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第百五四話「調べるのは楽勝ですか? ……前編」

《――現在、隊員であるかどうかに関わらず

ディーン隊に居た経験の有る者であれば必ず肌身放さず装着し続けている――


“指輪”


――互いの位置情報を知る事の出来るこの指輪の能力は

たとえ海をへだてた遠い場所からでも

容易よういにその者の位置を割り出せるとても高性能な物であった。


だが――》


………


……



「……いずれにしても有り得ませんわ?!

隊を離れた時、オウルはとても寂しそうだった筈……そもそも

ディーン様からの贈り物であるこの指輪を簡単に外してしまうなど

オウルの性格からは考えられないのですわ! 」


《――興奮した様子で隊の皆に対しそう訴えたタニア。


そんな彼女に対し、ギュンターは冷静に――》


「……私めも重々理解しておりますし、考えつく理由もいくつかは御座います。


ずは“磨き”に出していると言う事……


……肌身離さず装着し続けているのですから

汚れや傷が入らぬとも限りません。


二つ目に……オウルは真面目で御座いますし

眠る時や何らかの作業などする際

誤って落としたりせぬ様、私共が“お調べ”をした時

たまたま外していただけかも知れません。


そして……三つ目で御座いますが

“海超え”の捜索が不安定なだけと言う事も充分考えられます」


《――そう冷静に現段階にける三つの想定を伝えたギュンター


だが、そんな彼に対し――》


「ギュンター……私は“四つ目”を想定するべき様に思う」


《――そう告げたディーン

直後――


“四つ目とはどの様な想定で御座いましょうか? ”


――とたずねたギュンターに対し

彼は――》


「ギュンター……お前が出した三つの想定だが私には全て間違って見えた。


まず一つ目だが……オウルは

“肌身離さぬ”と決めた物を決して誰にも渡しはしない

それがどれ程信頼に足る相手であってもだ。


二つ目もそれに似た様な理由だが、その様な状況におちいらぬ様

指に装着せずとも、ふところに入れて居るだろう事

そして、この指輪は肌に触れていればその効力を発揮する事。


最後に関しては言うまでも無い……私はライラが

日之本皇国こちら政令国家あちらを行き来する度に

必ず定期的にライラの居場所を確認しているが

それに失敗した事など今までただの一度も有りはしない。


以上の事を踏まえた上で私が想定した“四つ目”の想定だが……


……正直、余り平和な物では無い」


《――そう言って“指輪”をでながら力を込め

もう一度だけオウルの位置を調べたディーン。


……そして、いまだ見つからぬオウルの現状に関する

“四つ目の想定”を静かに口にした――》


………


……



「オウルは今……何らかの危機に瀕している可能性が極めて高い」


《――この“想定”を聞いた瞬間

隊員達は皆、口々にオウルの捜索を訴えた……だが。


この要求に対し、ディーンは首を縦には振らず――》


………


……



「……我々には現在

この国をまもり軍備を増強すると言う役目が有る。


この所“騒がしく”周辺の海域を彷徨うろついている

海賊共やつらへの対応を放り出し

あくまで想定に過ぎない危機を優先してしまえば

友と別れ、この国に残った我が隊の存在意義は一体どうなる?


もし今……奮闘ふんとう努力の末、我々の恩人でもある主人公が作り上げた

新たなこの国の仕組みを“放り出して”しまえば

私達のまもろうとした場所や者達が全てが無にす事となってしまう。


ゆえに……お前達の願いを聞き入れる訳には行かないのだ」


《――隊長として


そして……友である主人公の目指した理想を叶える為

苦渋くじゅうの決断をしたディーン。


……当然、隊員達は皆この決定に異議を唱えた


“言葉通り”この場にいる“全員”……そう、暁光すらも。


……だが、そんな彼らに対し

ディーンは――》


………


……



「何と言われようとも……我が隊は動けない。


だが、その一方で……ライラ、そして暁光よ

お前達が“手紙を届ける為”この国を離れる事は常日頃から想定済みだ。


とは言え……正直、友に対し面倒を押し付ける様で申し訳が立たないが

主人公かれに何らかの“調べ”を頼む事ならば私も止めはしない。


……その上で、彼にこの指輪を渡し

オウルの位置を割り出せるかを調べて貰うのも良いだろう。


もし仮に……彼の力ですら調べが付かなかったとするのならば

オウルの危機は疑い様の無い物と成る。


ライラ、暁光……万が一を考え、気を引き締めて置け」


《――そう言ってみずからの指輪をライラに手渡したディーン


一方、指輪を受け取るや否や暁光にまたがり――》


「暁光……飛翔ッ! 」


《――そう命じたライラ。


瞬間……天高く舞い上がる様に飛翔した暁光は

周囲に暴風を巻き起こしながら、政令国家を目指し飛び去って行った。


一方……日之本皇国へと残ったディーンは

彼女達の飛び去った方角へ向かい、静かに――》


………


……



「……これが正しい決断かは判らないが

今、我が隊が此処ここを離れる事だけは何としても避けなければ成らない。


歯痒はがゆいが……身動きが取れぬのだ」


《――周囲の状況を逸早いちはやく確認出来る様

彼らディーン隊の発案にり新たに各地域の城へと建造けんぞうされていた――


“監視塔”


――その一つから周囲を見渡し

くやしさをにじませながらひざを叩いたディーン。


彼の目に映っていた光景、それは――


――望遠鏡をもちいなければ視認すら出来ない程の遥か遠方から

日之本皇国このくにの様子を監視している数隻すうせきの海賊船の姿だった。


無論、この程度の隻数せきすうであれば

現在の日之本皇国海軍に倒せぬ相手では無いだろう……だが

僅か数隻の海賊船相手を相手取り、下手に軍を動かせば

更に遠くで様子をうかがって居るやも知れぬ海賊達に

戦法てのうち”を明かす事にも成りかねず……


……それが得策では無い事を知っているからこそ

歯痒はがゆい思いのまま身動きが取れず居たのだ。


その一方で……はやる気持ちをおさえつつ

政令国家を目指していたライラと暁光は――》


………


……



「やっぱり……此処ここでもまだ……オウルの場所は判らない……」


「グルルゥゥ……」


「大丈夫……暁光……オウルはきっと無事だから……」


《――ライラは幾度と無くオウルの位置を確認し続けていた。


一方、政令国家では――》


………


……



「メアリ……そろそろ昼飯にでもしないか? 」


《――メアリに対しそう言ったマグニ。


一方のメアリは壁の時計を確認しつつ――》


「えっ? ついさっき朝食を……って、あらっ?!

もうこんな時間だったのですね……ごめんなさい貴方

私、研究に集中するとつい時間を忘れちゃって……」


「構わん……昔と変わっていない様で俺としては嬉しい限りだ。


だが、たまには身体も気遣ってやるのだぞ? ……」


《――謎の魔物

バグ”研究の為、この度政令国家に新しく立ち上げられた研究機関。


其処そこで“仲睦なかむつまじく”過ごしていた二人。


だが、そんな二人に対し――》


「あの~お二人共~?

少しお時間を頂けると助かるのですが~……って、全然気付いてないし。


だぁぁぁッもうッ! ……あ゛の゛ッッ!!! 」


《――と、呼び掛けに気付かぬ二人に対し

大声で呼び掛けたのは……主人公であった。


直後……そんな彼の呼び掛けにようやく気付き振り返った二人は

両手に薬草を持ったまま、とんでも無く不機嫌な様子で

“仁王立ち”している彼の様子に、少々おののく事と成った。


……ともあれ。


主人公はそんな二人に対し――》


………


……



「……この薬草とこの薬草を混ぜた薬液が

バグに対する“忌避剤きひざい”に成る可能性が高いと研究生達が。


それで――


所長メアリさんにその比率ひりつで悩んでる事を伝えて欲しい”


――って言われて持って来たんですけど。


これ……何処どこに、置けば良いんですかね? 」


《――と、若干“キレ気味に”伝えたのだった。


一方、メアリはこの薬草を見るなり――》


「な、成程……聖なる力を持つ薬草を二つ掛け合わせる

……主人公さん、このアイデアを出したのはどの生徒です? 」


「第三研究室の研究生で

バルン村出身のロス君がリーダーのチームですね」


「そうですか……では、彼らの研究室に

特別点をつけてあげなければ……さて、薬草はお預かりします。


後は私の方で比率ひりつを考えておきますので

主人公さんもそろそろ昼食に……」


《――この後

彼女メアリらと共にヴェルツへ向かおうとしていた主人公。


だが、そんな彼に対し――》


「すまんが、至急執務室へ来て貰いたいのじゃ! 」


《――そうひどく慌てた様子で

主人公に対し通信を寄越したラウド大統領――》


「なっ?! 直ぐに向かいます! ……」


《――直後

執務室へと転移した主人公。


一方……彼の到着を今か今かと待っていたのは

ラウド大統領だけでは無かった様で――》


………


……



「主人公……これ……オウルを探して! 」


<――執務室に到着した俺を確認するなり

ライラさんはある指輪を手渡しながらそう言った。


見覚えのある指輪だ……確か、ディーン隊の皆が付けている

捜索の力が付与されている指輪だった様な――>


「構いませんけど……オウルさんはメリカーノアに居るのでは?

ってか、皆さんでも探せる筈なのに何でわざわざ……」


「良いから! ……お願い、探してっ!! 」


<――この瞬間判ったのは

この質問に答える時間すら惜しい程逼迫ひっぱくした状況だと言う事だけだった。


兎も角……ライラさんから指輪を受け取り魔導力を込めた俺

……だが、オウルさんの居場所は判らなかった。


この後、もしかしたら壊れているのかも知れないと考えた俺は

この指輪でオウルさん以外の全ての隊員達の現在地を調べてみた。


……だが、判らないのはやはりオウルさんの居場所だけ。


そして……その事を伝えた瞬間

ライラさんは、何らかの“得たくも無かった確証かくしょう”を

得てしまった様な表情を浮かべ――>


………


……



「主人公……お願い。


貴方の力が必要……オウルを見つけて。


オウルを……助けて」


<――そう言って俺に頭を下げた。


……勿論、大切な仲間の危機ならば動きたいし

助けられるなら直ぐにでも動くつもりだ。


だが……全くもって状況が読めない。


彼はメリカーノアでサラさんと共に暮らしている筈だし

その為にディーンはあれ程優秀な隊員を“除隊扱い”にしたのだ。


……にも関わらず、何故今になって

いきなり“その居場所が判らない”なんて事に成ってる?


正直さっぱり理解が出来なかったが……その一方で


“魔導通信ならば繋がるかもしれない”


……と考えた俺は、オウルさんに対し魔導通信を試みた。


だが――>


………


……



「駄目だ、繋がらない……って、いや待てよ?

なら、サラさんに繋げてみればあるいは……」


<――この後、サラさんに対しても魔導通信を試みた俺だったが

どちらにも繋がる事は無く……


……そんな状況を祈る様に見守っていたライラさんは

更に不安を感じて居る様子だった。


だが、そんな状況にりながらも

彼女ライラさんはとても冷静で――>


………


……



「主人公……通信が繋がらない場所……今までに何箇所あった? 」


「何箇所って、確か“迷いの森”の時と……あっ。


そ、その……俺の魔導通信の“仕様”的に

政令国家このくにの“女性が利用出来る施設”は全て

通信が繋がらない様にされてるって言うのはありますけど……」


「……それは、どうやって繋がらなくしてるの? 」


「それは、魔導を阻害そがいする建材で……あッ!!! 」


<――この瞬間

俺の脳裏にはある“嫌な考え”が浮かんだ。


……俺がこの世界に転生してから今に至るまでの間

魔導を阻害そがいする効果のある建材や道具や場所に出くわしたのは

大きく分けて“四回”だ。


ず、鬼人オーガ族の住むリーアの守護する森。


次に、政令国家このくにで女性用施設にもちいられている建材。


三つ目は、ロミエル法王国での戦いの際

当時敵対していたエデンさんがもちいた特殊な道具の効果にって。


最後に……今は友好国の“とある国”でトラブルに巻き込まれた際

投獄された牢屋にもちいられていた建材の所為で

仲間達にとても“無様な姿を見せてしまった時”を入れた四回だ。


そして……この“とある友好国”こそが

オウルさんとサラさんが仲睦なかむつまじく暮らしている筈の

“メリカーノア大公国”だと言う事――>


………


……



「……ライラさん、念の為にお聞きしますが鬼人オーガ族の所に手紙を届けた際

一度でも“二人が遊びに来た”って話を聞いたって事は無いですよね? 」


「うん……無いけど……何で? 」


「いえその……お二人が旅行か何かをしてて

タイミング的に連絡が付かない位置に居るだけって可能性も

一応確認しておきたくて……」


<――この瞬間

俺の脳裏に浮かんだ嫌な考えを否定してくれる

ほんのわずかな可能性すらついえてしまったと同時に

最も考えたく無かった“嫌な考え”の可能性が跳ね上がった。


“オウルさんとサラさんはあのメリカーノアで何らかの問題に巻き込まれた”


……そしてそれは、事故などの不幸では決して無く

俺が“この世界を中世の様に”と作ってしまった為か

頻繁ひんぱんに起きてしまう、権力者が原因の、所謂いわゆる“解決が難しい”たぐいの問題だろう。


……原因が何であるにしろ、この後

俺は、思い切ってライラさんとラウドさんにこの考えを伝えた。


すると――>


「なら、アルバートに連絡をして……探して貰うのは? 」


<――ライラさんはそう提案した。


だが、ラウドさんはこれに反対した上で――>


………


……



「待つのじゃ……もし仮に主人公殿の考えが正しかった場合

そして、その件に万が一

“アルバート殿自身が”何らかの関わりを持っていた場合。


……此方こちらからの連絡を受けた瞬間

ず間違いなく事態の隠匿いんとくはかる筈なのじゃよ。


ゆえに……歯痒はがゆいじゃろうが

今はえて泳がせておくのが賢明けんめいじゃろう。


……とは言え、何の手立ても打たぬと言う訳では無い

此方こちらから密偵スパイを送り込み

内部の状況を探らせるのが良いじゃろう」


密偵スパイですか……けど俺達は全員“面が割れて”ますし

獣人族で最も諜報活動が得意なリオスを使うのだけは

“俺が嫌”ですし……そもそも、下手に動くと

第二城の警備を任せている“メリカーノア兵”達に

この件がバレる可能性もあります。


正直……人選が難し過ぎませんか? 」


「ううむ、それはそうじゃが……」


<――この後も人選に頭を悩ませていた俺達。


だが……リオス程の諜報ちょうほう力を持ち

万が一の際にも対応出来る俊敏しゅんびんさと武力を持ち

面の割れていない人物……そんな人物を俺は知らない。


魔族達の中には、面の割れていない者も多数いるが……“そもそも”だ。


いずれにせよ、人選に苦慮くりょして居た俺達だったのだが

そんな時、いまだ復興中の獣人王国との連絡手段として

警備を任せている魔導兵からラウドさんに定期連絡が入った――>


「……ふむ、順調に復興も進んでおる様で安心したぞぃ。


報告ご苦労じゃ……引き続き、職務にはげむ様にのう」


「ハッ! それでは、通信終……」


<――この瞬間


慌てて通信に“割り込んだ”俺は、驚く魔導兵に対し――>


………


……



「……申し訳ありませんが、獣人王国そちら

ブランガと言う名前の獣人が居る筈なのですが……ご確認頂けますか? 」


<――と、頼んだ。


ハッ! ……と、威勢の良い返事が返って来た後

魔導兵に連れられ通信先に現れたブランガ。


そして、その姿を確認した俺は――>


「有難うございます……では。


転移の魔導……獣人王国へ! 」


<――そう唱え、獣人王国の

ブランガさんの隣へと転移した俺。


だが……まぁ当然と言うべきか

ブランガさんも魔導兵も驚いてってしまい

ちょっとした騒ぎを起こしてしまったのだが。


ともあれ――>


………


……



「……驚かせてしまって申し訳ありません

ですが、ブランガさんにしか頼めない重要なお願いが有りまして……」


「何でい……妙にいた様子じゃねぇか主人公の旦那。


しかし、俺にしか頼めねぇとはまた嬉しい限りだが

その様子だと“人が多い所じゃマズい話”じゃねえのか? 」


「え、ええ……何処どこか静かに話せる場所が有りましたら……」


「おう! 丁度今日兄貴と住む家が出来上がった所だ!

……ついて来なっ! 」


<――この後、ブランガさんの自宅へと案内された俺は

彼に対し、メリカーノアへ密偵スパイとして潜入する事を頼んだ。


だが、彼から返って来た答えは“明確な拒否”だった――>


「……申し訳ねぇが、俺にその仕事は無理だ」


「そう、ですよね……と言うか

いきなり訪ねて来てこんな危険な事をお願いする事自体

良く考えなくても最低な判断でした。


本当に……申し訳有りませんでした」


<――そう告げ、この場を去ろうとしていた俺。


だが、そんな俺を呼び止めると――>


「おい、早合点するんじゃねえよ! ……待ちなぃ!


……“俺には”無理だが

“兄貴”ならやれるかも知れねぇって言いたかったんだよ! 」


「そ、それは一体どう言う……」


<――瞬間


俺の背後から声がした。


低く、とても迫力はくりょくのあるその声のヌシは――>


………


……



「……おいおいブランガ、兄貴をこき使おうたぁいい度胸だな?

まぁ、おめえの頼みなら何だって聞いてやるがよ? ……」


<――そう発した。


そして、慌てて振り返った俺の顔を見るなり――>


「ふっ……ふははははっ!!!

はと豆鉄砲まめでっぽうった様な”顔してどうした?


安心しな……取って食ったりはしねぇからよ! 」


<――そう言って俺の肩をポンポンと叩きつつ

手を差し出したこの“兄貴”さんは――>


………


……



「……俺の名前はダグラス。


おめぇさんは……確か、主人公って名前だったか?

政令国家でも指折りのトライスターで偉い大臣様だと聞いてたが……


……意外におさねぇ顔立ちだな?


まぁ、そんな事ぁどうでもいいんだが……


……そんな“指折りのトライスター様”が

何だって俺の弟に“友好国への密偵スパイに成れ”なんて頼んだんでぃ? 」


<――と、俺の手を握ったまま

少々凄味すごみの聞いた雰囲気をかもし出したダグラスさん。


……この事に一瞬、おののいてしまった俺だが

現在の状況を説明し、きゅうようする事態だと伝えた。


だが同時に……その為とは言え

危険な任務を弟であるブランガさんに任せようとした事を

当然だが……兄の立場であれば“良く思わない”だろう事も含め

この件を謝罪した俺……だが、そんな姿を黙って見ていたダグラスさんは

何故か、再び高笑いし始め――>


………


……



「いやいや……すまねぇすまねぇ。


弟の言う通り、実直な男の様だ……そんなおめぇさんが

それ程懇願こんがんする任務ってんなら、仕方ねぇ。


……と言うよりそもそも

俺の命だっておめぇさんが助けてくれた様なモンだしな。


弟の代わりに、俺がその任務……引き受けてやるよ。


って……俺は何をすれば良いんだ?

まさか“金庫破り”でもして盗みを働けってんじゃねえだろ? 」


「え、ええ……それは勿論違いますが……」


<――この後


意外な形で協力者を得た俺は、ダグラスさんを連れ

一度政令国家へと戻り……その上で

あの国で調べるべき事柄について一つずつ精査せいさする事と成った――>


===第百五四話・終===

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