第三話:嫌われ者は笑う
「目に異常って、どーゆうことですか!」
私はついカッとなって言ってしまった。兄さんは……普通なのだ。親を亡くし、泣きたくても妹の為に泣かず、周りから疎まれ、拒絶され、切り捨てられてきた。それでも、兄さんは……。
「私の目には人の感情が見えるの。ごく一部の例外を除いて。だから、妹ちゃんの気持ちはわかる」
「……なら、兄は?」
「晴人君は私とはまったく別のものだと思う。詳しくは分からないけど、目の力が体外にまで漏れ出しているから……私より強力な能力なのは、それだけは分かる」
私は、どうしたらいいのか分からなくなった。この件に関しては、何か触れてはいけない何かを感じている。形容しがたい黒い何か。
「ねぇ、妹ちゃん。家では晴人君のこと、支えてあげてくれないかな?」
「そんな事、言われなくてもやりますよ。でも何故?」
「学校では私が支えるけど、クラスが違うから限界がある。でも家族が、家という最後の居場所があれば最悪の事態にはならないと思うから」
私はびっくりした。ここまで兄さんを考え、常に数手先まで予測をすることに。
「わかりました。学校ではよろしくお願いします。ですが」
「ですが?」
「もしも貴女が兄さんを裏切ったら……その時は覚悟してください」
「わかった」
私は彼女を、兄さんを好いている彼女を信じることにした。そんな時に、上から階段を下りる音が聞こえてくる。外は日も傾き、部屋を赤く染める。
「智美、ごはんでき……」
兄さんがリビングのドアを開けながら言いかけた。その目は岩代さんを捉えていた。
* * *
今起こったことを説明しよう。昼寝から起きたらリビングに岩代さんがいた。何故?
「えっと、岩代さんは何故ここに?」
僕は岩代さんに聞いてみる。この前めちゃめちゃ感じ悪く帰ったの怒ってけじめつけろとかじゃなければいいんだけど。
「この前から元気が無かったので心配になって家に来たんです。この前はごめんなさい」
岩代さんが謝った。それだけでも驚くべきことだ。しかし、この前のは完全に僕の失態だ。謝るのは僕だ。
「岩代さんが謝ることじゃないよ。感じ悪く帰ったのは僕だし」
「ならこれでこの前のことはお互いに気負いしないようにしませんか?」
「それでいいと思うよ」
久々に僕は笑った。笑うってこんなにも暖かったんだ。どうやら岩代さんは帰るらしく、玄関まで見送るために行く。
「晴人君、明日から一緒に学校に行きませんか?」
「ふぇ!? だだ大丈夫れひゅ」
盛大に噛んだ。突然だったから仕方ないよね。うんうん。
「良かった! じゃあ明日は迎えに行きますね!」
そう言って玄関を出ていく岩代さんに手を振った。岩代さんのあの赤い目がとても印象的だった。
* * *
東京 某所
「被検体ナンバー十七。ナンバー十四と接触。変化、特にありません」
「そうか、引き続き監視と調査を続けろ」
「はっ!」
やっと見つけたぞ。心を読む目とありとあらゆるモノを恐怖し恐れさせる王の目!
To be continued
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