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第10話 初めてのクエスト

俺たちは酒場で二人してオレンジ(のような果実)ジュースを飲みながら今後の事について話していた。


「具体的にはどうするんですか?」

「うーん。まず俺の目的は復讐で、その為には二年後に開かれる大会に出ないといけない」

「二年後って・・・・・・もしかして闘技大会?!無理ですよ!参加条件カラーランク以上ですよ?!」

「ああ。その為にはこれから強くなってランクを上げないといけない」

「・・・・・・ほんとにイフリスさんってデタラメなこと言いますね」

「んな呆れんなよな」

「分かりました。それじゃあ私だってできる限りのことはお手伝いします。それと、なんで闘技大会に出ないといけないんですか?優勝してお金が欲しいんですか?」

「ごめん。それはまだ話せない。いつか話す時がきたら話すよ」


ここではまだ「復讐の相手が勇者」ということは言ってはいけない。

前に大ファンって言ってたもんな。


「そうですか・・・・・・。まあいいです。それじゃあ今日は早速クエストでも受けましょう!」


そういってグラスを戻してから掲示板の前に立つ。

何だか頼もしいな。仲間が出来るってのは。

よし!気合入れて頑張るぞ!


「あ!言い忘れてましたけど闘技大会に出るのはメンバー4人ですよ?」

「ええ?!」





「おいおい。マジかよ・・・・・。四人って聞いてないぞ?」

「はい。数年前までは一対一でやっていたんですが、カラーランクの人数が増えてきたのでそうなったみたいです確かシルバーランクは二人で出れるらしいですけど、シルバーランクになるには最低でも十年冒険者をやらないといけないので出来ませんね・・・・」

「そうかぁ・・・・・・」


たまたまリリとチームを組めたけどあと二人仲間に入れるなんて出来るのか?


『私の予想だとあと二人も女の子になる!』

「なんの予想だよ」

『魔王の勘!』

「誰と話してるんですか?」


あ、つい喋っちゃったよ。

目をつぶらないといけないってめんどくさいな。


『魔王ってこと隠せば話してもいいんじゃない?時々精霊と契約しててる人もいるしね。まあ魂がくっついてるってのは全然無いけど~』

「そうなのか」

「だから何と話してるんですか!」

「ああ、すまん。このクエストが終わったら話すよ」

「な~んかイフリスさんって隠し事多いですよね~」


うっ。怒らせちゃったかな。

取り敢えず話しを変えよう。


「そ、そんなことよりさ!今回のクエストは何なんだ?」

「・・・・・・。はぁ。今回のクエストは、オーガの討伐です」

「オーガって強いのか?」

「はい。4級のクエストではかなり上位のクエストですね。力が強くて耐久が高いです。その分素早さが少ないですけど」

「そうか。それよりどのくらいリリは戦えるんだ?魔術師何だろ?」

「はい!一応回復適正はあるんですけどテトさんみたいに上手くできなくて・・・・・・。それでも火魔法はかなりの腕なんですよ!」

「そうか。・・・なんか随分魔法の事好きなんだな」

「は、恥ずかしいです・・・・。私元々王都の生まれだったんです。それで、かなりの貴族の子供で、いい所に嫁ぐためにずっとお勉強ばっかりだったんです。でも、そんな時にお父さんの書斎で魔法の本があったんです。それに書いてある方法で適性を調べたら魔法の才能があったんです!それで、お父さんとお母さんに内緒で必死に魔法の勉強をして使えるようになったんです」

「なるほどな」


リリの昔話に少しほっこりしつつ、街を出てオーガの出現場所の森へ入る。

森の中は木や草が生い茂っていて、かなり見通しが悪い。この状況で襲われたらリリを守れる自信が無いぞ?


『頑張れ!イフくんなら出来る!』


ほんとに他人事のように話すな。

リリは少し怖いようで俺の服の裾を掴んでるし・・・・・・。

こんなのでカラーランクになれるのか?


「不気味なところですね・・・・。なんだか怖いです」


更にギュッと服をつかむ。

頼ってくれるのは嬉しいんだが、ちょっと首がしまってますリリさん!


ガコンッ ガコンッ


いきなりそんな音が森に響く。

これがオーガの足音か?こんな鉄と鉄がぶつかるような音が・・・・・・。


『左方向に魔素の反応があるよ~。なんか私の解析が邪魔されてるからかなりの強者だね~』


俺はそれを聞いて進路を左に変える。

音は次第に大きくなっていく。

・・・・・・いた!なんだ?あれは。鎧が動いてる?かなりの大きさの鎧だが動きが人に見えない。


ガコンッ ガコンッ ギギィーー


「こっち見たぁ!」

「ちょ、声大きい!」

『わお。いきなりホラー回』

「んな事言ってないで早く解析しろよ!」

『ホイほーい』


俺たちはミルルに解析を任せて必死に逃げる。

倒してもいいのだが、どんな魔物なのか分かる前に行くと危ない。


『・・・・・・んん?なんだこりゃ。わたしが知ってる魔物じゃないね・・・・・・。なるほど。魔素が固まって・・・・・・ふむふむ。それがこうなって・・・・・・』

「一人で納得してるんじゃねえ!なんだありゃあ。森にいた時にあんな魔物いた?」

『多分これは魔物じゃないね~。魔素が固まって固まって核が作られてるんだね。そして魔素が鎧を体にして動いてるんだ。だけど体ないのにあんなに核は安定するかな~?』

「倒し方はぶった切ればいいのか?」

『そうだけど粉々にしないといけないよ~。動物の体と違って限界がないから動けなくなるくらいに切り刻んで!』

「了解!」


俺はリリをそこに置いてUターンする。どうやらかなり走る速度は遅いようだ。

『収納』から剣を取り出して構える。


白夜天山びゃくやてんざん第八ノ門 刻斬こくざん!」


俺は近距離まで近づいて粉々にする。

この技は剣をすごい速さで動かして切り刻む技だ。

別にむやみやたらに振り回してるわけじゃないよ?


どうやら鎧の中から魔素が抜けたようで、細切れになった鎧がガチャンガチャンと崩れ落ちる。

ふう。

いきなり未知の魔物と出会うなんて幸先が悪いな。


「大丈夫でしたか?」

「ああ。これってギルドとかに報告した方が良くないか?こいつかなりのもんだぞ?森の浅い所でこの強さの魔物が出ると危険だし、見たことない魔物だ」

「そうですね。持っていきましょうか」


そう言って俺たちは鎧の破片を集める。

『収納』を見せたらリリは驚いていたが、なるべく慣れてほしいものだ。



いや・・・・・・だ・・・・・・


「リリ。なんか言ったか?」

「はい?なんにも言ってないですよ?」


殺す・・・・・・ぶち殺す・・・・・・


「なんか聞こえないか?ガラガラの男の声」

「いえ、聞こえませんけど・・・」


羽・・・・・・付きめ・・・・・・


「羽付き?なんなんだ?」

「私も今聞こえました・・・・・・。オーガを倒せてないですけど早く帰りましょう。日も落ちてきましたし」

「そうだな」


そして、俺たちはさっきの声のことが気になりながら、暗くなった森から出ていった。





イフリスとリリが鎧の魔物を倒して、そこから離れた後、木の上に座って足をブラブラと振っている女がいた。

女はイフリス達の背中を見ながら一言呟いてまたたく間に消えた。


「実験は、成功っと」



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