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嫌われ者の僕に彼女ができました。  作者: 須道 亜門
嫌われ者とデレデレ妹
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アフターストーリー:彼らの行く彼方

一ヶ月も寝れるのは地味に羨ましい。

 兄さんが意識を失ってから、早くも一ヶ月が過ぎました。私は妹として、家族として毎日お見舞いに来ています。でも、一度も目を覚ましません。声をかけても、ゆすっても、泣いても。兄さんは目を覚ましませんでした。先生によれば、後一ヶ月、目を覚まさなければ覚悟を決めたほうがいいと言われました。私は、私にはどうする事もできない。


 ◇ ◇ ◇


 あの日、智美(さとみ)ちゃんから連絡があった日に、俺は急いで晴人の家に急いだ。割と近くに住んでるおかげで、救急車が来る前に着いた。急いで家の中に入ったけど、そこはひどい有様だった。散らばっている紙、倒れている晴人、泣き叫ぶ智美ちゃん。そして、目に付いてしまった養子縁組届。これが何を意味するのかを理解してしまった俺は、ひどく動揺してしまった。


 病院について行く中で美鈴にも連絡した。智美ちゃんの背中を擦るが一向に泣き止む様子がない。それもそうだ。両親を亡くして、唯一の肉親が血の繋がらない兄だった。それだけでもひどい事実だ。そんな中でも兄を心配し涙するのは、そんな事実をつきつけられていても、兄である晴人のことを家族として想っているからかもしれない。


 俺は、どうするべきなのか。ひたすら考えて、考えて。出てきた答えがある。


『失って、裏切ってしまった。でも、信用されてないから見捨てたり諦めるわけじゃない。反省をしたなら、信用されなくとも、全力を尽くしてまた信用を得ようと努力する人は前がどうであれ、良い奴だ』


「そうだよな。見捨てたり諦めたりしたら本当のクソ野郎だよな。晴人」


 俺の中に、あの時の晴人の姿と声が生きている。あの、眩しい笑顔を向けた晴人が。だからまずは、智美ちゃんにちゃんと謝ろう。そして、晴人が目を覚ましたときにも、ちゃんと謝ろう。


 ◇ ◇ ◇


 麟弥(りんや)君からの連絡を受けて、急いで家を出る。晴人君が倒れた。その一言を聞いた瞬間に私は動き出していた。倒れた。それだけでも心臓が止まりそうだった。さっき約束したのに、ちゃんと守るって言ったのに。その約束がもう破られてしまった。妹さんは大丈夫なのかしら? 考えれば考えるほど、物事がどんどん悪いほうに行ってしまう。とりあえず急がなきゃ!!


 病院の病室、部屋には三日月の月明かりが降り注いでいる。ベッドには晴人君が横たわり、静かに寝息をたてている。その様子を見るだけでも、私は安堵し、涙を流した。生きている、きっと目を覚ます、そんな希望が私の中には芽生えた。


「ごめん……なさい……」


 後ろから聞こえてきたその謝罪は、泣きつかれて寝てしまった妹さんだった。先ほどからうわごとのように謝り続けている。私は少しだけ眼の力を使って、その心の中を見た。しかし、彼女が謝る理由がどうしても見当たらない。すべて偶然が重なり合った結果である。もし謝るとすれば……いや、他人のことについて語れるほど、私はきっと人が出来ていない。こうやって覗き見をしている時点で人であるのかも分からないけど。


 あれから一ヶ月、目を覚ますことなく夏休みを迎えてしまった。智美さんからより詳しいことを聞いた。私と晴人君ともう一人が実験の成功個体であり、両親と血が繋がっていなかった。私はそれを聞いてから両親に聞いてみた。……本当だった。でも、私は一人っ子だったのであまりダメージはなかった。でも、智美ちゃんのいる晴人君にはつらい現実だったかもしれない。


「晴人君、目を覚ましたらどこかにお出かけしようね。智美ちゃんも麟弥君も連れて」


 私は晴人君の病室から出ようとした時、突然ドアが開きフードを被った人物が入ってきた。


「君は彼の友人かい? ……その眼、なるほどな。能力者は惹かれあうとは言ったものね」


「あなたは? 晴人君に何の用事ですか!?」


 私は直感的に恐怖を感じた。この人、心が読めない。それに眼の力。なら、この人は……。


「そう身構えないでほしいな。あたしは彼を救いにきたんだ」


 その眼は金色に輝いていた。


 ◇ ◇ ◇


 声が聞こえる。


 その声が起きろと叫ぶ。


 ……起きたくない。


 まだ寝ていたい。


「お前は智美を置いていくのか」


 その声がしたとき、僕に一つの光が降り注ぐ。


 僕の家族。


 たとえそれが、作られた……血のつながりが無い関係でも。


 僕に残された最後の家族。


 起きよう。これ以上寝てる訳にはいかない。


 to be continued


挿絵(By みてみん)

次回、新たに出てくる眼の能力者。

それは不思議な少女で?

第三部第一話:金色の少女


僕らは新たな関係になる……。

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