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第13話 アイアン

「リリちゃん。よく来たね」

「ゴル爺さんこんばんわ」

「どうもです」


俺たちはゴル爺の部屋に来ていた。

ゴル爺は、なにやら調べていたようで、大量の本が積まれている机の前にいる。


「なにか分かったんですか?」

「ああ。ものすごいことが分かった。まずこれを見てくれ。これはトバル日記と言って、数十年前に世界を旅したトバルの日記だ。トバルとはシルバープレートまで上り詰めた冒険者なんだ。そしてこのページ」


そう言って渡されたのは一冊の古い本だった。

表紙にはトバルと書いてある。

そして、ゴル爺に言われたページを見ると


…………………………………………………………………………………………

9月14日


今日はものすごいものを見た!大興奮だ!

昼時に僕は昼ごはんのリンゴを食べながら森を歩いていたんだ。そうしたら、いきなり巨大な影が出てきたんだ。

そしてそれをよく見ると、大きな剣だったんだ!

その剣は魔力を出さずに自分を振り回して攻撃してきたんだ。

だけどそこまで強い敵ではなかった。件で真っ二つに切ったら中から魔素が大量に出てきて、そっちの方が危なかったけどな!

僕はこれをアイアンと名ずけた。いい名前だろ?

世界には色々なものがあるんだなと感じた日だった。


…………………………………………………………………………………………


と書いてあった。


「どうだ?この鉄の魔物。あらためアイアンはこんな昔にも発見されいたんだ。だが、魔物専門のワシでも君たちがこの鎧型アイアンは君たちが持ってくるまで見たこともなかった」

「・・・・・・」

「こんなもの、学校でも習わなかったです」

「そして、もう一つ驚く事がある。リリちゃん。魔物の核と人間の魂の違いはわかるかい?」

「えっと、核は体を動かすだけしか出来ず体がないと消えてしまうが、その体を魔力で覆って強力な力を発揮出来る。魂は、その人の記憶や脳、スキルや体の形まで精密に情報が入っていて魂だけでも存在することが出来る、でしたっけ」

「そうだ。よく覚えているね。魔物の核はリリちゃんが言ってくれたように、体は動かせるが、その体がなければすぐに消えてしまう。だけどこの鎧は動いていた。なぜ動いていたのか。それはすぐに分かった。この鎧の胸当ての部分にある痕跡が残っていたんだ。それは・・・・・・『人間の魂』」

「それってもしかして・・・・・・」

「そう。この魔物は人の魂を核として作っていたんだ。しかも、生きた魂をね」


ということは、生きた人間の魂を抜き取って自分の核を使っていたのか・・・・・・。

ということは誰かが作った魔物か?


『なるほど~。なかなかあくどい事をするねぇ』


「誰がこんな事を・・・・・・」

「まあここで考えても仕方がない。一旦部屋に戻ろう」

「そうじゃな。それよりイフリス君。この鎧は私が買い取っていいかね?もう少し研究したいんじゃが」

「分かりました。いくら位になりますか?」

「うーん。金貨4枚でどうだ?」

「え?!そんなになるんですか?」


金貨4枚と言ったら40万ペルだぞ?


「もちろんだよ。新種の魔物を持ってきたんだ。それくらいの値はするさ。ほら受け取った受け取った」


そう言って俺の手に無理やり金貨4枚を渡してくる。

一匹魔物を倒しただけでこんなに貰うのは悪い気してくるが、受け取っておこう。


こうして、あまり後味の良くない話しを聞いた俺たちは部屋へと戻り、早めに寝床へついた







それから1ヶ月が経った。

あの球体アイアンとの一戦から、まだ1匹もアイアンを見ていない。

そして俺たちは必死に修行に励んだ。

俺は未だに『白夜天山』の第三ノ門も習得していない。

リリはミルルが覚えさせようとしているユニークスキルの前段階のスキル『白鳥シーニュ』を習得した。

リリはかなり頑張っている。毎日、回復魔法と火魔法の反復練習を魔力が尽きるまで行い、全回復したらその繰り返す。

俺はひたすらミルルの修行メニューを行っている。

そして、今日から実践練習とランク上げをする。

俺たちは今森に潜っていて、受けているクエストは「巨硬蟻の討伐」だ。

巨硬蟻とは通常の蟻の数千倍の大きさで、体長1.6メートルの怪物蟻だ。しかも、表面は鉄のように硬い。

4級の最高難易度のクエストだ。


「イフリスさんはどんな1日どんなことしてるんですか?最近いっつも宿にいないような気がするんですけど」


巨硬蟻を捜しながら、魔力を高める修行をしていると、リリがそう聞いてくる。


「俺の?・・・・・・聞くか?」

「もちろんですよ!パートナーの修行くらい知っておかないと!ちなみに私は

7時~ 起床

8時~9時 朝ごはん

9時~11時 自由

11時~12時 昼

1時~5時 魔法反復

6時~9時 入浴 夜ご飯 自由

9時~11時 魔法反復


です。意外にきついんですよ? 」

「そ、そうか・・・・・・ほんとに聞く?」

「何でですか?聞きたいですよ」

「5時~ 起床

6時~12時 素振り

12時~12時30分 昼飯

1時~8時 素振り スキル強化 魔力強化

8時~9時 1週間に1回の耐久テスト

10・・・・・・ 」

「もういいですもういいです!・・・・・・耐久テストってなんですか?」

「街裏の崖から落ちて、生きてたら成こ・・・・・・」

「もういいです!・・・・・・なんか私がやってる事が可愛く見えてきたんですけど。辛くないんですか?」

「まあこれを10年以上続けてたから今は何とも。というかそのバケモノを見る目をやめろ!」

「すいません。というかスキル強化って言ってましたけど何個スキル持ってるんですか?」

『それは私が説明しよーう。スキル︙「剣技『中』」「身体強化『極』」「収納『∞』」「剛力」「格闘」でユニークスキル︙「成長グランディールlv8」だよ』

「あー当たり前のようにユニークスキル持ってるんですね・・・」

「というかミルル。lv上がってないか?何獲得したんだ?」

『ああ~そうだそうだ。忘れてたね。・・・・・・「成長グランディール」がlv7~8にレベルアップ。レベルアップにより新スキルの獲得を成功 「激怒『究極』」︙ 怒ると身体を超強化とランダム効果が発動 ・・・・・・だね。なかなか珍しいスキルだね~』

「それ使う時あんのか?」

「ちょーっと待ったー!なに普通に話してるんですか!?レベルって何ですか!スキル獲得って何ですか!ミルルちゃんの口調がなんであんなに変わってるんですか!!」

「説明しないとダメか?」


こうしてまたまたクエスト放棄して俺のスキル説明をした。

そして、俺とミルルの説明をうけて、リリはいっつもの反応とバケモノを見る目をする。


「その目やめろー!」

「いやもう驚きを通り越して呆れてるんです。ユニークスキル持ってる人今までに何人か見たことありますけどそんなにアホみたいな効果してませんでしたよ?」

「アホいうな。というかミルル。このスキルそんなに強いのか?」

「あったりまえジャーン。この私のスキルなんだからね!世界最強のまお・・・・・・」

「ストォッップ!」

「な、なんですか?まお・・・・・・?」

「いや、何でもない!そうだ!はやく蟻探そう!行こう!」

「なんかまたはぐらかされたような・・・・・・」


そんなこんなで俺たちは再び蟻捜しへと移行した。

蟻はかなり大きいらしいので、簡単に見つかりそうだ。

レーダーもあるしな。


『おっと!いたね~。ここから前方200メートルに3匹いるね。どうする?三匹同時に行く?』

「探すのめんどくさいから行くぞ!」


そう言って俺とリリは走り出す。

リリは杖を、俺は剣を構える。

すると、段々とそいつのシルエットがあらわになる。


き、キモい!


虫嫌いではないおれでも嫌悪感を覚えるそのすがた。

巨大な体。ノコギリのような顎。背筋がヒヤッとくる動きの足。

バケモンじゃないか。

そして、前に宿でゴキブリ(のような生き物)が出た時に悲鳴をあげていたリリはと言うと・・・・・・


「・・・・・・・・・・・・」


だめだ。

完全に思考停止してやがる。


『いいよ!イフくんが行け~!時間は三十秒ねー。用意スタート!』

「ちょっと待てって・・・・・・」


そんな焦らすようなことを言うミルルにイラッと来ながらも、俺は剣を蟻に振りかざす。


ガギッ


虫を切ったとは思えないような音がするが、なんとか切れたようだ。

っておい!ありんこ!剣を噛むな剣を!

強力な顎でガジガジと剣先を噛む蟻。引っ張っても全然解けない。


「このやろっ・・・いって!!!」


格闘スキルを使ってかんでいるアリを殴るが、表面が固すぎてこっちがダメージを受ける。


「リリ!助けてくれ!」

「・・・・・・・・・・・・」

「まだ気絶してたー!!ミルル!どうすればいい!」

『10 9 8・・・・・・』

「数えてる場合かぁ!!」


こうして制限時間をすぎてしまい、次の日の素振りを倍の量にされるのだった。


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