第六話:絶望は嫌われ者を壊す
僕は、妹と母さんと父さんと……血がつながってない。それは、自分が嫌われ者である事実よりも大きな傷だった。自分だけ、家族じゃなかった。この事実がいつまでも心に突き刺さる。僕は端から僕じゃなかった。いつまでも心の中で木霊する。じゃあ……僕は誰だ? 僕の存在ってなんだ? 僕は必要な存在だったのか? 考えがまとまらない。
「もう……死んでしまいたい」
その一言が、自分で言ったその一言が。最後の糸を断ち切ることになる。
◇ ◇ ◇
「兄さんっ!!」
兄さんが力なく倒れる。それを支え、兄さんに声をひたすらかける。私は、焦っていた。兄さんが泣いている。兄さんが兄さんじゃない。自分もまだ整理がついてない。でも、今ここで兄さんを何とかしなければ、私は絶対に後悔する!! 考えなきゃ! 病院、それも医療技術の高い大学病院! 私は急いでスマホを取り出し、消防に連絡する。まずは救急車を呼ばなければいけない。
「もしもしっ! 救急車を! 兄が倒れたんです!」
消防はすぐに駆けつけるので、その間に連絡を入れなきゃ……。まずは学校、兄さんの学校に連絡を入れて、その次に麟弥さん……でも、麟弥さんは、兄を裏切った。そんな人を呼ぶの? ……今は私怨でどうこう言ってられない! 私は麟弥さんに連絡をすることにした。……なかなかでない。ためらっているのか?
「もしもし……。麟弥です」
「麟弥さん、私です、智美です」
「何か用かな?」
「今は私怨でどうこう言う暇がありませんのでこの前のことには触れません。なので今すぐ私の家きてください!」
「……わかった。でもどうし――」
「兄さんが、倒れました。今救急車を呼んでますが場所が場所なだけに担架が入れないので、兄さんを運ぶのを手伝ってほしいんです」
「晴人が倒れた!? わかった、すぐ行く!」
その一言を聞いた後、通話を切る音が聞こえた。兄さんは起きる様子はなく、ただ兄さんの顔は苦渋に染まっている。私はいつだってそうだ。兄さんを困らせて、迷惑をかけている。岩代さんとの約束こんなに早く破ることになるなんて……。
◇ ◇ ◇
……暗い。自分が立っているのか、倒れているのか、浮いてるのか、落ちているのか。わからない。でも、もう分からなくていい。理解しなくていい。自分がどこにいようと、きっと僕は必要のない人間なんだ。いや、人体実験の被験者であるから、もう人間ですらないかもしれない。起きたくない。起きたらまた、事実が僕を喰らうだろう。
「君はそうやって、また諦めるのか?」
声がした。僕の声ではない。そして、自分の知り合いにもいない声。
「現実が怖いから、また逃げるのか?」
どうでもいい。もう疲れたんだ。諦めて、逃げて、怯えて。僕は元々強くない。仕方ないことなんだ。そもそも、自分の名前も言わない君なんかに僕の何が分かるというんだ。
「俺はいつも、君を見てきた。君のことなら誰よりも、君よりも分かっている」
いつも見てきた?
To be continued
次回、それぞれのアフターストーリーの後に第三部にうつります!




