッ! お前がそんな理由だけでこんな状況を作り出す訳が……」
「おや……姉弟子様は少々私の事を買いかぶり過ぎの様です。
まぁ、どうでも良いのですが……
……そんな事より、注目すべきは“一角獣です。
何がどうなって再び生まれ出たのかは知りませんが……何れにせよ
一角獣は捨てる所の無い“最高の素材”です。
ですので……申し訳ありませんが
その“一角獣”は、直ちにお譲り頂きましょう――」
<――直後
俺達の眼前から消えたライドウは
“チビコーンの真横に”現れ――>
………
……
…
「――はい。
これで、この一角獣は私の物と成りました」
<――過去
モナークから俺に流れ込んだ数多くの記憶。
中でも、此奴との記憶にあった悍ましい記憶と
その中に見られたある特殊な呪具の存在は、俺の脳内に
今も色濃く残って居る――
“隷従之鎖”
――この瞬間
奴はその悍ましい呪具をチビコーンの首に掛けつつそう言った。
この呪具が持つ効果は
“一角獣から全ての抵抗力を奪う”事だった――>
………
……
…
「チビコーンッ!!! ……」
<――叫ぶや否や
ライドウへ向け渾身の一撃を放ったエリシアさん……だが
その攻撃は容易く躱され……直後
彼女はライドウの固有魔導“時之狭間”の餌食と成った――>
「しかし、本当に“お弱い”ですねぇ姉弟子様は……さて皆様
一歩でも動けば姉弟子様の命はありませんよ? ……」
<――そう告げた直後
俺達に向け余裕の笑みを差し向け――>
「……少なくとも、姉弟子様よりは利口な様ですね。
さてと……どうかそのままお動きに成られない様お願い申し上げますよ?
私はこれから、のんびりと“材料”を手に入れ……」
<――そう言い掛けた
瞬間――>
「キュルルゥゥゥ!!! 」
「何っ?! ……」
………
……
…
<――周囲に轟いた幼くも激しい嘶き
それは……この直後、その首から外れ落ちた“隷従之鎖”を踏み壊し
ライドウに鋭い一撃を叩き込むと、そのままエリシアさんを庇う様に立った
“チビコーン”から発せられた物だった――>
………
……
…
「キュルゥ! キュルゥゥゥ……」
<――“時之狭間”の効果に依り
完全に停止してしまったエリシアさんの身体を必死に鼻先で突きながら
そう弱々しく啼いたチビコーン……だが
その一方で――>
………
……
…
「……何故だ。
何故、貴様の様に未熟な一角獣風情が……何故っ!!
何故“隷従之鎖”を軽々と抜け出せたっ?!!! ……」
<――この時
チビコーンの放った鋭い一撃に依り脇腹に致命傷を負っていたライドウは
自らを庇う様に立った狂鬼共の肩を借りつつ怒りを顕にそう叫んだ。
……だが、その所為か固有魔導を維持する為の集中力を
僅かに“欠いた”――>
………
……
…
「……チビコーンはお利口さんだから
アンタみたいな馬鹿の手に掛からなかっただけ。
チビコーンは……私なんか比べ物にならない程、遥かに強くて
遥かに優しい最高の神獣なんだから……ね~っ! チビコーンっ♪ 」
<――直後
チビコーンと共に俺の真横へと転移して来たエリシアさんは
そう言って誇らしげにチビコーンの鬣を撫でた。
だが……この直後、チビコーンは激しく首を左右に振り
少し前エリシアさんに作って貰った
“花の首飾り”を指し示す様に前足を動かしながらそう嘶いた。
この不思議な行動に対し――>
「首飾りがどうかしたの? ……って。
まさか……“首飾りのお陰”って言ってくれてるの?! 」
<――そう訊ねたエリシアさんに応える様に
首を縦に振ったチビコーン。
一方、そんな二人のやり取りを見て居たライドウは――>
………
……
…
「ほう……青薔薇に柊とは
確かに、その首飾りには“破魔”と“神の加護”が付与されて居る様です。
しかし、よもやその程度の品に私の作った呪具の力が阻害されてしまうとは……
……ですが、図らずもその様な物を作り上げるとは
流石“泥臭い趣味”をお持ちの姉弟子様と言った所なのでしょう」
<――その余裕を感じさせる嫌味な言葉遣いとは裏腹に
僅かに苛立ちを感じさせる様な口振りでそう言った。
そして――>
「ともあれ……この怪我を見れば
攻撃能力の高さだけは流石神獣と言うべき物がありますねぇ?
並みの魔導師ならば既に息絶えて居た事でしょう……ですが。
姉弟子様は少しばかり、失念していらっしゃるのでは?
私の二つ目の固有魔導が、その神獣を
“打ち倒すだけの”力を持っている事を――」
「……ッ!?
チビコーンッ!! ――」
<――瞬間
“犠牲交換”を警戒し、チビコーンの前に立ち塞がったエリシアさん
だが――>
………
……
…
「か……はッ……」
「……いやはや。
見事なまでに“予想通りの行動”をお取りになりますねぇ……姉弟子様? 」
<――力無く
膝から崩れ落ち、血反吐を吐きながらも
自身を睨みつけるエリシアさんの事を嘲笑い……
……“通常攻撃”を放った左腕を静かに下ろしたライドウ。
そして――>
………
……
…
「さてと……この程度の怪我など普通に治癒しても良いのですが
折角ですから“お約束も”果たして置きましょうか。
一角獣と私を――
――“犠牲交換”」
<――そう唱えた。
直後、脇腹に傷を負いエリシアさんに寄り添う様に倒れたチビコーン
そして……その姿を嬉嬉とした表情で見つめつつ
固有魔導が持つ欠点に依って千切れ落ちた
自らの左腕を治癒しようとしたライドウ。
だが――>
………
……
…
「おや? ……治癒魔導が発動しないですねぇ?
って……ああ、確りと理解しました!
一角獣が瀕死と成ったこの森では、最早“治癒も出来ぬ”と言う訳ですか。
いやはや……少しばかり順序を間違えてしまった様ですね」
<――常人であれば激痛で藻掻き苦しむ状況の中
まるで“落とした物を拾うかの様に”自身の左腕を回収し
肩の傷口を火炎の魔導で“焼灼”しながら
薄気味悪く笑みを浮かべそう言ったライドウは、この直後――>
「……まぁ、直そうと思えば直ぐに直せる手段もあるのですが
この程度でも“ハンデ”が無ければ貴方達には勝ち目がありませんし
ちょっとした余興がてら“この状態で”戦っても構いませんよ?
因みに姉弟子様の事を“治療”したいのでしたらどうぞご自由に。
但し……この森では“不可能”な様ですがねぇ? 」
<――そう言って俺達の事を嘲笑ってみせた。
だが……無詠唱であれ何であれ、既に幾度と無く試し続けて居た
エリシアさんへの治癒魔導が一度として“発動しない”事を考えれば
本当にこの森ではエリシアさんを治せないのだろうし
エリシアさんの鞄に入った薬草や何かで応急処置をしようにも
そう言った知識が一切無い俺では応急処置すら出来ないし
そもそも此奴は“応急処置をするから少し待っててくれ”と頼み
“はい、そうですか”と素直に受け入れる様な相手では絶対に無い。
……尚も薄気味悪く笑みを浮かべつつ
此方の様子を伺って居る奴の姿に恐怖を覚えつつも
俺は、エリシアさんとチビコーンの治療……そして
不気味な程に余裕を持って立ち続けているライドウから
一刻も早く皆を遠ざける為の手段を考えていた。
だが……そんな“猶予”さえ得られない事を
俺はこの直後、痛い程に知る事と成った――>
………
……
…
「おやおや、何もせず“只黙り通す”とは……
……全く以て面白味がありませんねぇ?
まぁ、今の私に対し貴方達程度では相手にも成らない様ですし
このまま左腕に痛みを感じ続けるのも癪に障りますので
一先ずは――
――お前達。
私の為、その身を“糧”として差し出しなさい」
<――“不用品”と呼んだ悪鬼共に対しそう命じたライドウ。
直後、ゆっくりとライドウに近付いた悪鬼共は――
“ライドウ様……治ス糧……有難キ幸セ……”
――口々にそう言うと
ライドウの差し出した呪具へと自らの意志で吸い込まれて行った。
だが、この光景には“見覚え”がある……この“呪具”は
あの日、ガルベームが自らの配下に“そうさせた”のと
“全く同じ物”だ――>
………
……
…
「……さて、と。
これで私は元通りと成った訳ですが……その反面
私は今“今直ぐにでもこの場から逃げ去りたいであろう貴方達に”
何かを“お渡ししたい”衝動に駆られていましてねぇ……
……其処の貴方、確か主人公と言いましたか?
貴方の顔を見ていたら、何故か“魔王モナーク”の事を思い出しましてね
折角ですから……あの御方の言う“馬鹿の一つ覚え”を
貴方に進呈致しましょう――」
<――この瞬間
俺に向け不敵な笑みを浮かべつつそう言うと
懐から小さな箱を取り出し……それを“破壊”すると
自らの目の前に放り投げた。
瞬間――>
………
……
…
「ライドウ様……ご命令を、最大限の成果を貴方様に」
<――直後
破壊された箱より現れた“狂鬼の集団”は
ライドウに対し一斉にそう訊ね――>
………
……
…
「宜しい……ですが、命令は一つです。
奴らを“殺り”なさい……」
<――この瞬間
下された命令に従い、その尋常成らざる統率力と戦闘力を以て
俺の護るべき者達の命を奪わんと、一斉に差し迫った――>
===第二〇〇話・終===




