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中間色々夢現  作者: 朝霞ちさめ
~夏~
2/25

公立バレー部ものがたり

 夏休み。

 小学校の頃はひたすらにお休みが長くある事を楽しんでいたような記憶がある。

 そしてそれと同じくらいに、宿題の山に頭を抱えていた記憶も。

 中学校でもやっぱり宿題は大量に出たので、もうめんどくさいしと、どうしても時間がかかるもの以外は夏休みが始まったその日の間に全部終わらせた。

 というのも、夏休みに入って早々、僕たちにはやらなければならないことがあったからだ。僕たちにはというかバレー部には。

 そんなわけで、大会。

 中学校の大会は大きく三回に分けられる。地域予選、地区予選、そして全国大会だ。全国大会に出場する方法は至って単純、勝てば良い。実際、地域予選から全部勝たないといけないものらしいので大変だった。一日に複数試合やるから余計にね。

 僕たちの学校として、スタメン扱いされたのは正セッターに土井先輩、キャプテンに鳩原部長、主にアタックを担当する漁火先輩と、攻撃以外もそつなくこなす風間先輩に水原先輩。ここまでの五人はほぼ固定。六人目は誰になるかと言うと、曲直部くんか郁也くんのどちらかなんだけど、これがなかなか難しい。

 曲直部くんを置けば攻撃から防御まで、とりあえずはこなすことが出来るだろう。ただしそれだけだ。現状ではまだ、やっぱり二年生ほどには動けない。

 一方で郁也くんを置けばことセッターやサーブにおいて無類の強さを発揮するだろう。ただし体力面で少し問題があって複数試合を連続でこなせるかというと微妙なところがあり、体力面での問題を考慮せずともトスとサーブ以外においては平均を劣る。大分マシにはなったとはいえ、レシーブやスパイク、バックアタックなどの攻撃面では曲直部くんのほうが上なわけで……。

 結局は顧問の小里先生と鳩原部長、そして張本人である曲直部くんと郁也くん、そしてセッターということで土井先輩に加えて、紫苑学園の美土代先輩から紹介されたコーチ、春川さんもその場に交えて相談が行われた。

 結果から言えば、基本的には曲直部くんがスタメンに入る。ダブルセッターにはロマンがあるけど、郁也くんが攻撃をできないとバレた時点で機能不全になるだろう、という理由で。

 郁也くんもそれに同意した。そして同時に、セッターの交代についてもいくつかの目安が提示され、それを土井先輩も郁也くんも呑んだ恰好になる。

 ちなみに僕は当然のようにリベロとして参加する。

 そんなわけで僕たちは地域予選を無事に突破し、地区予選もそつなく突破、ついに全国大会へと駒を進めるに至ったのである。

 が。



「それでどうしたんですか、小里先生。それに、春川コーチまで……」

「済まないな、呼び立ててしまって。……うん。少々厄介な事が、起きた」

 申し訳なさそうに小里先生は鳩原部長の問いに答えた。

 決勝トーナメントを目前に控えた最後の練習、を終えて、皆が帰り支度を進めた後に残るようにと止め置かれたのは、鳩原部長、土井先輩、郁也くん、そして僕の四人で、僕たちは会議室へと通された。

 ……この学校、会議室なんてあったんだな。なんて思ってしまうほどには影の薄い設備だ。教室の反対側に扉があるなあとは思ってたけど、まさかこうなっていたとは。地味に入ったのも初めてかもしれない。

 で、生徒側はさきほどの四人、逆に教職員側は小里先生と春川コーチの二人……なんだけど、なんだかずいぶんと気が重そうだ。

「変にごまかしても仕方が無いし、正直に言おう。鳩原。土井。村社。渡来。お前達に頼みがある」

「頼み、ですか?」

 顔を見合わせてから土井先輩が代表するように聞き返した。

 なんか妙な感じだ。

 だいたい、ここに呼ばれている四人というのも妙ではある。

 自分で言うのも変だけど、いわば主力陣が呼び出された恰好だし……。

「次の試合なんだが――」

 とても言いにくそうに、それでも小里先生は言った。

「――負けて欲しい」

「…………」

 真偽判定をかませてみる。嘘は言っていない。つまり本心から、負けて欲しいと思っている。

「全国大会への出場で満足せずに、将来の事も考えて学生としてはどんどん勝つべきだと僕は思いますけど……?」

 気まずい沈黙をごまかそうととりあえず言葉を出してみると、小里先生は頷いた。その横で春川コーチも頷いている。春川コーチは……どっちかというと僕たちのほうに心情があるな、けれど小里先生の理屈も解っているのか、何も言わない、それが妥協ラインってことか。

 小里先生はそう時間をかけずに、ぽつりぽつりと理由を告げた。

 そもそも僕たちが突然全国大会に出場するとは学校の誰もが思ってなかったらしい。勢いはある、けれどせいぜい都道府県の地区大会が限界でその先は無理だと判断されていたわけだ。しかし僕たちはあっさりと勝ち進んでしまった。

 で、いざ全国大会に駒を進めたところで小里先生は校長先生と副校長先生、そして保護者会の会長に呼び出された。おめでとうと褒めて貰えると思ったそうだ、だからその場には春川コーチもついて行った。

 しかし、その場では確かに褒めて貰えたけれど、その直後に問題点を指摘されたのだという。

 予算だ。

 元々この学校は公立校であることもあって、それほど部活動に予算が割り振られているわけでもない。にもかかわらず、この学校の演劇部は全国区、強豪だ。僕も兼部しているからそれはよくわかる。

 そしてそんな強豪である演劇部の為にただでさえ多くない部活動の予算が多く割かれているため、運動部に対する部活動予算は他の学校と比べても少ない。そんな少ない予算で新しいボールやらの道具の購入などもしなければならないのだ、練習試合を組むのだって実は結構厳しい。

 だからこそ、実際に部費という形で生徒側からさらに徴収している。コーチを招く事に学校が消極的だったのはその費用を学校が負担できないからとは聞いていたけど、まさかそこまで切迫していたとは思わなかった。

 で、この前の紫苑学園での合同練習でも結構お金は掛かっている。バス代とかね。にも関わらず、今回は大会。一試合をやるくらいならばなんとか足が出ない程度には調整できそうだ、ただしそれでも今年度の合宿は規模を縮小せざるを得ない。で、大会が行われる場所が遠方だから、一度でも勝ってしまうとホテルで宿泊することになるだろう。そして三度かつともう一泊。言ってしまうと一度でもホテルに泊まるとその時点で足が出るそうだ。

 そんな足が出る状況を打破するためには寄付を募るしかない。私立校ならばそれも特に問題なく出来ただろう、けれどここは公立校。自分の子供が実際にその大会に参加するならばともかく、そうでもないのにはいそうですかと寄付をしてくれる人はまず滅多に居ない。

 だから、一戦目で負けて欲しい。一戦目で負ければ日帰りが出来るから。

 まとめると、こんな感じだった。

「予算……」

「君たちがここまで鮮やかに勝つとは、校長先生達も思ってなかったんだ。もし勝つのだと解っていれば、夏休みに入る前から募金活動くらいはできていたと……、でも、今から募金活動をしても、ね」

「試合まであと三日ですからね」

 郁也くんが眉間にしわを寄せつつ補足した。そう、大会まであと三日。募金活動をするには時間が短すぎる。となると、どこからか資金援助をお願いするしかないな……。

「…………」

 空気が更に重くなったような気がした。やむを得ない、か。

「ならば……」

「先生。例えばです。たとえば、資金的に問題が無ければ、別に負けなくても良いんですよね?」

 鳩原部長の言葉を遮る形になってしまったけど、僕がそう問いかけると、小里先生はうん、と頷く。

「だがね、渡来。結構な額だ。今から募金活動をしても間に合うとは思えない」

「それは同感ですけど。ならば資金援助を頼めば良いだけのことです」

「はあ」

 それが出来たら苦労しないよ、そんな感じに小里先生が曖昧に頷く。小里先生だけじゃない、他の皆もそんな感じだ。視野を広げてもたしかにこれは駄目だろう、けれど最初から無理だと決めつけるのはいただけない。いざとなったら僕が実費を出せなくもないんだけど……、流石に怪しまれるよね。親からも。

 だから他人を使う。別の組織を使えば良いんだ。

「テレビ局か商店街でしょうね。前者の方が多額を出してくれるでしょう、ギャラという形ですけど。とはえテレビ局を使うと言うことはテレビ局側にもメリットを提示しなければならないか……密着取材みたいな形になるかもしれない」

「いや、渡来。お前は確かに大したリベロだけど、密着取材されるほど注目……」

 鳩原部長は途中まで言葉にして、あれ、と首をかしげた。

 そう、バレーボールの選手としては確かに注目はされていない。なんかおかしい、そんな感じで対戦相手からは評価をされていたし、偵察もちらほらと来ていたけれど、だけどその程度だ。一度大会で大暴れしない限りは注目選手とまでは行かず、精々要注意選手止まりだろう。

 けれど。

「されてますよ。選手としては別ですけど、僕としては。ちょっと前にオファーもあったんですよね、密着取材。なのでそのバーター契約に持って行けば、遠征費用くらいは負担してくれるでしょう。代わりにテレビカメラが暫く付いてきますけど」

「…………、良いのか? それは渡来にとって辛い事にならないか?」

「別に、邪魔だなとは思いますけど、辛いとは思いませんよ。何も覚えてないし、別に怖いとかもない。あえていうならカメラがウザいですか」

 戯けて言うと遠慮がちに土井先輩が笑った。郁也くんと鳩原部長はそれぞれに考え込んでいて、どう反応して良いのかと困る小里先生に、いまいち事情を飲み込めていない様子の春川コーチ、か。

「僕はほら、四月の事件でそれなりに目立ちましたから。それに最近になって八年前のあの子も保護された。それもあって、今も警察の人たちが騒がしいし、それに合わせてマスコミも動いてるんです」

「……ああ、あの失踪事件。そうか。君は当事者だったか」

 春川コーチに解説をしつつ、状況を確認する。

 そう、マスコミは今も動いている。それがだいぶ邪魔なのだと喫茶店(パステル)でナタリア先輩を経由して色々と話を聞かせて貰った。来栖冬華、の実姉にあたるナタリア先輩と僕の接触だけでも少し遠くからカメラが向けられてた始末だもんな。

 表向き僕と洋輔は来栖冬華ちゃんの発見に関わっていない、事になっている。それでも僕がナタリア先輩と学年も違う上性別まで違うのに頻繁に会うことで、マスコミは何らかの秘匿をしているのではないかと疑っているようだ。

 真実から言えばその疑いは鋭いんだけど、そんな真実は無かったことに僕たちはしている。よって基本的にはナタリア先輩に話しかけるときは必ず演劇関係の道具を持って行くし、ナタリア先輩が話しかけてくるときも台本を常に持っている。実際、言い訳にはかなり都合の良いアイテムなんだよね。それとなく奇妙な単語を交ぜても演劇の台詞だと言い張れば良い。

「とはいえテレビカメラ。邪魔だよね」

 そして案外辛辣な郁也くんだった。

「やっぱりそう思う?」

「うん。他に手がないなら仕方ないとは思うけど……。さっき佳苗が言ってた、もう一つ、商店街ってどういうこと?」

「最近よくお世話になってる人が商店街の重役さんに近くってね。その人を通して商店街に援助を求めてみるだけ求めてみるのもありかもしれないって思った。ほら、学校からもそう遠くないし、この学校が勝ち進んで有名になれば多少の集客は出来るかもしれない」

「ちょっと無理があるな……とはいえ、まあ、試すだけならばアリな範疇ではあるか」

 はい、と鳩原部長に答えると、鳩原部長はすっと視線を小里先生に向けた。

「どうですか、小里先生。渡来が首尾良くできればわざと負けるなんてことはしないでも良い、そう判断しても良いんですね? ……本当に予算的な問題だけ、なんですよね?」

「ああ。他校からのどうこう、という話ではない……けれど。渡来、君一人に任せるわけにも行かない。私からも当然だが挨拶はする」

「それは前提です、先生。ま、今から電話してみるので、ちょっと待ってください。検討してくれるか、するまでもなく駄目か。してくれるというならば改めて、今日明日の間に挨拶しにいきましょう。それで上手くいけば万事良しです」

 良いですか、と確認をすると、とりあえず商店街の方から試してくれとお願いされた。望むところだし、勝算はそれなりにある。

 痛くもない腹を探られることだって嫌なのに、痛い腹を探られてちゃあうかうかコーヒーも飲めないだろうし、ね。

 スマホを操作して、電話を掛けた先は喫茶店パステル。

 商店街の片隅にあるそのお店は、特にこれと言った名物が有名なわけでもなく、ひっそりと、ごく普通に経営されている。

 ……ように見えるし、実際にそういう風に見せられても居る。

 けれどその実情は複雑だ。

 まず、パステルの従業員は皆が元とはいえ、海外のエージェント。

 エージェントとはこの場合、スパイや工作員のような認識で問題は無いらしい。かつてとある大国が崩壊した際のどさくさに紛れてそのまま亡命し、いつの間にか根付いたんだとか。

 ただ、誤解して欲しくないところもある。確かにそんな過去、経歴を持つ人たちだけど、今の彼らはただ物知りで実力を持っている、けれど一般人だ。ただの喫茶店の経営に四苦八苦していて、時々ちょっと工作員としてのお手並みを使ったりはしているようだけど、あくまでも適法の範囲でしか動かない。

 つまり合法範囲の工作員と言ったところだ。それとなくさりげなく、あからさまに堂々と、彼らは時々活動する。そんな彼らの今の関心事は僕と洋輔に対する監視活動と、来栖冬華を保護するまでの僕たちの行動の精査、そして来栖冬華の失語症にも似たその症状に関する情報確認といったところ。

 けれどそれはあくまでも関心事。それは事のついで程度にやっているものであって、本命の行動は別にある。来栖冬華の失踪、その真相解明だ。

 それをするためには来栖冬華との接触が不可欠なんだけど、クロットさんなど肉親でもない限りは無理のない接触というのも無理な話。何度か夏樹さんが彼女を連れてパステルに訪れている、みたいな話は聞いたけど、そのたびにフリーのジャーナリストも一緒にくるから鬱陶しい、みたいな話をしていた。

 だからこそ僕の要求、資金援助の要請は通る可能性がある。

『もしもし、喫茶パステルです』

「もしもし、渡来です。こんにちは」

『ああ、渡来くん。こんにちは。今日は何用かな』

「実はちょっと、お願いがありまして。……僕の学校の男子バレー部が今度全国大会に出ることになったことはご存じですか?」

『うん。おめでとう。君も大活躍だったとナタリアに聞いている』

 大活躍だったのかなあ……。

『それで? 応援でもしにいけばいいのかな?』

「それが僕たちの学校、公立校でして。ちょっと資金的に問題が。このままだとちょっと、大会は棄権に近いことをしなければならないかもしれません。性質的にはもっと悪質ですけど」

『……ふむ。それは大変なことだ。だが、それがどうした?』

「商店街として資金援助、お願いできませんか。遠征費用、結構掛かりますけど……。そちらのお店単体でじゃなくて、商店街として。急にすごい失礼なお願いをしていますが……」

『まったくだな。それをすることでこちらにメリットはあるのか?』

「僕たちが目立てば当然ですけど、僕のほうに来ると思いますよ。いろいろ。名前は売れてますから」

『…………、』

 電話の向こうで考え込むような気配がする。

 これは、勝った。洋輔、聞いてるよね?

『例の「お店」を巻き込んでくれると言うことだね?』

「そうですね。この前もまた、なにやら失敗作が大量に出来てしまったとか。そんな話を聞きました」

『そうか。……いつまでに話をまとめる必要がある?』

「大会は三日後です。から、明後日までには資金が必要になりますね」

『多少手数料を頂くが、構わないか』

「はい。今日、もう一人の方がそっちを向かうと思いますので、受け取りをお願いします」

『良いだろう。これで貸し一つだ』

「ありがとうございます。それじゃあ、今日中に先生を連れて行きますので、そこで金額とかの話をまとめて頂けますか」

『うん。例の「お店」が絡むならばこちらは全面的にそちらを立てよう』

「感謝します」

 電話越しに頭を下げつつ、これで要件はおしまい。

 二、三の確認を終えると通話をきって、

「オッケーだそうです。商店街として明後日までには資金援助をできるように手配してくれると。挨拶に行かないといけないので、先生、それとコーチと部長もご一緒願えますか」

「もちろんだ。……しかしな、渡来」

「はい?」

「お前、そこまでして負けたくないか?」

「何を今更」

 全力を尽くして負けるならばまだ良い。それだってあんまり良くないけど。

 でも、全力を出せずにわざと負けるのはよっぽどのことが無い限りは嫌だ。

「それとも先生は、実は面倒だから負けさせようとしていたとか?」

「それはない」

 ならばそれこそ問題は無いだろうに。

 結局、挨拶にはこの場に居る全員で行くことになった。感謝の気持ちという意味では部員全員で、なんだけど、さすがに大所帯すぎるので、という妥協案だった。

 そして学校出てすぐのところで。

(佳苗、今どの辺だ?)

 と、洋輔からの思考が強く流れ込んできた。

 学校出たところだけど、そんな洋輔はどうしてる?

(とりあえず屋根裏倉庫のゴーレムから金属とか宝石類を出して貰ったが……アクセにしてから渡すんだよな)

 うん。

 例の『お店』と言われているのは、言ってしまえば僕が作ったアクセサリー類だ。

 元は完全エッセンシアだけど、純金として扱えば純金のネックレスとかが簡単に作れる。

 宝石はどうかなと思って調べてみたら、成分的にはとても作りやすかった。錬金術って便利。まあ、宝石の形を調べるのが面倒だけども。

 そんなこんなで、僕はあるお店からそういう失敗作の引取先を探している、という体でパステルに提案してみたんだけど、パステルの人たちは相場よりも安くて良いならば店として買い取る、って承諾をくれたんだよね。

 同時に、その『お店』に関して、その深くは聞かないとも。何らかの裏があると見抜かれているわけだ。別に良いけど。足は付かないし……いや、足が付かないから逆に疑われてるのかな?

(それでどうするんだ、まさかこのまま持って行くわけにも行かないぞ)

 それもそうか。

 じゃあちょっと視界共有させて貰おう。

 先生達の後ろを歩きながら、洋輔と共有した視界を自分の視界と画面を並べるように設置して、洋輔の視界からマテリアルを認識できるかな……、あ、できるっぽい。

 ふぁん。

 終わり。

(……か、佳苗さん? 何しでかしたんだお前は)

 いや、マテリアルの認識さえ出来れば別に見えなくても錬金術って使えるし。

 ならば見えている、かつ位置がはっきりしてるなら距離なんて関係ないんじゃないかな? と思ってやってみた。

 出来た。

(出来た。じゃねえよ)

 いや他に言い様がないし……。流石にこれほど距離が離れてると、自分が見ている、くらいに臨場感がないと駄目かな。カメラの映像越しは厳しそうだ。

 視界共有を止めて、と。

 僕たちはたぶん、五分ちょっとでつくかな。そっちは?

(急いでるから二分だな。渡すだけ渡して帰るから遭遇は無いと思うが)

 いや、その場に居て良いよ。偶然出会った風にしよう。

 その方がパステルを僕の知り合いって言い張りやすい。

(おっけー)

 その後も言葉少なに足を進めて、いざ到着したのはやっぱり五分後だった。

 喫茶点パステル。

 名前にそぐわぬまさかのシックな外観についてはもうちょっとどうにかならないのかと思わない事も無い。毎度毎度突っ込みを入れるのもめんどうなのでもうこれでいいけど。

「ここですよ」

「ああ、この喫茶店」

 どうやら土井先輩はここを知っていたようだ。

「母親がたまに来てるはず」

「なるほど」

 ドアを開けるとチリンチリンと鈴が鳴る。

 そしていらっしゃい、なんて声が掛けられて、近寄ってきた店員さんは僕を見るなり事情を察したようだ。

「こちらへどうぞ」

「はい。先生達も」

「うん」

 でも、洋輔のやつ、どこに居るんだ。二階かな?



「今回は無理を聞いて貰って、すみません」

「いや、気にしないでくれ……全く忘れられても困るけれど」

 挨拶とありがとうございますという言葉を皆で終えて、先生達は事務作業、部長と土井先輩、郁也くんは時間も時間だしということで今日はとりあえず帰宅してしまった後。

 僕はパステルに残り、店員さんというか店長さんというかオーナーさんというか、まあ、パステルの支配人のような人とお話をしようとすると、支配人さんは僕を二階に導いた。

 パステルの二階も一応お客を入れられるようにはなってるんだけど、よっぽど混んでいる時以外はあまりこちらにお客を入れることは無いようだ。なので本来の用途とは違う用途がここにはある。

 ようするに、密談用。

 当然のように洋輔も二階のソファでくつろいでいた。

「今、鶴来くんが持ち込んだものの鑑定をしている最中だ。それなりの額には出来るとおもう」

「それはよかった。足りそうですか? 足りなさそうならもう少し用意しますが」

「おつりが来るよ。取り分はいつも通りで良いかな」

「いえ、今回の件はかなりそちらに負担を掛けますから……。とりあえず持っておいてください」

 洋輔の隣に座って、と。

「良いのかな」

「ええ。お店も納得するでしょう」

「ならばそうさせて貰おう。資金はあって困らない」

 そういうことだ。

 それにあの程度ならばバシバシ増やせるし。

「それで、他にも要件があるとみたが?」

「要件というのも奇妙ですけどね。来栖冬華ちゃん、彼女の現状はどうなんですか?」

「ああ。早ければ夏休み明けにも復学するかもしれない」

 ……それは、どうなんだろう。

 洋輔も疑問に思ったようだ、くつろぐのをやめてカップをテーブルに置くと、口を開いた。

「あいつ、言葉は戻ったのか?」

 いや、と、支配人さんは首を振る。

「まだ片言で簡単な言葉が喋れる程度だ。文字も読めるようだが、書くことはできない」

「そんな状況で復学って……」

 大きく呆れる洋輔に僕も同調しかけるけど、どうなんだろうな。

 読めるし言っていることを理解は出来るのだ、回答が出来ないだけで。

 歴史とかの暗記教科はどうしても知識的な問題で厳しいだろうけど……数字はほとんど形が異世界(あつち)と地球で同じだし、記号も似通っている。たぶん数学は出来るな。

 黒板を写すのは文字として写すことが出来なくても、図形として認識してそれを模倣するくらいならば彼女にはできるだろう。

(大概だけどな)

 まあね。

「となると、私立学校かフリースクールか。そのあたりで少し様子見ですか?」

「いや、公立校に入れるらしい」

「それは、また。フォローが大変そうですね」

「うん。頑張ってくれ」

「…………」

「…………」

 支配人さんの言葉に僕と洋輔が同じ事を思い、そして黙り込んだ。

 ええ……。

「僕たちの学校に入れるつもりですか」

「距離的には一番自然だろう」

 多分クラスは違うだろうけど……いや、三組の面々って濃いからな。むしろ三組に入れた方が安全か……? クラスの人数でバランスを取ろうと考えるならば、三十六人いる三組は除外されるべきなんだろうけど。まあ、その辺は先生が悩めば良い。

「それにその方が君たちにとっても都合が良いんじゃないかい」

「そうでもないですけどね……」

 それでも、確かに都合が良い点がないって訳でもないか……。

「と。鑑定が終わったようだが、どうする。額面は見るか」

「いえ。全部差し上げたってことになりますから。そっちで適当に処理して頂ければ」

「そうか」

 そこまで高額にもならないだろうし。金には一定の価値があるけど宝石は時価みたいなものだからな。

「しかしな、渡来くん。あれを作っている『お店』、いずれ紹介してくれないか」

「紹介、ですか?」

「ああ。あれで失敗作となると、成功作がどれほどものなのか想像が付かなくてね」

 悪戯っぽい笑みを浮かべて支配人さんは言う。この人、解ってて言ってるな。けど、まだ確証は持てていない。というより確信はしてるけど証拠がないって所か。そりゃあ彫金設備なんて近くにはないし、あったとしても僕たちのどちらかが接触した記録なんてひとつもないんだから、当然だろうけれど。

「そうですね、いずれは紹介しましょう」

「期待しているよ。さてと、それじゃあ私は商店街側に掛け合ってくるか……。二人ともごゆっくり」

「はい。ありがとうございます」

「ありがとうございます」

 支配人さんが去って行ったので、僕も出された紅茶を飲む。ちょっとハーブの香りがするな、まあ隣でコーヒー飲んでるのがいるから香りはそこまで楽しめるかというと微妙だけれど。

「悪かったな」

「いやあ、別に僕もそこまでこだわりはないし……」

 ふん、と無愛想に声を上げつつも洋輔はカップに手を伸ばす。

(今回の品物でさらにここの連中は俺たちを疑ったとみるが)

 そうだね……まあ元々真っ黒だと判断されてるだろうから、今更疑惑の一つや二つが増えても特に問題ない気がするのが嫌なところだ。

 それに、今回のこれは必要なことだったし。

(大会ねえ)

 せっかく大会に出るのだ。負けるにしても全力は出したい。

 負けなさいと言われて負けるのは嫌だ。

 先生達もそういう命令をするのが嫌だったんだろうね、だから生徒側には四人にしか伝えなかった。

(村社に土井先輩、鳩原先輩が周りに話す可能性は?)

 先輩方に関してはまず無いと僕は見ている。

 でも郁也くんは微妙だね。昌くんとか晶くんに喋っちゃうかもしれない。

 とはいえ、それだけならばさほど問題も無い。あの二人ならば裏を読み取って、むしろ郁也くんを窘めるだろう。

 洋輔もそれに同感なようで、特に何も言わずにコーヒーをごくんと飲んでいる。熱くないのかな……。

(口に入った瞬間に丁度いい温度に調整する魔法がある)

 …………。

 はてしなく無駄な魔法じゃないかなそれ……。

 錬金術も大概だけど、魔法も大概よくわからないものだ。

(いやそれはおかしい。お前のあの遠隔錬金術、やばいだろ)

 僕も実はあれ、出来るとは思わなかった。

 応用すれば遠くに旅行に出ている洋輔の視界を借りて洋輔が見ているものをマテリアルとして認識、別なものと錬金して手元に完成品を出すとか……、悪用は出来そうだね。

 でも実際には無理だろうなあ。

(あれ、そうなのか?)

 あれは僕の部屋に洋輔がいるって解っていたから正確な位置がつかめたんだと思うよ。

 それに屋根裏倉庫には座標固定の道具もあるし、その影響もあるかもしれない。

 実際検証してみないとこればかりは解らないなあ……、冬華(フゥ)ならば僕の後としてそのあたりにも手を出してると思うから、もしかしたら知ってるかもしれないけど、どうだろう。

(気軽に会いに行ける相手でもないか)

 そういうこと。学校に来るようになったら、それこそ適当にお話しできるんだけどね。「そうだ。洋輔、今度の大会見に来るんだっけ」

「そのつもりだけど。邪魔ならやめるぞ」

「いや、邪魔なわけがない。見に来るならお願いしたいことがあってさ」

「お願いって何を」

「動画の撮影」

「動画?」

 洋輔が首をかしげる。僕は普通に頷いた。

「試合が終わった後、試合の動画をみて動きの確認とかしたくて。機材は部が持ってるし、引率の保護者さんも撮ってくれるっていうんだけど、別角度も欲しいんだよね」

「なるほど。敵側で撮ってこいってことだな」

 話が早くて助かるよ。



 資金援助は円滑に、結局大会の前日には正式な形で行われた。

 といっても書類上の問題はまだ残っていたから、そのあたりの調整は暫く続く様なことも言っていたけど、負ける必要は無い、思う存分にやれとはコーチの談。

 決勝トーナメントでは五回勝てば優勝だから……まあ、どこまで通用するかだよな。

 会場前、いくつかのチームでごった返すところで待機しているときだった。

 少し横にそれた所から、一人見知った顔の子が近付いてくる。

「やあ、渡来くん。元気してたかい? 来るとは思っていたけれど、本当に全国大会に出てくるとなると驚きだね」

「こんにちは、美土代先輩」

 と、話かけてきたのは強豪校、紫苑学園の美土代先輩。ポジションはリベロ、去年は一年生でありながらもベストリベロ賞を獲得した逸材中の逸材、だ。

 紫苑学園とは島が離れてはいるけれど反対側ではないので、もしもお互いに順当に勝ち進めば準決勝でぶつかることになる。

「そういう美土代先輩も元気そうですね」

「そりゃあ大会当日だからね。調整はしてきている」

 それもそうか。

「できればこの大舞台で戦ってみたいものだ。こっちも頑張る、そっちも頑張ってね」

「はい。励みにします」

「うん」

 じゃあね、と美土代先輩は改めて列へと戻った。ふうむ。

 こっちも状態は悪くない。いやむしろ、かなり士気は高い。

 なにせとりあえず二回勝てばホテルに宿泊できるのだ、美味しいものも食べられるし特別な体験になるだろう。

 でもだからこそ、緊張もすごいと思うんだよな。

 一抹の不安を感じつつも会場入り。受付を済ませて、あらかじめ定められたコートで軽く運動……やっぱり皆、ちょっと動きが硬いかな?

 でもなあ、変にそれを指摘するとさらに駄目になりかねない。実戦の中で解決させるしかないわけだ。

 そしてあっという間に時間が来る。

 よろしくお願いします、ネット越しに相手チームと向き合って、洋輔は……大丈夫そうだ、ちゃんとカメラを設置できたらしい。

 いざ試合開始。初戦は相手チームの先攻となった。

 ホイッスルの後、せーのっ、と相手がサーブを打ち込んでくる。強烈なサーブだ、けどそれだけだ。いつものように土井先輩の真上に上げる。土井先輩もいつものようにトスをあげ、いつものように鳩原部長がスパイクを打ち込むと、いつものようにそれは相手コートに突き刺さった。

「……うん」

 緊張はもう無いな。

 いつも通りのワンセットを僕たちが見せることが出来れば、チームメイトもいつも通りを思い出す。だからそれほど恐怖を覚える必要も無い。

 結局、第一セットは25-15、第二セットは25-21と、ストレートで一勝目を上げることに成功。

 それを受けて春川コーチは大いに喜び、その横で小里先生はほうっとため息をついていた。資金援助が受けられて良かった、そんな感じに。

(……というか)

 と。

 洋輔が思考に割り込んできた。

(お前のバレー、なんだかますますおかしくなってるな)

 そう?

(いくら矢印が見えてるとは言え、反応速度がおかしい。結局今回も、お前がコートにいる間、お前側には一度たりともボールを落としてない……)

 まあ、どこに落ちるかを判断してから動いてるし。そのくらいは当然だ。

(そこまでならばな。けどお前、どんな体勢からでも常にセッターの真上に完璧に上げてるじゃねえか。あれはちょっと、おかしい)

 ……確かに、最近は微調整が少なくなってきたかもしれない。

 始めた頃はすごい試行錯誤をして丁度いい矢印になったら確定させてたんだけど、最近は慣れてきたのか、勘で調整がある程度できるんだよね。

 バレー選手としての実力が馴染んできたって事かな?

(…………。いや、残念だがそれは違うだろうな)

 え?

(佳苗。お前、たぶん剛柔剣(ベクトラベル)の亜種みたいなものを発現してるぞ)

 ……は?

(俺とは違って感覚的なものじゃあなさそうだし、矢印を自分で操作する所までも至ってない。そういう意味では冬華とも違う。俺の剛柔剣は感覚だ。冬華のアレは魔法による再現だ。だとしたら、お前のそれは錬金術による再現……ってところか。かなり制限はあるとみたが、なかなかどうして……)

 僕が剛柔剣をねえ。

(今度一緒に検証してみようぜ。俺が気になる)

 ふうん。ま、それが洋輔の望みならば別に良いか。僕としても錬金術でどこまでできるか知りたいし。

「佳苗、大丈夫? ぼーっとしてたけど」

「ああ、うん。なんか勝っちゃったな、って思っただけ」

「なるほど。次も頑張ろうね」

「もちろんだよ、郁也くん」

 ま、試合中に余計なことは考えたくない。

 大会が終わってから改めて決めよう。

 なんて思いながら休憩時間をゆったり過ごし、いざ、二試合目。

 対戦相手は去年の全国大会でベストフォー、間違いなく強豪だ。初見殺しのような不意打ちでどこまで有利二進めることが出来るかだよなあ。

 応援の数も多いし。ていうか僕たち側の応援が少なすぎるだけだろうか?

 部活に関係の無い生徒で見に来てるの洋輔くらいしかいないぞ。職員もだけど。親は結構来ていて、僕のお母さんと洋輔のお母さんも居る。さっき郁也くんのお母さんと話しているのを見たな。

 さて、第二試合も始まった。第二試合はこっちの先攻、そして第二試合の先発セッターは郁也くん。

 土井先輩じゃないんだ、とも思ったけど、納得でもある。体力的な面もあるだろうし、それ以上に不意打ちとして使うならば先発だろう。郁也くんに慣れたところで土井先輩と交代しても良いし、他の子と土井先輩を交代してダブルセッター体勢にしても良い。ちょっと弱点が出来ちゃうけど、真っ向勝負じゃたぶんそうそう勝てない相手だし、策を弄するというコーチの判断にもうなずける。

 相手チームもまさかセッターが変わるとは思ってなかったらしい、少し困惑しているようだ……けれど、僕たちがやることは変わらない。

 いつも通りに、流れるように動くだけ。

 風間先輩のサーブで始まり、相手はそれをきちんとレシーブ。セッターがボールを上げて、レフトからスパイク……クロス気味で矢印が確定したので、その矢印へと回り込むと捕球体制を取り、すっとボールを上げる。

 上げたボールは郁也くんの真上に、そして郁也くんは最低限の動作でトスを上げ、それを漁火先輩が打つ……と見せかけて、その後ろから迫った鳩原部長がバックアタック、ブロックは無く、そのまま素通りしたボールを相手のリベロは拾ったけど、ボールは大きく後方へと逸れた。

 まずは上々、だ。

(…………、)

 そして洋輔は何かに気付いたらしい。でも試合が一通り終わるまで待ってね。

(解ってるよ)

 その後の試合展開としては、思いのほか郁也くんが緊張していたらしく、珍しいトスミスがったりはしたけど概ねは予定通り。

 第一セットを先取、第二セットは取られてしまい、第三セットに入るに当たって郁也くんと土井先輩で交代。郁也くんはかなり悔しがっていたけれど、その悔しさはきっと強さになるだろう。

 そして土井先輩もきっちりそんな郁也くんに答えるように、第三セットをきっちり獲得。無事に僕たちは二回戦も突破、二日目に臨むことが確定したのだった。

 優勝目指したいけど、どうだろう。頑張れるだろうか?



 三回戦、僕たちは辛勝を納めることが出来た。けれど四回戦、紫苑学園との戦いにおいて、僕たちはあっさりといっても良いほどに敗北してしまった。

 敗因は大きく二つ。

 一つは紫苑が僕たちのことを深く研究していたと言うことだ。練習試合をしたときの映像をデータ化し、検討を重ねていたらしい。そのデータの全てがそのまま適応できるとは限らない、だからこそ一回戦、二回戦の様子も偵察が来ていたらしく、夜通しで解析、微調整をしたんだとか。

 いくらなんでもそこら辺の無名の公立校に対する警戒の仕方ではないよなあ。

 完膚なきまでに負けた。

 帰りのバスの車内でそんな言葉がちらほらと聞こえてくる。

 失意と言うよりも納得の色が強かったけど、それも当然のような気がした。

 それに負けたとはいえ、四回戦、つまり準決勝までは勝ち進んでいる。去年まではただの無名の公立校だったのだ、それが突然ベストフォーに名乗りを上げた。十分と言えば十分だ。

 悔しいけれど相手の方が上手だった。上手だったし対策も打たれた。一方でこちらは、紫苑に対策らしい対策をしていなかった。努力量が物を言った形だろう。

 結局、無事にバスが学校前に到着。

 バレー部としての次の練習は四日後。それまではゆっくり身体を休めるように。そんな事をコーチが言って、夏の大会は全国でベストフォーという微妙と言えば微妙な、けれど十分すぎる成果を持って終幕した。

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