第十八話「教育は楽勝ですか?!」
<――ダークエルフ村での宴から一夜明け、ヴェルツへと帰還した俺達。
だが、帰還後直ぐにラウドさんから呼び出しが掛かった事で
慌ただしく大統領執務室へと向かう事と成った――>
………
……
…
「それで……ダークエルフの村はどうじゃったね? 」
<――とラウドさんに訊ねられ
答え掛けた俺を遮る様に――>
「楽しかったけど……頭痛いです」
<――と、二日酔いの症状を報告したマリア。
“そう言う所だぞ、マリア”
少しだけ心の中でツッコミを入れた瞬間だった――>
「ううむ……マリア殿は少し酒に気をつけるべきじゃのぉ。
それはそうと主人公殿、今日呼んだのは“義務教育学校”の件なのじゃが
教師の選考に難儀しておってのぉ……」
「それは……優秀な人材が不足して居るとかですか? 」
「“ある意味”ではそうなんじゃが……正直に言えば
“邪魔をする勢力”があるんじゃよ」
「邪魔? ……どう言う事です? 」
「どうも貴族連中の差し金の様なのじゃが
突然、教師の資格を持つ者達が他国へと移住したり
教師その物を辞め、他の職業に付いたりと……妙な動きが多いのじゃよ」
「確かに妙ですね……もし貴族が裏で糸を引いているのなら
禁止する法律でも作れば良いのでは? 」
「仮に作ったとしても奴らは法の穴を抜けるじゃろうし
完全に止めるのは無理じゃろうて……正直頭の痛い問題なんじゃよ」
<――などと話して居たその時
突如として執務室の扉は勢い良く開かれた。
其処に立って居たのはカイエルさん、彼は大層慌てた様子で――>
「……緊急事態です、急いで東門へ! 」
「何事じゃね?! 」
「大量の魔物が東門付近まで進軍しております!!
皆様も……急ぎ防衛の協力をお願い致しますっ!! 」
「了解です! ……ですがラウドさんは此処に居て司令塔の役割を!!
メルちゃん、マリア、カイエルさんは俺に掴まって下さい!
転移の魔導、東門前へ! ――」
<――急ぎ東門前に転移した俺達。
……直後、俺の目に飛び込んで来たのは
想像を絶する程の魔物の大群だった――>
………
……
…
「た、確かに凄い数の魔物だ……それに一体一体が大きい。
カイエルさん……何でいきなりこんな数の魔物が現れたんです? 」
「……詳しい事は未だ不明だが、これだけの魔物を煽動出来る物は少ない
現時点では“魔族”の手に依る物だろうと推測している。
兎に角、早急に魔物達を排除しなければ! 」
「勿論です! ……って。
待って下さい……もしかすると
これは“政治的に”最高のタイミングかも知れない。
俺に考えがありますので後少しだけ待ってて下さい! 」
「政治? 最高のタイミング? こんな時に一体何を……」
<――不審がるカイエルさんを横目に各種族長らに魔導通信を入れた俺。
内容は“魔物討伐の協力要請”……直後
カイエルさんは、俺の政治的な作戦の意味を知り――>
………
……
…
「成程、挟み撃ちにする訳か……政治だけでは無く
戦略的にも良い判断だ……だが、援軍が来るまでは私達で防がねば成らない。
……其処は頼んだよ? 主人公君」
「ええ、勿論です! ……ですが、少しでも各種族に華を持たせたいのでッ!!
鈍化の魔導、足留ッ! ――
――マリアッ! 鈍化の掛かった敵を優先的に倒すんだッ! 」
「はいっ! ……おりゃあああああああああああっ!! 」
<――直後
勢い良く斧を振り回しながら走っていったマリア。
“鈍化の魔導”に掛かった魔物の内
約半数がマリアの手に依って迅速に討伐されて行った。
そして……その姿を目の当たりにした国民達は
口々に“バーバリアンの再来”
“マリアーバリアン様”……と称賛の声を投げ掛けた。
当然、マリアは“語呂の悪さ”に戸惑って居たが
褒められ、そして頼られていると言う事実に怒る事も出来ず
苦虫を噛み潰した様な複雑な表情のまま、魔物討伐を続けて居た。
何だろう……若干だけど不憫だ。
ともあれ、その一方で――>
………
……
…
「……私はマリアさんの援護に専念しますっ!
体力治癒っ!! ――」
<――メルちゃんの適切な治癒魔導により
マリアの体力は大幅に回復し――>
「メルちゃんありがとぉぉっ!
うおりゃああああああっ!!! ……」
<――二人の大活躍に依り、魔物達が怯み始め
俺の支援要請を受けてくれた多種族達も続々と到着し始めて居た頃。
俺は……メルちゃん、マリア、カイエルさんの三人に
魔導通信を繋いだ――>
………
……
…
「……マリア、メルちゃん、カイエルさん
此処から先は徐々に苦戦するフリをして欲しい。
各種族に華を持たせたい……これは政治的な話だ
卑怯な手かもしれないけど、これを利用しない手は無い。
本当に危機的状況に陥らない限り、苦戦のフリを続けて欲しい。
特にカイエルさん……不本意かも知れませんがお願いします」
「ふむ……主人公君も政治家として優秀に成った様だ。
だが、東門だけは必ず死守させて貰う……」
「ええ、それで充分です……では
カイエルさんも含め、全員苦戦するフリを! 」
<――そう指示を出した瞬間
“ぐ、魔導が持たない” ……と
完全なる棒読み演技を披露したカイエルさんに始まり
“流石のマリアーバリアンも防戦だけで精一杯です。
って、危なっ!? ……とりゃぁぁっ!! ”
と、弱った演技すら出来て居ないマリアに続き
“ま……魔導力が無くなりましたぁ……”
と、座り込んだメルちゃん……まぁ、二人よりはまだマシだったが
“俺もダメかもしれない……こんな時、誰か援軍が来てくれたら……”
……と、依りにも依って
下手なヒーローショーの様な台詞を口走ってしまった俺。
正直……これで騙される者など何処にも居ないだろうと思って居たのだが
状況が状況な為、こんな“大根芝居”ですら
民衆の不安を煽るには充分だった様で――>
………
……
…
「お、おい……大丈夫かよ、このままだとマズいんじゃ……」
「マリアーバリアン様ぁぁぁぁっ! ……頑張ってぇぇぇぇっ!!! 」
「マズい、あんなにふらついてるぞ……このままじゃ本当に……」
《――主人公の“思惑通り”かは定かでは無いが
“大根芝居”に惑わされた民衆は皆口々に不安を語り出して居た。
……そして、民衆達の不安が頂点に達した頃
各種族の援軍が続々と到着し――》
………
……
…
「オーク達よ!! ……吾輩と共に政令国家を守るのだッ!
進めぇぇぇぇッッ!!! 」
「おーーーっ!!! 」
《――グランガルドの号令により
オーク族は、その有り余る腕力で魔物の大群を蹂躙し始めた。
その一方で……民衆はこの状況を理解出来ずに居た。
……当然だろう。
民衆のオーク族に対する認識は
古い文献の記述に依る物でしか無かったのだから。
だが……そんな民衆の認識を置き去りに
次に現れた援軍“達”は――》
………
……
…
「……我々は魔物の足止めを行う!
麻痺矢……放てっ!!! 」
「オーッ!!! 」
《――クレイン率いるダークエルフ達は
得意の薬術で魔物達を麻痺状態に誘うとドワーフ族に合図を送った。
直後、合図を確認したガンダルフは一斉攻撃の号令を掛け――》
「今こそ、ドワーフの武器は世界一じゃと見せつける時!
者共……掛かれぇぇぇぇぇっ!!! 」
「オーーーーッ!!! 」
《――ガンダルフ率いるドワーフ族は
自慢の武器を民衆に“見せつける”様に構え
ダークエルフ族が麻痺させた魔物達を狩り始めた。
すると――》
………
……
…
「お、おい……オークだけじゃなくてダークエルフ
それにドワーフまでもが俺達を守ってるぞ? 」
《――少しずつ
異種族に対しての“差別”では無い、新たな感情が芽生え始めて居た頃
オルガ率いるエルフ族が到着し――》
………
……
…
「一斉に……放てぇぇぇっっ! 」
「ヤーッ! 」
《――現れるや否や
数千本の弓矢を切れ目無く放ち続け、魔物の動きを更に鈍化させた。
そして……最後に控えていた“獣人族”は
これを“合図”と捉え――》
………
……
…
「今こそ、獣人族の強さを見せつける時っ!
み~んな~っ! ……いくよ~っ! 」
「ワオーン! 」
「ニャーッ! 」
「ガルルル!!! ……」
《――直後
リオス率いる獣人族は、対処の面倒な動きの早い魔物達を
それに負けず劣らずな速度で狩り始めた――》
………
……
…
「お、おい! ……全種族が俺達を守ってるぞ?!
ど、どうして……」
「夢……じゃないわよね? 」
「ああ、夢じゃないが夢みたいな光景だ!
明らかに彼らは俺達を守ってる……だが、何でだ?! 」
《――そう、疑問を感じつつも
やがては各種族に対し感謝をし始めて居た民衆。
そして――》
………
……
…
「魔導通信……メルちゃん、マリア、カイエルさん。
いい頃合いだ……演技を止め、目立たない程度に攻撃に転じよう! 」
《――再び動き始めた主人公一行。
だが、民衆は彼らの動きになどまるで反応しなかった。
……それもその筈。
民衆は皆、各種族達の連携の取れた姿に興奮し
各種族達を応援する者達で溢れて居たのだから。
そしてこの瞬間、主人公の狙い以上の結果が得られた事を
彼自身も肌で感じたと言う――》
………
……
…
「……いいぞオーク族!!! 」
「……エルフの旦那! 頑張ってくれぇ~!! 」
「……ダークエルフさん頑張ってぇぇぇ!! 」
「ドワーフ良いぞ!! ……頑張れぇぇぇっ! 」
「……獣人達可愛いぃぃ! 」
………
……
…
「良い流れが出来たみたいだ……魔導通信、ラウドさん。
状況は最高です……終わり次第、演説をして頂きたいので
準備をお願いします……出来れば此方にお越し下さい」
《――そう呼び掛けた主人公。
直後、彼の近くに転移したラウド大統領は
彼の耳元で、民衆には“決して聞かせられぬ”話をした――》
………
……
…
「城からも見えておったよ。
……皆、尋常成らざる下手な演技じゃった。
とは言え……主人公殿は策士じゃのぉ? 」
「……う゛っ。
え、演技力には目を瞑って下さい。
兎に角……俺は唯
元々こう有るべきなのを分かり易くしただけです。
それに、この魔物の異常な数を見る限り
恐らくはカイエルさんの読み通り、この国の地盤を再び揺るがす為に
魔族辺りが差し向けたんじゃ無いかと思っていますが
逆にこの国の“結束を強めて”しまったんですから……
……魔族達はきっと死ぬ程苛立って居るに違い有りませんよ」
<――そう言った俺の口元は多分だがニヤけていたと思う。
そして、そんな俺を見たラウドさんはすかさず
“流石、主人公殿……魔王よりも魔王よのぉ~”
と、言った――>
「いや、だから“悪代官”みたいに言わないでください。
って……そろそろ決着が付きそうです! 」
………
……
…
「奴で最後だ、皆……掛かれっ!! 」
「……うおおおおおおおおおっ!!! 」
《――最後に残った魔物は
各種族達の過剰とも言える攻撃に依って、盛大に打ち倒されたのであった。
そして――》
………
……
…
「う、うおおおおおおおお! ……ありがとおぉぉぉぉっ! 」
「きゃーーーーっ! 素敵ぃーーーー! 」
「オークって強えんだなぁ!!
……俺達を守ってくれてありがとおぉぉぉっ!! 」
《――この後数分間に渡り
国民達から各種族達に送られた鳴り止まぬ拍手と歓声。
各種族達もそれに答える様に愛想を振りまいてみせた。
そして……暫くの後。
……歓声が落ち着いた頃
ラウド大統領は静かに演説を始めた――》
………
……
…
「……皆、静粛にっ!
本日、我が政令国家の危機的状況に、様々な種族が救援に来てくれた
彼らに対し、現在も変わらず差別的な対応をしておるわし達の為にじゃ!
わしらがこの恩に報いる為には
我が国もこのまま差別を続けて居てはいかん!
依って! 我が政令国家は各種族達を……」
《――ラウド大統領がそう言い掛けたその時
一人の貴族は声を荒らげながら
ラウド大統領の元へと近付き――》
………
……
…
「待て待て待てっ!! ……ラウド大統領!
その様に簡単に小奴らの様な者達を迎え入れるべきでは無い!!
そもそも、この国に取り入りたい異種族共が結託し
魔物を先導し、この国を襲わせ……
……それを倒してみせただけじゃないのか?!
きっとそうだ! ……そ、そうに違いないっ!!!
皆、騙されるなっ!! ……」
《――残念な事に
貴族の発言に同意する国民達もそれなりに見られた。
だが、主人公はこの貴族に対し――》
………
……
…
「ほう……彼らの“自作自演”だと言いたい訳ですか? 」
(どちらかと言うと俺達の大根演技の方に注目されそうなモンだけど……)
「そうだ! ……そうに違いない! 」
「成程……拝見するに、さぞや名のある貴族様なのでしょう。
……其処でご質問なのですが
貴方様の知り合いで、市場付近の土地をお持ちの方はいらっしゃいますか? 」
「ほう? ……貴様、見る目が有るな?
あの周辺の土地を持っている大地主は私の一派だが……
……いや、待て! 何故今そんな質問をした!?
まさか?! ……家でも欲しいのかね? 」
「いいえ、俺はヴェルツを気に入ってますので……っと。
メルちゃん、蒸し返してすまないが
“あの話”……しても良いかい? 」
「はいっ! ……」
「では……本人からの了承も得ましたので説明させて頂きます。
貴方がたった今“一派”と仰られた地主さんは
彼女と、彼女のお母様であるメアリさんの住んでいる家に対し
幾度と無く、筆舌に尽くしがたい嫌がらせや暴力行為を
手先の者に繰り返し行わせていましたよね?
勿論、証拠も山の様に有りますし本人から正式な謝罪も受けましたので
俺自身もしっかりと覚えているのですが……」
「なっ、何を! ……事実無根だ! 」
「いえいえ? ……事実ですよ?
“完全に”……俺もその場に居合わせてましたから。
まぁ良いとして、続けて質問させて頂きます。
“一派だ”と仰られましたが
その“責任は”貴方様にも有ると考えて宜しいのですか? 」
「い、いや……違う!
そ……そうだ! 知り合い程度だ!
それに、何故私がやった訳では無い事で責められなければならない!
第一、ダークエルフとオークのハーフなど……嫌われて当然だろう!? 」
「ほう……本心が出ましたね?
……国民の皆様、お聞きになりましたか?
たった今、国家存亡の危機を救ってくれた各種族達
並びに、その種族の血が流れるメルちゃんに対し
差別意識からくる嫌がらせを行うこの貴族が発する発言の全てに
一体何の正義があるのでしょうかッ?! 」
《――瞬間
主人公の訴えには民衆の多くが賛同し――》
………
……
…
「確かに……どの種族も俺達の事を必死で守ってくれてたよな」
「ああ……それに、少し前
おらぁメル嬢ちゃんに怪我を直して貰った恩が有る。
貴族だか何だか知らないが……ふざけるなってんだッ! 」
「そうよ! ……って言うかさっきまで“一派だ”とか言ってたのに
“知り合い”に格下げしたわよね? ……嘘つきは貴方よ! 」
《――民衆は貴族に対し怒りを顕にしていた。
すると――》
………
……
…
「だ、黙って聞いていれば……お前達ッ!
平民は黙って貴族の言う事を聞いていれば! ……」
《――つい“馬脚を表した”貴族。
そんな彼に対し、主人公は――》
「ほう……民草に至るまで差別的に扱いたい訳ですか?
これはこれは、良いゴミ……おっと失礼。
良い“御身分”……ですね? 」
《――と、言った。
直後、余りの分の悪さに慌てる貴族を横目に
ラウド大統領は皆を制止し――》
「その辺にしておくのじゃっ!! 」
《――と、叫んだ》
………
……
…
「……ラ、ラウド大統領殿!
そうでしょうとも! ……この愚民共が!
大統領閣下の話を聞くが良いわ! 」
「……何を勘違いして居るのかは知らんが
わしは御主に言っておるのじゃよ貴族殿?
御主の発言も、行動も目に余る物がある……場合に依っては
貴族の位を剥奪するべきと思う程にのう?
勿論、必要ならば今直ぐにでも国民に決を採ろうかと思うておるのじゃが
もしもそれが望みだと言うのならば
わしはまだこの会話を続けても構わんぞぃ? 」
「き……貴様ッ!!
老いぼれ攻撃術師風情が私を愚弄してッ!!
たっ……ただで済むと思うなよっ!? 」
《――瞬間
この貴族が放った捨て台詞をカイエルは聞き逃さなかった。
国家元首である大統領への“脅迫”とも取れる言葉
この瞬間、彼はそれを理由に貴族を捕縛し
魔導隊詰所の牢へと連行した――》
「……ぐっ……離せっ!!!
……私を誰だと思っている!?
こんな横暴は許されないッ! 愚民風情がぁぁっ!! ……」
………
……
…
《――暫く経ち、場の空気も落ち着いた頃
主人公は国民に対し――》
「……国民の皆様、今回の大量襲撃はとても危険な状況でした。
各種族の皆様のお力添えが無ければ、この国は崩壊していたかも知れません。
……ラウド大統領の仰る通り、今までの様に
人以外の種族に対する差別を続ける事など間違っているとは思いませんか?
そもそも、皆様にはまだお知らせしていませんでしたが
各種族の長には、各種族代表の大臣として
既に多大なる協力をして頂いて居りました。
……前国王亡き後、未だ不安定なこの国に於いて
各種族からの協力は何者にも代えがたい財産です。
国民の皆様にも今回の一件でご理解頂けたのでは無いかと思います」
《――そう言った。
直後、民衆の多くは彼ら他種族に対し好意的な感情を持ち
彼らを受け入れる事にも賛成の立場を取り始めて居た。
そんな中、ラウド大統領は民衆に向け――》
………
……
…
「うむ……では改めて、簡易的ではあるが国民投票を行いたいと思う。
人族以外の種族を全面的に認め、差別する事無く
政令国家に招き入れる事を良しとする者は挙手を……」
《――この場にいる国民の内、過半数の国民が賛成をした一方
未だ反対の立場を取る者達も多数見受けられた。
だが――》
………
……
…
「どうやら賛成多数の様じゃな……では。
正式に、異種族の者達を差別無くこの国家に招き入れ
それに付随する法整備も今後行う物とするッ! ……」
《――こうして、正式に異種族達を迎える事が決定した日
政令国家は多種族国家として発展して行く為の大きな第一歩を踏み出した。
様々な妨害工作をしていた他の貴族達も分の悪さ故
暫くの間鳴りを潜める事と成ったが……安心は出来ない。
その上、多種族を受け入れる事に否定的な考えを持つ国民も
無視出来ない数存在している現状では
超えなければならない課題は山積しているだろう。
……主人公の異世界生活に“楽勝”の文字が似合うのは
まだ先の事と成るのかも知れない――》
===第十八話・終===