第四話:妹は兄を想う
岩代さんを送ってからまだ時間もたっていないが、智美は晩御飯の準備を再開した。僕は特にやることもないから、ソファーでゆっくりしている。僕たちの両親が亡くなって、二人になったときはほんとに辛かった。多額の保険金に賠償金、僕たち兄妹が大学まで行けるほどのお金が入ってきたが、僕も智美も心の傷が癒えることは無かった。いつもいた人がいなくなる。それだけでも、智美には辛いことだろう。葬式に出ても、智美はずっと泣いていた。でも、僕は泣けなかった。何故かはわからないが、泣いてはいけないような気がしたんだ。僕の中では、きっと妹を守るために泣かなかったと思っている。だからこそ、今まで智美には涙を見せたことがない。きっと、見せたら何かが変わってしまう気がしたからだ。
* * *
兄さんはソファーでゆっくりしている。そんな中、私は晩御飯の準備を再開する。体が動きを覚えているので、簡単なものを作るときは考え事ができる。岩代さんの言っていたことが本当なら、兄さんの目が青く変色するには何かある。そう踏んでいた。兄さんの青い目を初めて見たのが私が小学校六年の時。兄さんは中学校一年だった。苛められていた私を見つけ、苛めっ子たちの親に謝らせるほどあの目には何かあると思った。なので、私は兄さんに聞いてみることにした。
「兄さんはなんで目が青くなるの?」
ここで遠まわしに聞けばあやふやにされると思った私は直接的に聞いてみた。
「うーん、僕にも分からないけど気づいたら青くなってたんだよなぁ……」
「パパやママにも聞いたりしたの?」
「聞いたけど、お前は知らなくていいって言われた」
お前は知らなくていい? おかしい、私の記憶が正しければ、パパやママは子供の何気ない質問にもちゃんと答えていた人たちだった。決して知らなくていいなんていう人たちではないのだ。なので、私は兄さんにある提案をした。
「私たちのパパとママって研究学園都市の研究所の研究者だったんだよね?」
「確かそうだと言ってた気がする。でもなんで突然両親の話を?」
「今日、晩御飯を食べたらパパとママの部屋に行こうと思うの」
◇ ◇ ◇
それは、ほんとにびっくりすることだった。今まで僕たち兄妹は両親の部屋に入ったことがない。両親の部屋には絶対入るなと、亡き両親たちから常に言われてきたからだ。でもなぜ智美は両親の部屋に行きたがるのだろう?
「父さんや母さんから入るなって言われてただろ? 言いつけは守らなくちゃ」
「もういない人たちの言いつけなんて時効だよ。それに、もしかしたら兄さんの目について分かるかもしれない」
智美は両親の死を割り切っているようだが……。でも僕の目についてって言うのは気になるな。
「……晩御飯食べた後の少しだけだよ?」
「分かってるよ! 妹のお願い聞いてくれる兄さんだーいすき!」
智美もブラコンになったものだ……。僕もシスコンかもしれないけど。
To be continued
感想いつも読ませてもらってます!答えられる質問などには返信をしているので見てみてください!ブックマークもお願いします!




