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ニートが2つの世界を救うには  作者: 黒犬 そら
5/8

ゲームクリア…?


ーーー黒川俊の部屋にて、ドアがギシギシといっているなか、仲のよろしくない兄妹が冷や汗を流しながら向き合っていたそうな…。



「あのーー…?女神さん、女神さん?聞いていた話と随分違うのですが…?神器たるものが配られて、それを用いて数多のモンスターを倒し、魔王のもとに辿り着く!…って…話じゃあありませんでしたっけ?」



天井で未だ輝いている魔方陣から落ちてきた二人の神器は…指輪だった…。これアクセサリーじゃん。



「某RPGゲームと同様だとしたら、力が少しアップとかの恩恵しか…。もしかしたらとんでもない力が眠ってたりするんですかね?」



自分の命の危機に頬をひきつらせながら、女神の回答を待つ。綾香に至っては指輪を見て、顔面蒼白で体をふらつかせながら「きれいーー。かわいーー。」などとぶつぶつと言っている。現実逃避をしているようだった。



「とんでもない力が眠ってるかって?知らないよそんなもん。無数にある神器の効果なんてわからないし、そもそも持ち手に渡ってから能力を開花させるのが神器ってものだよ。その能力ってのがわからない内は神器を普通の武器としてや防具として使うものだけど…。」



女神が話している途中で言葉を切って…。



「あはははははっっっ!!貰った神器が指輪って(笑)あーーーー、持ってるね君達兄妹はーー!こんなピンチの時に出てきた物が二つのゆ・び・わっっ!!こんなの初めてだよーー。あーー腹痛っ!はーーーいっ!お二人さん脱落でーす!ってね(笑)」



神様の一人とは思えないほどの下品な笑い声が部屋を制した。

こいつ……魔王よりよっぽど悪質じゃないか…?生きて帰れたらブッ飛ばすッッ!!



魔王の討伐の前に果たすべくサブクエストが決まったところで、現状を打開すべく妹の方を見ると…。



「あははははーー。お兄様、私、綺麗?」



片方の手に指輪をはめた綾香が乾いた笑みを浮かべていた。

ーーー決めた。こいつを囮にしよう。



あまりに唐突な命の危機に思考が止まってる妹の体を抱き抱えて…、部屋の外に放りだし、ドアを全体重かけて押さえた。



「あーーーーーーっ!!!なにすんの馬鹿ニートッッ!!本当に待って!!やばいっ!やばいから!!!紫のやつ部屋の前でスタンバってたんですけどっ?!本当に開けてっ!勘弁してっ!なんでもしますから…って、ギャアアアアッッ!!美味しくない、不味いよ?私?本当に助けてよーーーーッッ!!」



ドアがガンガンと叩かれ、ドアノブが生き物のように上下に動きまくり、妹の断末魔が聞こえ…



べたべたべたべた。ジュワーーー、ジュワーーー、ジュワー。

ごきゅっ、ごきゅっ、ごきゅっ。



無くなった。あーーー、やっちまった。確かに可愛くないやつだったけど自分の命の可愛さに妹をやっちゃったー。この歳で犯罪者か…。いや?この場合どうなるんだ?実際には手を加えてないし…。



妹の死を前にして自分の心配をするクズっぷりをたっぷりと披露し、女神がドン引きしていたところで…ドアノブがゆっくりと動き出す…。



あれっ?今まで体当たりしかしてこなかったくせにドアノブが回り始めたんですけど…?鍵閉め忘れたし…。



顔から血の気が引いていく。この様子を見ていた女神はというと……。



「あはははははっっっ!!」



……爆笑していた。こいつ本当に女神かよッッ!!こいつを崇めてる信徒に見せてやりたいッッ!!



相変わらずその場に似つかわしくない笑い声が響きながら、ドアが少しずつ開いていく。



ぎぎぎぎぎぃぃ…。



2㎝ほど隙間が出来たところで…いつの間にか土下座の体制をとっていた。



「ほんっっっとうに!まじで勘弁してくださいッッ!!こんな家崩れてしまっていいんで命だけはッッ!!最愛なる妹をすでに差し出したのです!私だけは、私めだけは見逃して貰えないでしょうか…?」



ドアの開く音がなくなり、冷たい風が部屋の中を吹き抜ける。



がたがたと震えた体を床に叩きつけ土下座を繰り返していると…。



「ふふふふふっっ♪兄さんみーーーつっけたっ。」



飛びっきりの笑顔で楽しそうな声を上げる妹が、紫色の粘液をボタボタと床にこぼしながら立っていた。



「なななななーーー?!なんで?!お前はあの気持ち悪い生物に食われたはず…?まさか…。幽霊になって俺を殺しに来たんだなッッ!!」



「勝手に殺すな。クズニート。」



自分も同じ立場だったのを忘れてニート呼ばわりをしてくる。何この子?怖いんだけど。



「って、なんで生きてるんだよ…?あの生物はどうしたんだ?」



率直な疑問を綾香に投げつけると、



「どうしたかって?吸収したんだよ。」



「あーーーー。成る程。吸収なーーー。そりぁ倒せちゃうなーー。俺も小学校に上がりたての頃、嫌いなやつによくやったよーーー。……って、はあぁぁぁッッ?!」



紫色のやつに対峙したショックで頭がおかしくなってしまったらしい。今度からはもっと優しく接してやろう。そう考えていたところで例の馬鹿女神からの声が聞こえた。



「あーーーー。成る程、これはビックリした。まさかあの指輪が神器なんてそんなものでは計り知れない、古の神々の時代のオリジナル。魔物を吸収する力を持つ指輪、アルテミスリングだったとはねーー。」



「オリジナル…って。それとんでもないんじゃあ?」



「ああ、とんでもないよ。妹さん。君達はもうゲームの世界とリンクしているから、いわゆるステータス画面というものを開くことが出来る。試しに開いてみて?」



「う…うん。」



綾香がステータス画面を開く。すると…。



黒川 綾香

特殊能力 毒耐性 毒を司りしもの

装備品 アルテミスリング オリジナルのため着脱不可

(魔物に触れると吸収することが出来る。最大5体まで。吸収している間はその魔物のステータスと特殊能力を引き継ぐ事が出来る。吸収された魔物は消滅する。魔物の枠は入れ替え可能)



「あはははーー。案の定壊れてるね?妹さん。」



「ははははーーー。そうっすね。」



とんでもない化け物が誕生したようだ。とうの本人はそんなことどうでも良いらしく俺に対して怒りの視線をぶつけてきて…。



「いつか、借りは返すから。」



背筋が凍るほど冷たい声だった。



「さーーあっって!無事に魔物から家を守ったことだし。こっちの世界に転移するよー!そぉーーーれっ!」



ーーーーシュンッッ



流石に体が慣れたのか、気絶せずに大地に降り立つ。他のニートはまともな神器を受け取ったらしく、自分達が最後のようだった。流石に初めての戦闘という命の取り合いをしたせいか、みんな疲弊しきっていた。そこにKYな明るい声が聞こえる。



「ここが、これから君達が拠点とする世界、ラークベルグだよ♪」



そこは自分達の世界では見ることが出来ないであろう、ゲームの世界ならではの幻想的な光景が広がっていた…のだが…?



「あれ?女神さん、女神さん?テンションが高いところ悪いんだけど、なんか暗くなってきてないか?ってか向こうの方からすごい勢いで草木が枯れていっているのだが…。」



すると今までのふざけた雰囲気をなくし、苦笑いをして、



「あはは…。これは不味いことになったね…。まさか向こうから直々に潰しに来るとは…。」



向こうって言うと…、魔王しか居ないですよねーー。



「女神さん。いきなり魔王とのイベントバトルはー、流石にクソゲーすぎませんッッ?!か…神の力とやらで倒してしまえないんですか?」



「倒せたらとっくの昔に倒してるっての。私たちでもどうにも出来ないほどの力を付けてしまったの。彼は。」



黒い影はもの凄いスピードで突進してきて、ニート達の目の前で止まり、声を上げた。



「ふはははははっっ!!君達が今回連れてこられた勇者、ということか?随分とバテバテのようじゃないか?これじゃあ先も思いやられるな。次の戦闘が関の山ってところだろう。どうだ?命が惜しいだろう?そんなことだと思って君達をスカウトしにきたんだ。なーーに、特別待遇をしてやるよ。命が惜しいやつはついてくるだな。」



何?この噛ませ犬みたいなやつ…。しかしまずいな…。ここにいるみんなはさっきの戦闘で恐怖を刻まれている…。何人か願えるかもしれないぞ…。



そんなことを考えていると綾香が冷淡な声でぶつぶつ何かをいっていることに気づいた。



「クズニートに仕返しするチャンス。クズニートに仕返しするチャンス。魔王って魔物の一種よね?」



何か凄い怖いことが聞こえたようだが…?



綾香はニタッと笑うと魔王の方に歩きだした。



「こいつは魔物♪こいつは魔物♪」



そんなことを全く知らない魔王はというと



「魔王の手下に勇者が加わる日が来るとはな…はーーーはっはっはっはっ。」



これから起こる惨劇を知らず、上機嫌だった。



「さあ、頭の良い少女よ!わが支配下になるという事だな?」



「はいっ、魔王様♪良い支配下と働く準備は出来ています。誓いの握手を!」



「なんて可愛らしいやつなんだッッ!!よし良いだろう!」



魔王が手をだし、綾香がそれを握り返す…。



「ギィィイヤアァァァァァッッ!!吸われる!我輩吸われる!」



魔王が少女と握手をしながら泣きわめいている、というあまりにシュールな光景が広がる。



「本当に待って!タンマ!話し合おっ?ね?」



「問答無用」



「ちょっと待って!君が…、君が魔王で良いからっ!!」



その言葉が彼女の厨二心の琴線に触れたのか、より一層強く手を握る。



「我輩の魔王生活がーーーーーッッ!!」



ほどなくして魔王は消滅した。



「ふぅぅ。これでお仕舞い。」



満足気な顔をした女神は頬をひきつらせドン引きしている。しかし、魔王が倒されたことで安堵の表情を浮かべていたが…。



「これで私が新しい魔王ってことで、そこのクズ兄さんをいじめられるね♪」



女神の笑顔は凍りつき、俺は体を固まらせた。






好きなように書いていたため、文章がぐちゃぐちゃです。改善点については随時募集しています。

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