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嫌われ者の僕に彼女ができました。  作者: 須道 亜門
嫌われ者と慕われ者と止める者
17/29

第一話:金色の少女

続きかけましたぁ!!

 

「知らない……天井だ……」


 目が覚める。どのくらい寝ていたのかわからないけど、明らかに眠る前より暑い。体を起こしてみる。周りは白を基調とした部屋で見るものほとんどが白である。机も、ドアも、カーテンも。


 外は赤く日が傾いている。夕方と言うにはピッタリな風景だった。僕は、智美の兄ではなかった。それが、僕には苦しくて、寂しくて、切なくて。自分がわからなくなっていくようで。


 涙が、落ちた。


 そんな時に、ドアからノックが聞こえる。


「兄さん、入るね」


 ドアを開けて入ってきたのは、智美だった。智美はドアを開けたまま、こちらを見て驚いている。


「兄……さん……!」


 僕のもとに駆け寄って抱きついてくる。でも、僕にはそんな資格はないんだ。家族でもない、赤の他人に兄さんて呼ばれる資格は。


「僕は、智美とはかんけ――」


「やめて!!」


 僕が智美を引き剥がそうとして言いかけて、智美はそれを遮るように言った。


「兄さんは、私にとって一人しかいないの。たとえそれが血が繋がっていなくても! だから、関係ないとか家族じゃないって言わないで!!」


 智美は、泣いていた。


 僕が泣かせたんだ。


「おやおや、妹さんを泣かせるとは。最低だね、晴人君」


 ドアを開けて入ってきたのは銀髪の少女だった。しかし、僕にはそんな銀髪の女の子の知り合いは居ないはず。だって、友達いないもん!


「あ、ツバキさん!」


「やあ、こんにちは。お兄さん目が覚めて良かったね」


 ツバキと呼ばれた銀髪の少女は智美に優しく微笑む。つまり智美の知り合いか?


「智美ちゃん、少しの間席を空けてもらってもいいかな?」


「分かりました! じゃあ私先生呼んでくるんでその間はゆっくりして下さい!」


 そう言って智美は部屋から出ていく。ドアがしまってから改めてこちらに向き直したツバキさんが口を開ける。


「改めて、青崎 乙姫(あおさき つばき)だよ。よろしく」


「あ、はい。よろしくお願いします、乙姫さん」


 僕は答えつつ、差し出された手を握り、握手をする。


「そんなにかしこまらなくていいよ。あたしが恐縮しちゃうからね」


 微笑しながら、乙姫は言う。乙……姫……? 


「乙姫って……、あの書類に書いてあった」


「君も見つけたんだね。そう、国の裏側の資料。『人格移植計画』の成功個体なんだよ。あたし達は」


「国の裏側って……!」


 そう、僕たちはただの一般人。国の裏側に関係してるなんて思いもしなかった。だからこそ、僕は驚きが隠せない。


「君が驚くのも無理はないよ。でも、知ってしまったなら仕方がない。あたしに協力してほしいんだ」


「協力って、いったい何を?」


 国の裏側を知った所で、口外しなければ大丈夫なはず。言わなければ問題ないと思っていた。でも、その考えが甘かったことを、僕は近い将来感じることになる。


「あたしと一緒に、これから先被害に遭うかもしれない子供たちを助けてほしいんだ」


「これから先被害に遭うかもしれない子供たち?」


「そう、君や美鈴ちゃんそしてあたしのような被害者を出さないために」


 被害者、つまり僕たちの()()()のことだろう。


「これからも僕みたいな人が?」


「増えるかもしれない。だからこそ、あたし達の『異質な物質マテリアルオルタナティブ』に入ってほしい」


「そんな中二病な所に入りたくない」


 即答である。え、だって中二病じゃん。


「美鈴ちゃんもいるけど?」


「よし、入ろう」


「即答だねっ! ほんとに!」


 乙姫は呆れているが、その呆れの中に優しさが見えている。


 ここで智美と医師が入ってきたので話は区切られた。


 医師との話は要約して言うが、どうやら一か月の間寝ていたらしい。目覚める見込みがなかったのだが今日目が覚めたことに医師はとても驚いていた。あと一日は検査の為に入院し、異常がなければ帰って良いそうだ。


 ――次の日 水書家――


「本当に、すいませんでしたァァァ!!」


 それは、唐突だった。玄関を開けるとそこには、鱗弥(りんや)と小日向さんが土下座していた。この時の対処法は一体何なのか。そもそも、何故土下座? ちょっと僕には分からない。


「うん、なんで土下座?」


 あ、考えてることそのまま言っちまった。まあ、しょうがないよね! みんなあることだよね!


「俺は、お前の考えをくみ取れなかった! これは俺の失態だし、信用を失ったのも事実だ! でも俺はお前の友人として、お前を信じる! だから、晴人をを信じてる俺を、どうかこれから信じてほしい!」


 すごく、聞いたことのあるセリフを言われて、一瞬どうしようか迷ったよ。でも、心に響いたのは確かだ。


「わ、私も!噂とかを鵜呑みにして水書君のことをちゃんと見れてなかった! これからはちゃんと水書君を見て判断するから!」


 なんというか、二人とも謝ろうと思ってくれてたんだな。()()()そんな人いなかったのに。


「うん、僕ももう気にしてないからいいよ。だから、顔あげて」


 ――水書家 リビング――


「さて、ここにいる人たちは全員あたし達の組織に入るってことで良いんだよね?」


 乙姫が聞くと、みんな頷く。鱗弥と小日向さん、そして智美までもが参加するらしい。でも、やっぱりネーミングセンスがないな。


「組織の目的はただ一つ。子供たちの救済と保護。表向きは非営利組織として活動することになるよ」


「どんな子が救済と保護の対象になるの?」


「あたしや美鈴ちゃん、それに晴人君みたいな孤児院出身の子たち。必要があれば家庭のある子供も対象になるよ」


 つまり、ここが表向きの活動か。自動相談所みたいな活動になるな。


「特に、研究所に連れていかれる子を優先的に保護するの」


「研究所に連れていかれるとどうなるんだ?」


 ここで、鱗弥が質問を投げかける。何も知らない鱗弥達にとってそこら辺は知っておかなければならないだろうと思っていた。


「研究所に連れていかれると、人体実験の被検体として使われる。あたしたちもその被害者だよ」


 そういうと、僕たちはまるで予め準備していたかのように眼の能力を解放した。僕は蒼色、岩代さんは赤色、そして乙姫は金色に変化した。


「晴人君のご両親の残した資料のおかげで詳しいことが分かったの。あたしの眼の能力は『干渉』。他の人の眼の能力に干渉して弱めたり、打ち消したりできる力。美鈴ちゃんの能力が『読心』。特定の人を除いて、人の心を読むことができる力。最後に晴人君。これが一番厄介なんだ」


 乙姫は一呼吸おいて話し始めた。


「晴人君の眼の能力は『王』。ありとあらゆる生命の頂点に君臨し、支配する力。その力は強大だよ」


 王……。それを聞いた瞬間、僕の中に何かが芽生えた。


 それは……。


『  』


 続

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