アナザーストーリー:小日向美緒は知らない
彼女の内心とは……。
私は、水書晴人を知らない。
理由は簡単。
話した事も無ければ、ただ他人から聞いた事のみしか知らないから。
本来ならその程度の人間を気に止めることはなかったでしょう。
私には関係ない人間と切り捨てられたから。
それでも、切り捨てられなかったのは。
私の友人、岩代美鈴が恋した相手だったから。
だから私は動いた。
彼女が彼とあまり関わらないように。
でも、その行動が間違いだった。
私は、人間関係を壊したかったんじゃない。
美鈴に近づかないように言っただけ。
しかし、私は選択を間違えた。
噂や又聞きしたことがここまで脚色されてるとは思わなかった。
だからこそ、私はその目を見て。
恐怖を感じた。
蒼く輝く目。
そこには色んな感情が渦巻いていた。
後ろからきた麟弥君が止めようとしていた。
しかし、麟弥君でも止められなかった。
彼は何かを私に言って、帰って行った。
麟弥君はその場で泣いて彼に謝罪を述べ続け、美鈴は彼を見送った後、私を一瞥して帰った。
美鈴の目には覚悟を持った目をしていた。
そして私に向けた目は……。
とても冷たかった。
これにて、第一部が終了しました。
次回からは第二部が始まります。