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第一話:新生活と祭り1

祭りに行って取材をしたりと、忙しくなりました。

 新居に引っ越してきた僕たちが見たのは、家でもマンションでもなく豪邸だった。七人で住むにはもったいないほどの大きさである。庭には噴水があり、敷地内には庭を手入れしている男性や洗濯物を干しているメイド。しかも、伝統を残したクラシカルメイドだった。


「どうやら来る家を間違えたみたいだね。ここは僕たちの家じゃ――」


「ここが今日から住む家だよ」


 かぶせて言ってきたのは、家まで案内した青﨑乙姫(あおさきつばき)だ。いや、そんなことよりここが住む家だとしたらそれは――。


「すげー! メイドに庭師、これはバトラーもいるんじゃないか? なんか俺死んでもいいわ……」


 ほら、麟弥(りんや)の悪い癖が出てきた。彼はこういった興味をそそられることがあるとすぐに声に出してしまうのだ。友人として、麟弥はイケメンに入る方だと思うがこれが災いして彼女ができたことが無い。……いっている僕も彼女なんてできたことが無いが。


 どうやら家の持ち主は乙姫らしく、ここにあるものは何でも使っていいそうだ。内装は予想以上に庶民的で、和室に洋室があり、広さも高校生が持つには少し広いぐらいの部屋が割り当てられた。ここで問題なのが、部屋の場所だった。


「私と兄さんは義理とはいえ兄妹なので隣同士の部屋ですね!」


「私も晴人君と隣の部屋になりたいです! だって――だから……」


 妹の智美(さとみ)と僕が片思いしている岩代さん。その中に入るのは。


「いや、晴人は親友である俺と隣だ!」


「「あなたは一度きらわれてるでしょ?(ますよね?)」」


 あ、麟弥が血を吐いて倒れた。結果としては僕を起点として両隣が智美と岩代さん、向かい側に麟弥だった。そして、各々荷物の片づけに追われその日は晩御飯を食べた後、解散になった。


 ◆ ◆ ◆


『やあ、最近は力を使わなくなったな』


 声が聞こえた。声の方に視線を動かすと、自分がいた。いや、自分と似た存在という方が正しいのか。姿は瓜二つだが、目は蒼く髪は黒髪で毛先が蒼く染まっていた。


「王の眼のこと?」


『そうだ。あれを使わなくなってから俺は暇でねぇ』


「僕は使いたくない。あれは人との関係が壊れてしまうものだ」


 しかし、彼は僕の言葉に鼻で笑って言った。


『お前は力を勘違いしてないか? あれは本来の能力じゃないぞ』


「じゃあ、本来の能力って――」


『それは言えねえ。だがな、今度やる祭りに行け。そしたら本当の力が分かる』


 彼はなぜそんな情報を与えるのか。


『いいか、俺はお前じゃなく俺たちをこんな風にした大人が許せねぇだけだ』


「つまり、協力してくれるのか?」


『それは、お前次第だな」


 なるほど、彼は僕を憎んでいないようだ。そう感じた矢先、背後から光に包まれる。


『もう朝か。おい、最後に名前を付けてくれ』


「名前? あるんじゃないのか?」


『あの名前気に入らなかったからな。適当につけてくれ』


 そうは言われても――。しかし、彼にぴったりの名前を思いついた。


「ニヒト。ドイツ語で否定を意味する言葉」


『”大人”を否定する、か。しっくりくるな』


「それでいいかい?」


『ああ、問題ねえ。とりあえずお前は力の真価に気づけよ』


 その一言を最後に僕は光に包まれた。


 続

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