第9話 試験
俺達はテトさんと分かれてから、スグにギルドへと向かった。
意外にも時間が過ぎていたみたいで、俺の飛び級試験の時間がもうすぐらしい。
「あの、飛び級試験をするイフリスなんですが」
「飛び級試験ですね。ギルドカードをお見せください・・・・・・はい。確認いたしました。試験監督をお呼びしますので少々お待ちください」
そう言って受付のお姉さんは奥へと入っていった。
「イフリスさんなら絶対にいけますよ!私も見ているので頑張ってください!」
「見ているってどこでやるんだ?」
「ギルドの裏にある闘技場です。観客席もあるので私はそこから見てますよ。それと気おつけた方がいいんですけど、試験監督によって色々違うみたいなんですよ。私の時は魔力を高めて的を撃ち落とす、みたいな感じでしたけど・・・・・」
「心配すんな。受かってくるよ」
俺はリリの頭にポンと手で叩く。と言ってもそこまで身長差がないので以外に厳しかったが。
『イフくんも色々わかってきたじゃん!いいねいいね。その無意識でやってる感じがいい!』
何を言ってるんだ・・・・・・。
いつも通りのミルルにすこしホッとしながらも俺は試験監督を待つ。
そして、受付のお姉さんが戻ってきた。その後にはゴッツイ男がついている。右目は眼帯をしていて上半身裸。ズボンはところどころ破れていて、背中には大きな剣を携えている。
「それではイフリス様。こちらへどうぞ」
俺は案内されるまま闘技場に向う。
途中で
「おいおい。あんな女の子が飛び級受けるのかよ」
「そりゃあ誰でも上に行けるチャンスがあったら受けるだろうよ。失敗しても何にもないしな」
「だけどよ、試験監督よく見ろよ。あいつガンダじゃねえか」
「ホントだ・・・・・・。死なないように頑張ってくれよ。女の子」
という不吉な会話が聞こえた。
どうやら見た目通りの悪さらしい。
「ここが闘技場です。上へお上がり下さい」
闘技場は、俺の思っていた通りの感じだった。中心に盛上がったステージがあって、周りを囲むように席がある。
「それでは、ガンダ様。試験内容はどのようなものでしょうか」
向かいあうようにたった俺たちをみてから、お姉さんはガンダに聞く。
「ふんっ!こんなガキの女を相手させられるとは付いてないじゃねえか。まあいい。ここでぶち殺してもいいんだろ?」
「はい。ですが、無理難題を押しつけることは不可能です。どちらも公平と判断された時に・・・・・・」
「うるせえ!んな事は分かってんだよ。・・・・・・それじゃあ俺と一騎打ちでもしてもらおうかな」
何言ってんだこいつ・・・・・・。
こんな可愛らしい女の子(の姿)を本気で殺す気か!
『な~にイフくんも乗ってるのよ。さっさとやっちゃえ!』
ちょっとふざけたらこのざまかよ。まあいいや。さっさと休みたいし、終わらせますか!
「いいぜ。野郎じゃねえか」
「はっ!姿と口調があってねえな!面白い!やってやろう。お前は魔法派か?剣か?」
「剣だ」
そう答えて俺はスキル収納から剣を取り出す。
「よし。ならこっちから行くぞ!」
・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・。
「勝者 イフリス!」
そう宣言する声と同時に観客席から声が上がる。
意外にも人がいたみたいで、その中を見ると喜んでいるリリも見えた。
それにしてもガンダという男。弱い!
あんなかっこいい事言ってたけど俺に斬りかかってきた剣をカガックがやっていたように弾いてから、よろけた所を剣の側面で思いっきり叩く。
すると、いとも簡単に伸びてしまった。
さっきのは何だったんだ・・・・・・。
ちょっと強者の雰囲気だしやがって。
『うんうん!イフくんの成長が見られて嬉しいよ!』
「それは良かった」
ミルルも喜んでくれているみたいだ。
そして、俺は闘技場から降りてギルドへと戻る。
するとリリがいきなり飛びついてくる。
「凄いです!あのガンダをあんなに一瞬でたおしちゃうなんて!さすがイフリスさん!」
「お、おい。ちょっと周りから見られてるって・・・・・」
「あ、すいません!嬉しくてつい・・・・」
えへへと笑うリリ。
リリはどうやら自分の感情に素直な子みたいだ。
そこで、先程の受付のお姉さんが預かって貰っていたギルドカードを返してくる。
ギルドカードを見ると6級から5級へと変わっている。
「進級おめでとうございます。これから4級となりました」
「ありがとうございます。それと、ひとつだけ聞きたいんですが、カラーランクになるまでどれくらいかかりますか?」
「人によりますが、大体20年ほどでカラーになる方が多いですね」
に、20年・・・・・・。大会まであと2年。
行けるのか?
「そんなことより!勝利を祝ってちょっと飲みに行きましょ!」
そう言ってくれているリリをほっておくわけにもいかず、とりあえず不安を置いておいて酒場に向かった。
♢
「凄くなかったか?」
「ああ!あんなに強いとは思わなかったよ!」
「あんな女の子がガンダに勝つなんてな」
「それより知ってるか?ーーーーーー」
俺たちは酒場に入り、2人ともジュースを頼んで席に座る。この世界では16歳から大人認定されるようでお酒も飲めるが、流石に気が引けた。リリも飲んでいないようだしな。
「それよりなんでこんなに騒がしいんだ?」
ギルド内は何故か俺が闘技場に行く前とは違う騒がしさになっている。
「イフリスさんがガンダに勝ったこともなんですけど、さっきの観客席に勇者様がいたらしいんですよ」
そう小声で教えてくれるリリ。
どっちの勇者だ?と聞くと
「もちろん聖剣様ですよ!私も見たかったな~。大ファンなんですよ」
勇者だと?なんでアイツがここに・・・・・・。まさか俺が殺しに行くことがバレたか?
いや、そんなわけが無い。ならどうして・・・・・・
『どうだろうね。私が見たところでは敵意は無かったよ~』
『そうか。たまたまか?』
『たまたまってこともあるけど不自然だよね。なんでピンポイントでこの街のこの時間のイフくんの番に見に来たのか・・・・・・』
「身をつぶって考えてどうしたんですか?」
俺達が必死に考えていると、心配そうに声をかけるリリ。
くそ。リリの大ファンを殺さないといけないのか・・・・・・。
リリがそれを知ったらショックを受けるだろう。
どうする?やめるか?それだとお父さんとお母さんが浮かばれない。
「ああ。ごめん」
取り敢えずここでは言わないでおこう。今じゃない。
そして、俺たちは色々な事を話しながら、これからの事をきめていった。




