第百九三話「“言わぬが花”は……楽勝ですか? 」
<――突如として美女数人に押さえつけられ
無理やり口の中に……と、此処までならば
“ご褒美”とでも言うべき流れなのかも知れないが
現実はそんなに生易しく無かった。
……地獄の様な“苦味”と“えぐ味”にのたうち回り“味覚破壊”に死を覚悟し
女性陣の“悪代官討ち取ったりッ! ”みたいな表情に気付くと言う
そんな、ある意味で“いつも通り”に過ぎて行く日常の中で……俺は
去り際に彼女が残した言葉と、その口振りが気になって居た――
“万が一、我が身がこの国に再訪する事叶えば”
――それはまるで
“どれ程望もうとも決して訪れない日”であるかの様な言い草だった。
無論、彼女に“山程”手玉に取られ続けた事を忘れた訳では無いが
去り際、彼女から感じられた“雰囲気”には
無視出来ない何かが隠されている様に思えたのだ。
……“味覚破壊”に長々とのたうち回った後
やっとの思いで立ち上がった俺は
去り行く荷馬車を眺めつつ、そんな事を考えていた。
だが、そんな時……彼女を乗せた荷馬車は
突如として急激に政令国家へと進路を変え――>
………
……
…
「なっ……馬鹿な!?
御者は此方が用意した兵士の筈……まさか乗っ取られたかッ!?
ええぃ!! ……総員、迎撃準備ッ!! 」
<――カイエルさんの命令が周囲に響き渡った直後
慌ただしくなり始めた東門……だが、判らない。
あれ程素直に帰国を受け入れた彼女が
此程危険な方法で“特攻”を掛けて来る意味など在りはしない。
……そんな考えに至っていた俺の眼前では
尚も凄まじい勢いで此方に向かってくる荷馬車の姿と
迎撃陣形の構築を終えた東門防衛部隊の姿があった。
だが、この直後……窓から身を乗り出し
此方に向け無抵抗の構えを見せた彼女の行動に依って
俺の中の“違和感”は綺麗さっぱり消え失せ――>
………
……
…
「……こ、攻撃しちゃ駄目だッ!!
お願いです、少しだけお時間を下さいッ! ……責任は全部俺が取りますッ!
ですから、どうかッ! ……」
<――背後から聞こえる馬車馬の嘶きと車輪の軋む音
そして、収まらない胸騒ぎを必死に押し殺しつつ
そう説得を始めた俺に対し――>
「くッ! ……」
<――苦渋の決断と言わんばかりの表情を浮かべたカイエルさんは
この瞬間、強力な麻痺の魔導を差し向けた……だが、この直後
俺に到達する事無く“爆発四散”した麻痺の魔導。
直後、そう成った理由を直ぐに理解したのか
静かに――
“……何故だ? ”
――そう問い掛けて来たカイエルさんに対し
俺は――>
………
……
…
「カイエルさんが今、俺の事を――
“彼女に絆され、善悪の判断は元より
常識的感覚をも完全に喪失し、この国に仇なす可能性がある”
――そう判断した上で、出来る限り安全に
俺の事を無力化しようとして下さった事も……そして
その安全策が“爆発四散”した瞬間――
“コイツ、政令国家を裏切ってまであの女の為にッ?! ”
――とまで考えてしまったのでは無いかって事も
全部分かってるつもりです……でも、違うんですカイエルさん。
俺が無詠唱で展開して居たこの防壁は、万が一俺の“読み”が外れていた時
“如何なる犠牲をも厭わずこの国を護る”と言う俺の責務と
俺の“エゴ”を阻害されない為に展開していたんです。
俺の胸騒ぎが間違って居た時はカイエルさんの判断を尊重します。
だから……」
<――この時、何一つとして裏付けの無い
胸騒ぎと言う名の“唯の勘”を信じて貰おうとして居た俺は
敵味方の区別無く……内外の区別すらも無く
術者の範囲に入った全てを爆発四散させてしまう防衛魔導の一種であり
その危険性から“最悪の防壁”と呼ばれて居る――
“狂戦士之盾”
――と言う防壁を展開したまま、カイエルさんを説得しつつ
背後の荷馬車に対する対処を考えていた。
だが――>
………
……
…
「……既に私の放った魔導を“軽視”したと言う事実は兎も角
君がこの件で私を尊重する必要はもう無い。
何故ならば……荷馬車は既に“無害化している”のだから」
<――そう言って俺の背後に視線を移したカイエルさんは
この直後、東門防衛部隊に対し警戒態勢への移行を命じ
“停車した荷馬車”の様子を注視して居た。
だが……当然と言うべき“警戒心”を未だ感じられる
カイエルさんの様子を知ってか知らずか、俺が防壁を解除した瞬間
全てを投げ出すかの様な勢いで俺の元へと走り寄った彼女の
その無鉄砲過ぎる行動の所為で、カイエルさんの“危機管理能力”は
どうやら激しく“オン・オフ”を繰り返してしまったらしい。
と、言うのも……直後、彼女から縋る様に抱きつかれ
唯狼狽える事しか出来ず居た俺の背後で
頻りに――
“ガチャッ! ガチャガチャッ!! ……ガチャッ! ”
――と、いつ何時も尋常では無い程の“重装備”な
カイエルさんにしか出せない特徴的な音が発生して居たのだ。
この“特徴的な音”から察するに、カイエルさんは
頻りに武器を構えたり降ろしたりして居たのだろう。
だが……僅かな滑稽さと共に
僅かな安心感を与えてくれたこの音とは対照的に――>
………
……
…
「そ、その……“再訪が早過ぎ”とか
“状況的に色々と危ない所だったの分かってますか? ”とか
“何故いきなり熱い抱擁を? ”とか、お訊ねしたい事は山程あります。
ですが、そんな事よりも……ソーニャさん。
何故貴女はそんなにも……酷く怯えて居るのですか? 」
<――唯俺の事を“手玉に取る”だけなら
その“溢れ出る色気”を用いて艶かしく囁やけば良い。
だが、彼女の魅力的過ぎるその体は
弱々しく、今にも倒れかねない程に震えて居た。
……もしも今、彼女の事を振り解いてしまったら
彼女の全てが“崩れ去ってしまうかも知れない”と思わせる程に――>
………
……
…
「……頼む、今回限りで構わぬ。
残る民草を僅かでも受け入れて貰えると言うのならば
如何なる責め苦も負い、如何なる不平等条約をも飲むと誓おう。
頼む、どうかこの願いを受け入れて欲しい……」
<――唐突過ぎるその“懇願”は
俺の中の“異常な胸騒ぎ”をこれ以上無い程に増大させた。
……この直後、詳しい話を聞く為
彼女に対し何が起きたのかを訊ねた。
だが、彼女は静かに首を横に振り――>
「……我が身がこの場へと舞い戻った理由は一つじゃ。
我が国が“国家としての体”を崩壊させてしまうだけならば良い
元より、政令国家の為政者の様に利他的な者など我が国には一人として居らず
唯、夫の持つ圧倒な力に依って
その図体を維持していたに過ぎない歪なあの国と
その体制に縋る事しか出来ぬ利己的な者の集まりに過ぎぬのだから。
……じゃが、穢れを知らぬ純真無垢な者達も確かにあの国には居る
それは……何も知らぬ民草じゃ。
無論、我が身の要求は何もかも徹頭徹尾手前勝手であると理解しておる
じゃが、それでも御主にしか頼めん……後生じゃ……」
<――今、この瞬間
彼女の取った行動や発言を悪く捉えてしまえば
直接状況を見た訳でも無ければ、そもそも
正確かどうかも判らない本国からの連絡を信じ
取り乱しているに過ぎないと考える事も出来ただろう。
だが、この直後……何故かそうは思えず
彼女の発言の全てを受け入れかけて居た俺に対し――>
………
……
…
「主人公……君が
“荷馬車へ攻撃をさせなかった事”は正しいのかも知れない。
だが……お付きの者達から感じられる“悪辣な気”は
到底看過出来る様な物では無い。
……君が今どの様な事を考え、何をしようとして居るかなど
君の優しさに依って正しく扱われる様に成った
我々“異種族”からすれば火を見るよりも明らかだ。
だが、仮にその女に一切の“含み企み”が無くとも
お付きの者達から感じられる物と同様の“気”を
その女の母国に居る“為政者”共が持っていないとは思えん」
<――そう言って口火を切ったクレイン。
彼が彼女のお付き達を横目に見つつそう言った事を皮切りに
皆、口々に彼女やメッサーレルの危険性を訴え始め――>
「クレインの言う通りだ……主人公、考えても見ろ。
第一、これが“二段構えの罠”であったらどうするつもりだ?
御主を連れ帰り、何らかの策を講じ
御主を自国の戦力とする腹積もりやも知れんのだぞ? 」
<――無いとは言い切れない
オルガの“危惧”に続き――>
「そもそも、主人公さんって定期的に牢に入れられますし
定期的に――
“言う事を聞け、さも無くば……”
――みたいな感じで脅されてる気がしますし
元を正せば、その人は主人公さんの事を誘惑して
自分の思い通りに主人公さんを操ろうとして居た訳ですよね?
正直な所、最終日にちょっと“良い選択”をしたからと言って
その人の全部を信じちゃう主人公さんの脇の甘さはどうかと思いますよ?
……ま、主人公さんの優しさは素敵だと思いますけど? 」
<――マリアにもそう言われた後、この場に居る殆どの仲間から
“如何に危険で利点が無いのか”と言う事を
言葉を変え表現を変え念押しされ続けた俺。
……その間、彼女のお付きの者達は皆“苦虫を噛み潰した様な”表情を浮かべ
拳を握り締め……クレインの言った“悪辣な気”と言うべきか
“今にも暴れだしそうな者”さえ見られる様な状況に陥って居た。
そんな中――>
………
……
…
「成程、これが“当然の報い”と言う事か……」
<――そう発した直後、諦めた様な表情を浮かべ
その場にへたり込んでしまった彼女。
……確かに、皆の忠告を鑑みれば
彼女のこの行動や発言も“演技”と考えるべきなのだろう。
だが……それでも俺は
自分の読み違いとはどうしても思えなかった――
転生前、両親を失ったあの日……全てに嫌気が差し
人生を惰性で過ごし続けていたあの頃、窓に映って居た俺の“瞳”
たとえそれが、どれ程楽しい思い出であったとしても
話し終えた直後、ほんの一瞬垣間見えてしまうエリシアさんの“瞳”
――この瞬間
心に傷を負った者だけが醸し出すそんな“眼”を見せた彼女。
何度考え直しても、俺には彼女が“演技をしている”とは思えなくて――>
………
……
…
「なぁ、皆……俺は甘いし間違ってるかも知れない。
でも、何らかの方法を取ればメッサーレルの状況を確認する位出来るだろ?
だから、せめて……」
<――この時
必死に頼み込んで居た俺とは裏腹に、皆の判断は冷静だった。
“御主がそう言い出すのを狙い、しおらしくして居るに違いない! ”
そう言い放ったガンダルフに続き――>
「主人公……御主は“胸騒ぎがする”と言うが、吾輩には
自ら望んでその“原因”に突き進んでいる様に思えて成らんのだ……」
<――“生涯の友”であるガルドにまでそう言われ
それでも反論しようとした俺……だが、この直後
そんな俺の手を優しく引き――>
………
……
…
「もう……良い。
……我が身の為、御主がこれ以上立場を悪くする事は無い。
いらぬ騒ぎを起こして済まなかった……」
<――そう言うと
力無く立ち上がり、荷馬車の方へ歩いて行ったソーニャ。
……去り行く彼女の遠退く背中に
俺の体を駆け巡る胸騒ぎは加速度的に大きく成り始めて居た。
だが……今声を掛けた所で、皆の圧倒的な反対意見を真っ向から無視し
動ける訳も無いこの状況では、唯彼女を傷つけてしまうだけだ。
……尚も遠退く背中
どうする事も出来ず、直視する事すら苦痛に成り始めていたその時
唯一度、瞬きをしたその瞬間
彼女の眼前には、モナークが立って居た――>
………
……
…
「……其処を退くのじゃ魔族の王よ。
それとも、我が身を喰らう腹積もりかぇ? ……」
<――薄っすらと聞こえたソーニャの声
そんな彼女に対し――>
「フッ……貴様の血肉などに興味は無い。
我が関心は――」
<――言うや否や
ソーニャの額に向け手を翳したモナークは――>
「フッ……やはり、偽りでは無かったか」
<――ほんの一瞬笑みを浮かべそう言ったかと思うと
彼女を小脇に抱え、俺の真横へと転移し――>
………
……
…
「誇るが良い……貴様の“胸騒ぎ”は紛い物では無い」
<――彼女を“雑に”降ろしながらそう言ったモナーク。
そして――>
「……アイヴィーよ。
主人公に同行し、此奴の“甘さ”を補佐せよ
そして……伏兵あらば全て滅し、企て在らば
全て……捻り潰すが良い」
<――アイヴィーさんを招集し、俺の同行者として
いや……“保護者”の様な立場として振る舞う様命じたモナーク。
この直後――>
「……承知致しました。
では……其処の女、貴女の全てを私に見せなさい――」
<――言うや否や
モナークと同じく、彼女の額に触れたアイヴィーさんは――>
………
……
…
「――成程、ある程度離れた場所の様ですね
とは言え、これだけ“鮮明”ならば大丈夫でしょう。
さて……それでは、主人公様。
只今より、この女の母国であるメッサーレル君主国への偵察任務を執り行います。
……転移先の細かな地形は確認済みですので
ご準備が宜しければ私に掴まって頂けますでしょうか? 」
<――そう言って手を差し出し
俺の目を真っ直ぐに見つめて来たアイヴィーさん。
……この瞬間
アイヴィーさんが――
“彼女の記憶にある母国の位置を読み取り転移先として自らの知識に入れた”
――のだろう事を何と無く理解した俺は、差し出されたその手を掴み
一刻も早くメッサーレルの状況を確認しようと考えて居た。
だが……幾らモナークの不思議な力に依って俺の“胸騒ぎ”が正当化されたとは言え
政令国家に於ける大多数の反対意見を無視する形で、半ば強引に敵国に向かい
皆の意見を無視する様な形に成ってしまう事は勿論
“偵察任務”と言う作戦の都合上、マリア達の同行が叶わない事も
どれ一つとして良い状況とは思えず
差し出されたアイヴィーさんの手を掴めずに居た俺。
だが……そんな中
突如として齎された通信に依って、事態は急変した――>
………
……
…
「……主人公、詳しい説明をしている余裕が無いから黙って聞いてくれ。
つい先程、正体不明の化け物が何処からか同時多発的に大量発生し
我がアラブリアとメッサーレルへの同時攻撃を開始した。
……今の所、此方は対処出来ているが
メッサーレルは“時間の問題”の様だと偵察兵から報告が上がって居る。
兎に角……君の所にも“それ”が現れないとは限らない。
気を付けろ、奴らは何処からとも無く突然に現れる
幸いな事に防衛魔導を張ってさえいればその内部には現れない様だが
あくまで現時点での情報でしか無い、決して油断は……ん?
……すまない、私は一度兵達の援護に向かう。
兎に角、気を付けてくれ主人公……では通信終了」
<――突如として齎されたムスタファからの通信。
この時、不穏な雰囲気のままに終了した通信と
背後で聞こえた地響きの様な音は
この場に居る全員に得体の知れない不安を植え付けた。
……ムスタファの言う“化け物”とは一体何なのか。
何よりも、アラブリア程の軍事力を持つ国を
たとえ僅かにでも脅かそうと考える“敵”とは、一体――>
………
……
…
「……ねぇ主人公。
通信の内容を聞く限り、今偵察に行くのは得策とは思えないよ。
……もしそれでも政令国家を出るとするなら、その人の国じゃ無くて
先ずは“同盟国”のアラブリアに向かうべきでしょ? ……」
<――悩んで居た俺に対し
心苦しさを感じさせる雰囲気で近付き、そう言ったのはリオスだった。
言うまでも無く、誰が聞いても圧倒的に正しい意見だし
そもそも、敵国を優先し同盟国を蔑ろにする事など有っては成らない愚策だ。
当然、彼の意見にはこの場に居る全大臣が賛成した……だが
賛成意見を聞いた上で彼は更に続けた――>
………
……
…
「……けど。
さっきから僕も痛い程感じてるんだ……変な“胸騒ぎ”を
だから……僕は、君のメッサーレル行きを肯定したい。
どう考えても間違ってる筈なのに、何故か“行くべきだ”と思うから……」
<――獣人族である彼の持つ
“動物的な勘”をも震わせる程の力を持つ“謎の化け物”
……その正体が何であれ、彼の賛成を機に
この場の空気は少しずつ変わり始め――>
「……リオスが其処まで言うなら、念の為
各部隊へ色々と準備させとかないと危ないかもね……ってぇ事で~っ! 」
<――直後
“念の為”とエリシアさんが魔導拡声を用いて
政令国家全地域に発令させた“警戒準備”は
各地の医療部隊・防衛部隊・攻撃部隊を“即応体制”にさせた。
その上で――>
………
……
…
「……よぉし! これで大丈夫っ!
兎に角……主人公っち? 危なそうなら直ぐに帰ってこなきゃ駄目だよ?
それと、ソーニャ……アンタに少しでも善人の部分があるなら
お願いだから、主人公っちの優しさを悪用しないで……頼めるよね? 」
<――と、彼女に対しかなり強めに釘を差し
彼女もこれを受け入れた。
だが、エリシアさんはその上で――>
………
……
…
「うん……見て分かる程、アンタは嘘をついてない。
でも“万が一”があったら……私、絶対に許せないからさ。
絶対契約の魔導――
――“禁断之果実”
これで……アンタは絶対に主人公っちを裏切れない。
正直、あまり品の良いやり方じゃ無いけど、こうでもしないと
私はアンタを完全には信じられないから」
<――隷従とも呼ぶべき魔導契約を彼女に付与した。
この“禁断之果実”の効果は、裏切り行為を行った者に対し
強力な呪いを発動させ、魂ごと消滅させてしまう力を持っている。
だが……本来、この技は魔導適性を持つ奴隷商が多用した技であり
攻撃術師の中でも未だに使用を憚られる
最悪の魔導の一つとされて居る。
……この瞬間、エリシアさんが其処までして俺の身を案じてくれた事
同時に“軽々しくお礼を口に出来る様な行動では無い”と
エリシアさんの表情が物語って居た事もあり……
……エリシアさんに対し、深く頭を下げるに留めた俺は
この後、アイヴィーさんの方へと向き直り――>
………
……
…
「その……お願いします」
<――そう頼んだ。
この後、再びその手を差し出したアイヴィーさんは……俺に対し
転移中も維持出来、且つ全員を包めるだけの
強力な防衛魔導の発動を指示し――
“では……参ります”
――直後
俺の発動させた防衛魔導毎無詠唱での転移を発動させた。
だが――>
………
……
…
<――まさか
此程直ぐに“防衛魔導が役立つ”事に成るとは思いもしなくて――>
===第百九三話・終===




